通り魔: 昭和ミステリールネサンス (光文社文庫 ゆ 4-6 昭和ミステリールネサンス)

著者 :
  • 光文社
3.40
  • (0)
  • (2)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 29
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334777173

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • *東京の千川上水沿いで連続する“通り魔”事件。いずれも若く太った女性が臀部を切りつけられ、被害者は数を増すばかり。だが、警察の捜査は捗らず、ついには婦警を囮に犯人を誘き寄せたが…。法の抜け穴をついた巧みな構成が光る表題作を始め、著者の記念すべきデビュー作「寒中水泳」、国際情勢を加味したスパイ小説「風の報酬」など、名手の腕が冴える傑作集! *

    よく練られた、読み応えのあるお見事な作品です。
    ただ、いかんせん1990年代モノなので、設定が古い・・・それも含めての魅力ではありますが、読む層は選ぶかも。

  • ミステリ短編集。飛びぬけたトリックというわけでもないけれど、意外性のある物語とブラックさも感じられる結末が魅力的な作品が多いです。なかなかに悪辣なのだけれど、傍目にはユーモラスでもあるかも。
    お気に入りは「喘息療法」。一番ユーモラスな読み口の作品。くすりと笑えて、ちょこっとだけ温かい気分になるような気も。このあと、この人たちはどうするんだろうなあ、ってなことを考えてしまいました。案外と仲良くやっていけたりして……?
    逆にシュールでブラックさ全開なのが「六年目の真実」。ううむ、これもまた知らないほうが良かった真実、なのかなあ。しかしこの結末はあんまりだー。

  • 寒中水泳 C+
    天上縊死 A
    死ぬほど愛して B
    通り魔 A+
    喘息療法 A
    不可抗力 B+
    六年目の真実 B
    風の報酬  B

    あるフィルムの背景もそうだったが、この作家は幅が広い。本格ミステリからブラックユーモア、スパイ小説と豪華なラインナップだ。お勧めしやすい。高クオリティな作品群である。
    特に「通り魔」の大がかりなトリック、「嘆息療法」の計画破綻。物悲しさの中に、なんともいえぬ余韻を残す。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

結城昌治

一九二七(昭和二)年、東京に生まれる。四九年、早稲田専門学校を卒業し、東京地検に勤務したが、結核が発病し三年間の療養生活を送った。五九年、短篇「寒中水泳」によって認められ、『ひげのある男たち』『ゴメスの名はゴメス』等を執筆し、ユニークな推理作家として注目された。七〇年、「中央公論」に連載した『軍旗はためく下に』で第六十三回直木賞を受賞。ほか『夜の終る時』『志ん生一代』など著作多数、「結城昌治作品集」(全八冊)がある。九六(平成八)年一月没。

「2020年 『軍旗はためく下に 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

結城昌治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×