- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334791094
感想・レビュー・書評
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郊外につくられた、大規模な人工都市「若葉ニュータウン」。1971年から2021年まで…ニュータウンの変遷を、そこに住む人々の悲喜こもごもと絡めながら綴られる、十年毎の団地年代記。
高度経済成長期、バブル全盛期から不景気突入、震災、そして今。時代の移ろいと共に、ニュータウンの立ち位置も変わってゆく。連作短編という形式が、人々の歩みを語るのにピッタリだなと思った。どの時代も、どのエピソードも、懐かしく少しほろ苦い。よりよい暮らしを求め、時代の流れに翻弄され、上を見ては躓き。様々な世代の喜怒哀楽が、どこか自分の軌跡と重なるようだ。
そして、ニュータウンの歴史についても初めて知ることが多く、どれほどの人々が夢を抱いて新しい生活に飛び込んだんだろうと思うと、何だか感慨深かった。こんな風に伏線が回収されるのか!と、あの人この人の「その後」をさりげなく気付かせてくれるのも嬉しい。改めて…町は生き物なんだなと思える。その「町」を生かすのは人なんだと、これまた改めて強く思える一冊だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
題名を見た時に、自分が未就学児から中学生まで住んでいた団地での、生活、友人関係、町の移り変わり等とダブるのではないか?と思い読み始めました。解説も参考文献も見ず、「わが丘1971」から読み進めるにつれ、モチーフは「多摩ニュータウン」だとわかりました。自分が住んでいたのは多摩ニュータウンではない、都営団地で入居した時期は1971年より早いのですが、ほとんど変わりません。この小説は、年代記としての物語ですが実際、人工都市に住んでいた私には昔を懐かしみもしますが、自分の故郷が人口の減少、建物の経年劣化によって建て替えられることで跡形もなく無くなることに寂しさを感じます。どんな街でも最初は開拓地であり、それが後世まで続くのか否かは誰も判りません。京都や奈良も、その当時では新しい街だったと思います。それと比較すると50年は短いスパンなのかもしれません。
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モデルが多摩ニュータウンだと分かり感慨深く読み終えた。時代背景も自分とかぶっていたからまるで実話のように思えた。ラストは今後この街がどのように変化していくのか想像してくださいというような感じで10年後、見届けられるかな…
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ニュータウンを舞台にした、1971年から2021年の、10年ごとの連作。歴史の一部一部を切り取った作品。大きなドラマはなく、小さな凸凹が起きる話。ほっこりでもなく、ドキドキでもなく、ちょっとどっちつかずだった。
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ニュータウンの誕生から衰退までの50年を10年ごとの出来事でつづった短編集。取り留めの内容で小説ならではの大きな展開もない。
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多摩ニュータウンの50年を描いた連作小説
多くの家族が憧れていた多摩ニュータウン。高度経済成長を経てバブル景気、バブル崩壊、震災など、それぞれの時代をたくましく生き抜いた人々の物語
役割を終えたかに見える人口都市のこれからがどうなるか。コロナ禍の今、主人公たちの今後の物語も描いてほしい