- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334910778
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
あらすじを読んで謎解きものかと思ったが違った。やっぱり吉川トリコが描くのは、女たちの心の深淵だ。
高校時代の仲良し5人組。
「銀チョコラバーズ」とチーム名をつけて、くっつき合って笑い合って「5人揃えば最高で最強」だと信じていた。きっと誰もが経験したことがある、輝きに満ちた怖いもの知らずの日々。
卒業から2年後、仲間の一人がバラバラ死体で発見され、彼女の死にそれぞれが罪の意識を抱えながら16年の月日を経て、4人は再会する。
「本当に知りたいことのほとんどを私たちは卒業してから学ぶことになる。多くの場合、その学習には痛みを伴う。時には大きな喪失が要らないおまけのようについてくる。」p156
「どこからが自分でどこからが相手なのかもわからなくなるぐらい同じ温度でひとかたまりになっていたあの春は、もう二度と戻らないのだ」p197
それぞれの道に進む中で、もはや彼女たちは(私たちは)あの時の少女のままではいられない。
けれど、自分が「あの春」からどれくらい遠くまで行けたか、あるいは未だ辿り着けないでいるのか、比較し意識し続けるのは、常に「あの春」を共に過ごした友人たちの存在だ。
「私ね、思うんだけど、友だちって密に連絡をとりあって、ずっとそばにいればいいってもんでもないんじゃないかな。若い時はさびしさに負けてわからなかったけど、いまならわかる。どっかで無事に生きててくれるだけでいいなって。」p290
相手を傷つけ、自分も傷つくような、未熟で剥き出しの人間関係の中で出会ったからこそ、かけがえのない存在。
過去を振り返る作業は、痛みと後悔と身勝手な自己欺瞞とに満ちて、全編通して息苦しい。 -
昔は仲の良かった同級生も月日が経つとともに大きく変化していくよなぁ。
違って当たり前と思っておかないと、数十年経ってから会ったりできないかもしれない。 -
2023/01/22
なんとなく借りてみた本。
人はいろいろあるし変わっちゃうこともあるよなぁ、と思った -
友人の死への罪悪感はあっても、彼女達のほとんどは己と戦おうとしなかったんだなぁ…。
甘えてる。
と言っても、胸を張って断罪出来る私でもないのだけど。
私達のほとんどが多分そうなのだけど。 -
仲良し“だった”女子5人組。
こんなにも複雑で、
だけどこんなにも繊細で。
女同士ってこんなにも厄介な関係だと
まざまざと見せつけられた感じ。
とにかく一番不気味だったのが法子。
彼女の異常に粘着質な執着心が恐ろしい。 -
高校時代に仲の良かった5人組。
そのうちの1人が殺されることによって
残りの4人が,お互いの関係について
考えていく・・・というもの。
女同士の友情について,裏にはいろんな感情が
入り混じっていることは分かります。
が,5人の関係性については
こんなに早い段階でそんな風に変化する?!
と思う部分が多く,それほど感情移入できず。
図書館で予約してた本が立て続けに届き
急いで読んだ最後の1冊だったこともあったのかも
知れませんが,評価は☆3つというところでした。 -
「銀チョコラバーズ」というチーム名をつけ、「うちら最高!」と最強の仲良し女子高生だった5人組。
田舎町の進学校を卒業後、それぞれの道を歩み、そのうちの一人が20歳にして殺される。
それからさらに十数年の月日が経ち、フリーライターだった志津が田舎に戻ってきたことから彼女たちの時計が再びまわりはじめる。
女同士の自尊心、自我、コンプレックス、優劣の競い合い、それぞれの思惑が絡み合いながら、かつての「仲良し」だった少女の死が少しずつ解きほぐされていく。
登場人物はわかりやすい典型として描かれているけれど、大なり小なり、女性だったらこういった「昔の仲良し」との距離の測りあいや牽制に思い当たる部分があるはずだ。
新しいテーマではないけれど、普遍的であるがゆえによくわかる、そんな物語だった。