- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334741464
感想・レビュー・書評
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ずっと読みたい…と思っていた岡潔さんの本。
50年以上前の著作だが、全く古さを感じず、現代にも通じる点が多く見られました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岡潔。薦められて読む。
以下はメモとして。
道義の根本は人の悲しみが分かるというところにある。自他の別は五才くらいからわかり始めるが、人の感情、特に悲しみの感情は一番わかりにくい。だから、小学校へ入るくらいまでは、人が喜ぶからこうしなさいということは教えられるが、人が悲しむからこうしてはならないという教えかたはできない。本当はこの教え方の方が徹底的なのだけれども。
(90頁)
感情というものをお話しますと、水が溜まっているその上の方は波立ち騒いでいる。これが情緒です。下の方は変わらないでいる。これを情操と名付けるわけです。(97頁)
だいたい、ことばを聞いてわかるというが、それで内容までちゃんと分かるということはない。たとえば秋の日射しといっても、秋の日の射し方ということではないが、それは自分が本当に秋の日射しの深さがわかるようにならなければ、ことばでいってもわかりはしない。してみると本当に分かるのは簡単なことではない。(183頁) -
世界的数学者・岡潔(1901~1978年)の代表的な随筆集で、1963年に発表され、その後何度も復刊を重ねているロングセラー。(本書は2006年光文社文庫で復刊)
岡潔は、京大時代には後のノーベル賞学者の湯川秀樹や朝永振一郎に講義を行い、広中平祐のフィールズ賞受賞業績にも影響を与えたといい、また、自身の数学上の業績は、西欧の数学界ではそれがたった一人の数学者によるものとは当初信じられなかったほど、強烈な異彩を放つものであったという。
また、岡氏は、日本人のもつ「情緒・情操」の大切さを繰り返し述べ、本書以外にもそうした思いを綴った多数の随筆を残しており、一般にはむしろそうした実績で有名かもしれない。
「人の中心は情緒である。・・・数学とはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つであって、知性の文字板に、欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである。」
「数学の目標は真の中における調和であり、芸術の目標は美の中における調和である。どちらも調和という形で認められるという点で共通しており、そこに働いているのが情緒であるということも同じである。だから、両者はふつう考えられている以上によく似ている。」
「文化の型を西洋流と東洋流の二つに分ければ、西洋のはおもにインスピレーションを中心にしている。・・・これに対して東洋は情操が主になっている。・・・木にたとえるとインスピレーション型は花の咲く木で、情操型は大木に似ている。」等
「数学は美しい」とは数学者がしばしば口にするフレーズであるが、日本の数学界には優れた数学者が現れるべきして現れていることを実感する、素晴らしい随筆集である。
(2008年4月了) -
2016年最初の読書 ... 読み返しても、なお新鮮 ..
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数学者
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人生について、学びについてを追求しつくす
迷うことがあったときにはじっくり向き合って、頭の中を整理するときに再読したい -
力不足で理解に及ばない箇所もあった。。が、教育への警鐘はわりとわかりやすい内容で、現代にも通じるものだった(当時の傾向が変わらなかったということやけど)。動物的・競争的な性格をのばし、情操・道義を疎かにしていると批判している。詰め込み過ぎで隙間がないという指摘なども。
芸術論も面白かった。 -
数学者、しかも天才。
最後は分からなくなる、、、ー