「横浜」をつくった男: 易聖・高島嘉右衛門の生涯 (光文社文庫 た 4-40)

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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746490

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    「"人によっては" 当たるも八卦当たらぬも八卦」

    占い師としての実力はもちろん、商人としても実力も備えていた。

    伊藤博文など、明治維新の中心ともいえる人物達と交流を持っていた。

    渋沢栄一との交流は書かれていなかったが、実際に交流は無かったのだろうか?

  • 横浜の高島町は、その土地の開発に尽力した明治の実業家・高島嘉右衛門の名前を取ったもの。嘉右衛門は易学者としても著名で、その才能を見込んだ当時の政財界有力者と交友もあったらしい。

    本書は、嘉右衛門の生涯を小説風にまとめたもの。推理作家の著作名のでエンターテイメント性が高く、さっくり読めた。

    知り合いの地元の方の勧めで読んだのだが、長らく住んでいる横浜について知らなかったことも多く、大変勉強になった。

  •  本書は高島嘉右衛門の伝記である。易聖の生涯というよりも、商人としての才覚の凄さに驚かされる。易の知識は幼少より教養として持ち合わせており、その腕に磨きをかける場が牢獄であったというところが面白い。牢獄では生死を賭けた易占いで幾度の困難を切り抜ける。晩年の活躍にも簡単にふれている。

  • 江戸末期に生まれ、横浜高島町に名を残す易者、高島嘉右衛門。父のときから世のために尽くした一生。決断力、行動力を合わせ持ったすごさを感じる。
    先祖の行いの報いで自分に出るのだという言葉に、自分が子孫(できればだが)に悪い影響を与えぬよう精進したいと思う。逆にいまを無事に五体満足に生きられることを先祖に感謝せねば。

  • 高島嘉右衛門は高島易断の創始者であり、明治時代に横浜を作った男の一人としても有名です。みなとみらいの近くに高島町という駅がありますが、このあたりの地名はこの人の名前からとっているのですね。

    易者というと、その能力で危機回避したり、人を占って収入を得て生活していくというイメージを持ってしまいます。もちろん将来を判断するのに易を使います。本を読むと、彼の判断や行動力は、実業家そのものだということがよくわかります。明治の横浜は外国人が数多くいたのですが、新しい町である横浜には金持ちの外国人が泊まれるような高級旅館がないと見るや、作ってしまう。料理人や下女も歴史のある料亭や旅館からスカウトしてきてしまうのですね。そうやって伊藤博文や大隈重信、陸奥宗光と言った明治時代のトップと親交を深めていきます。他には鉄道を引いたり、ガス灯を作ったり、風俗街まで(!)作ります。自分の利益も狙いますが、同時に明治期の日本の発展を願って、さまざまな事業に手を出していきます。
    占いの精度もすごいですが、それを信じきる心の強さは並大抵ではない。高島嘉右衛門のダイナミックな男の生きざまが感じ取れる一冊です。

  •  男の一代記としては非常に面白い。波乱万丈という言葉がとてもしっくりくる。こんなに近代日本の発展に貢献した人物なのに、あまり知られていないのは、やはり易者というものに何かいかがわしいイメージが付きまとうからなのかもしれない。
     文中にある易断が果たして本当のものなのか、それとも事後に書きくわえられたものなのか、参考文献が関係者の著作というネックはあるが、そこは小説として読めば大した問題にもならないかと思う。

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著者プロフィール

1920年9月25日、青森県生まれ。本名・誠一。京都帝国大学工学部冶金科卒業。48年、失業中に書いた「刺青殺人事件」が江戸川乱歩の推薦で出版され作家デビューし、「能面殺人事件」(49-50)で第3回探偵作家クラブ賞長編賞
を受賞する。79年に脳梗塞で倒れるが過酷なリハビリ生活を経て再起、「仮面よ、さらば」(88)や「神津恭介への挑戦」(91)などの長編を発表。作家生活の総決算として「最後の神津恭介」を構想していたが、執筆途中の1995年9月9日に入院先の病院で死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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