アンティゴネ (光文社古典新訳文庫 Aフ 7-4)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753153

感想・レビュー・書評

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  • 死を恐れずに自分が正しいと思う行為を堂々と為すアンティゴネ。それを人間らしさの表れだと受け取れるかどうか。傍観者でしかない長老たちを情けない奴らだと思えるかどうか。たくさんのことを問いかけてくる作品です。

  • 2022.08.30 図書館

  • 面白い!『オイディプス王』のその後の物語。
    クレオンの変わりよう!
    ブレヒトがギリシャ悲劇をもとに、現代性を感じやすくアレンジしたやつ。面白い。

  • 非常に面白く、ギリシャ悲劇に興味を持てた。特筆すべきは、訳者・谷川道子さん(外語大名誉教授)の圧巻の解説!どういう経緯でブレヒトがこの改作に至ったのかを丁寧に記述してくれている。ウルフの『歳月』に出てくるアンティゴネ。その意味を紐解いていくのに非常に勉強になる情報ばかり。いくつか抜粋をば。

    「それ故アンティゴネの論理は、単なる肉親の情愛の論理を超える。」(147)
    「アンティゴネの反抗もまずは、国の掟は知らず、竈の掟、肉親の掟、人としての掟に誠実であろうとしたことから始まった。例えば『精神現象学』においてヘーゲルは、『アンティゴネ』を自覚的人倫共同体(国家の論理、公的領域、人間の掟、男の世界)と自然的人倫共同体(家族の論理、私的領域、神々の掟、女の世界)の対立と読み、アンティゴネの体現する神々の掟(私の世界)が圧迫からめざめた時(個我の誕生)、家族の敬愛という共同体の力を喪失し、これを破壊してしまった、ギリシアの国家共同体は崩壊した、と解釈した。」(149)

  • 読書会の課題本。ギリシャ悲劇のソフォクレス著「アンティゴネー」をブレヒトがリライトしたもの。時代背景などもあるだろうが、かなり政治色の強いアレンジを加えている。好き嫌いが分かれそうだ。

  • 初読

    昨日ワイルドのサロメを読んだのでついでに?こちらも

    ブレヒト唯一のギリシャ劇の改作。
    うん…アンティゴネだな…
    としか読み取れない私であるが

    ベルリン1945の姉妹による「叙景」は
    短絡した現実へのアナロジーは自由な解釈の妨げとなりかねない、のと
    上演劇団からの要請もあって削除、観客への語りかけに変更。
    ブレヒトはアンティゴネをヒューマニティの代表者に、クレオンを国家の代表者にするつもりはなく、
    個人が国家に対しどう振る舞うべきかを示したのでもなく、
    アンティゴネがクレオンと長老たちの国家に対してどう振る舞ったか示しただけ、という
    思考の、メディウムとしての演劇、公論形成の場としての演劇。

    という解説に助けられわかったように気になったのでした。

  • とにかく読みやすかった。ソポクレスによるいわゆるギリシャ悲劇をブレヒトが改作したもの。ソポクレスよりもブレヒトが前面に出てきてプロットよりも脚色とコンテクストの部分が気になりすぎて、もう終わったの?ってなった。オリジナルを思い出せないので、そちらと比べてみる必要があるかと思っている。

    しかし解説にあったブレヒトの「異化効果」っていうポリシーは印象に残る。芸術を情緒的なものとしてではなく、理性的なものとして現実理解の橋渡しとして使う。というよりもそれが本来の芸術だといわんばかり。「異化効果」という言葉の使い方がいまいちわからないけど、要するにメタ視点のことを言っている。ここが源流かなと考えた。

    17.5.1

  • ところどころ、ほーって感じ。古典らしさもありながら読みにくいこともないし、良かった。
    解説については全然わからん。ギリシャ神話とか?演劇とかもっとたくさん読まないとわからないなと思った。!

  • ギリシア悲劇のアンティゴネをブレヒトが改作。
    エテオクレスとポリュネイケスの争いは戦場でエテオクレスの死を目撃したポリュネイケスが敵前逃亡して故国で罪に問われて埋葬を禁じられた設定でした。
    ヒトラーに追われてドイツを離れたブレヒトが独裁による法と人としてのあり方を問う作品に仕上げたように私には感じられました。
    解説が詳しく、こちらを読んでから再読するとまた深みが出ました。

  • テーバイの王クレオンが仕掛けた侵略戦争で、戦 場から逃亡し殺されたポリュネイケス。王は彼の 屍を葬ることを禁じるのだが、アンティゴネはそ の禁を破って兄を弔い、伯父クレオンに抵抗す る…。詩人ヘルダーリン訳に基づき、ギリシア悲 劇を改作したブレヒトの今日性あふれる傑作。

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