父からの手紙 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740320

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり 嘘は人を不幸にするのね

  • 家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。

  • 親子の絆を描いた物語
    しかし、本当に父親として子供たちのためにすべきことはなんだったのかを考えさせられる物語です。

    本書は、ずいぶん昔に一度読んでいました。
    すっかりストーリを忘れていましたが、だんだんと思い出してきてしまい、自分でネタバレすることでミステリとしての面白さは半減でした(笑)
    とはいうものの、子供を持つ父親としての考えさせられる物語となっています。

    ストーリとしては、失踪した父親から毎年、姉弟に届く手紙。その手紙を支えに生きてきた姉に不幸が襲います。
    本当に自分が愛している男の工場を救うため、資産家と結婚を決意する姉。しかし、その婚約者が殺され、弟が容疑者として逮捕されてしまいます。
    弟を救うため、その事件を一人で捜査していきます。

    そして、それと同時並行でもうひとつの物語。
    義姉を救うために刑事を殺害した男。9年の刑期を終え、出所後、義姉の行方を追います。
    なぜ、刑事を殺したのか?9年前に起きた事件の真相を明らかにしていきます。

    この2つの物語が、姉の視点、男の視点と切り替わりながら進んでいき、その探偵役の二人がひとつの真実にたどり着きます。
    なぜ、父親は失踪したのか?
    9年前の事件の真相は?
    男が本当に守りたかったものは?
    そして、父親が守りたかったものは?

    そんなストーリ展開です。
    ご都合主義的な展開が多く、姉が一人で、そんなところまでてきぱき捜査できるか?とか、そんな都合よくぽんぽん謎が明らかになるかぁとか、ありますが、本書の真髄はそういった謎解きの面白さではなく、この父親が命がけで家族を守るために実行した策略、その思いの強さ、託された人の絆、それを前面に押し出すためのものだと思います。

    とはいえ、この父親の選択については自分としてはNOです。
    自分を犠牲にして他人を幸せにすることはできません。

    最後に出てきた数多くの手紙には熱いものがこみ上げてきました。

    お勧め!

  • 10年前に家族を捨て、毎年誕生日に手紙を送ってくる父親を探す麻美子
    10年前に兄の壮絶な焼身自殺を目の当たりにし、ある事で刑事を殴り殺した圭一
    父親を探す麻美子と兄を自殺に追い込んだ原因の義姉を探す圭一
    接点はないようだが次第に内容が交差しやがて二人の接点が生まれる。
    お互いの探し求めていた事は解明するがそれは思いもよらない結末だった。

    父親を探す麻美子と義姉を探す圭一、お互いの目線で書かれた内容が交互に進んでいく。
    最後の方、圭一の自殺に対する思いには深く同意したが、麻美子の父親の本当に最後の手紙には泣きました。
    感動の作品です。

  • 命をかけて愛す、大きなテーマですね。

  • 必読書。

  • 4月-10。3.0点。
    家族を残して失踪した父親。娘が中学の時。
    娘は婚約するが、婚約者が殺害される。弟が容疑者として逮捕。
    弟が犯人なのか。婚約者は愛人を殺害した疑い。

    また、同時に刑務所出所した男の物語も。二人が交錯したとき、真実が。

  • 自己犠牲は愛する人のためになるのか。自己犠牲とは自己満足なのではないかと考えさせられた作品。
    最終章の圭一の言葉、麻美子の父の行動に対する意見はその通りだと思った。
    テンポが良いので読みやすいです。

  • 「どっかで見た感」があった。ドラマとかになってるか?

    視点が交互に変わりながら進むので
    どうつながるのかなぁと思って読み進んだ
    いろいろな要素をうまくミックスしているなぁと

    ただ、お父さんの想いはわかるけど
    主人公も言っているように
    それはどうかと思う選択だった

  • 徹夜してしまった......仕事に行かなきゃなのに...。
    小杉健治、聞いた事のない作家だけど、背表紙の文章に惹かれて購入。予想以上に良かった。

    構成はミステリーでも有りがちな構成で、二つの別々の物語が交互に語られるというもの。この二つの物語が、どのように結びつくのかが大きな焦点となっている。
    また、動機や事件の真相をに興味を持たせるのはもちろんだが、家族の絆、父と子の愛情について語られている部分が本書の特徴だと思う、

    麻美子と伸吾の姉弟の元には十年前に失踪した父から、毎年、誕生日に手紙が届いている。しかし、麻美子の婚約者が殺され、弟の伸吾が容疑者と逮捕されるというとんでもない事態が起きる。
    一方、9年の刑期を終えて出所した圭一は、自分が殺人を犯すキッカケとなった兄の焼身自殺について調べ始めるのだが、そこで明らかになっていく兄嫁の怪しい行動...。

    この二つの物語、いったいどこで繋がるのか、全然、見当も付かない。なにしろ材料が小出しにしか提示されない。かといって、読んでいてダレることもなく、先が気になるから寝る時間を削ってでも読みたくなってしまった。人物の描写というよりも、配置が上手いんだよな。内面の描写で読ませるんじゃなくて、気になる人物を気になりそうな場所で描いてる。

    なぜ父は姿を消したのか?これが最大の謎なんだけど、読み終わって思うのは...
    う~ん、他に方法なかったのか!?
    って思った。お父さん、馬鹿なことしちゃったなぁ!ってのが正直な感想。妻や子への愛情あってのことなんだろうけど、やり方が違うよね...。
    そうは思いつつも、ラストの場面、ちょっと泣ける場面だった。泣かせよう!って作者の意図が見える気もするけど、父親の心情を思うと、泣ける...。

    ミステリーの謎解きとしても水準レベルはあるな。プラス父から子への愛を描いたところが良かったなぁ。父親の選んだ行動の是非は別な話だけど...。

    ☆4個

    背表紙~

    家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作。

    うん、人と人との絆だ!本書はそこにも触れてる。圭一の兄の....。これ以上書くとネタバレになっちゃうな。
    たしかに父から子への愛情だけでなく、人と人との信頼というか絆にも触れている。
    良い小説だった。

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著者プロフィール

一九四七年、東京都生まれ。八三年「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。八八年「絆」で日本推理作家協会賞、九〇年「土俵を走る殺意」で吉川英治文学新人賞を受賞。他に「仇討ち東海道」「遠山金四郎」「風烈廻り与力・青柳剣一郎」「栄次郎江戸暦」「蘭方医・宇津木新吾」「親子十手捕物帳」「八丁堀赤鬼忠孝譚」「義賊・神田小僧」シリーズなど著書多数。

「2023年 『剣の約束 はぐれ武士・松永九郎兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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