Blue

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  • 光文社
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  • / ISBN・EAN: 9784334912734

感想・レビュー・書評

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  • 孤児、虐待、生活保護、外国人労働者、差別等、作中では多くの社会問題が取り扱われていて、とても興味深かったです。
    とはいえ、個人的にはその観点よりも、1つのサスペンスとして単純に読み切った印象が強いです。なぜだかわかりませんが。
    この作家さんの本は他に数冊読んだことがありますが、社会派の内容が多いのですかね。
    好きなタイプの文章なのでもっと読みたいのですが、テーマがテーマだけに、中々に重さがあります。
    ---
    「だからといって、愛着がなくなるわけじゃありません。愛情と嫌悪は、まったく正反対の感情ですが、二者択一ではないのです。人は人を愛しながら憎むことができる動物です。
    ---

  • 平成15年に発生した「一家惨殺事件」と平成31年に発生した「男女2人殺人事件」、2つの事件のつながりをひも解くと、青という名でブルーと呼ばれる青年が浮かび上がる…。平成元年に生まれ、平成という時代を生きたブルーの生き様を通して、無戸籍児、児童虐待、子供の貧困、外国人労働などの社会問題に切り込んでいくストーリー。

    葉真中顕さんの作品は、これでもか!というくらい、色んな問題を突きつけてきます…。やっぱすごいって実感しました。すべての子供たちが安心して生きられるような未来を、大人が作っていく必要がある…ブルーのような人生を送る子供がいてはいけない…そう強く思いました。平成の時代から令和に…令和になってもう5年経過していますが、この作品に描かれている様々な社会的問題は同様にあり続けている…そう考えるとなんとも言えない、やるせない思いを抱いてしまいます…。

    そして、なんというのか…リアル同じ時代を生きてきたこともあって、あぁ…そうだったなぁ~こんなことがあって、その時良く聴いていた曲とか、すごく懐かしかったです。この作品は、ヒボさんからのおすすめしていただきました。読めてよかった、ありがとうございます!

    • かなさん
      ヒボさん、おはようございます。
      お返事が遅くなってしまいごめんなさい。
      「コクーン」も結構、面白く読めました♪
      「ロングアフターヌーン...
      ヒボさん、おはようございます。
      お返事が遅くなってしまいごめんなさい。
      「コクーン」も結構、面白く読めました♪
      「ロングアフターヌーン」と「灼熱」を今度読んでみようかと思っていますが
      ちょっと先になりそうです(^-^;
      私は、図書館から借りたい本と、家に積んである本、
      どうしても、図書館が優先されて
      手元にある読みたくて手に入れた本が読めない状態になっています…。
      でも、これも幸せなことですよね~
      それだけ読書を楽しめているがゆえの悩みだから(^-^;
      コメントありがとうございます!
      2023/04/27
    • なおくんさん
      かなさん^ ^
      こんばんは♪
      この作品参考にさせて頂きました。
      評価と内容が良かったので気になって今日ポチッとしてしまいました笑

      積読が多...
      かなさん^ ^
      こんばんは♪
      この作品参考にさせて頂きました。
      評価と内容が良かったので気になって今日ポチッとしてしまいました笑

      積読が多いのですぐには読めませんが5月中には読了したいと、いや、します笑

      有難う御座います(*^^*)

      2023/05/01
    • かなさん
      naokunyane8さん、おはようございます♪
      嬉しいコメントをありがとうございます!!
      葉真中顕さんの作品は、私が読んだ作品はすごく...
      naokunyane8さん、おはようございます♪
      嬉しいコメントをありがとうございます!!
      葉真中顕さんの作品は、私が読んだ作品はすごくよくて
      夢中になって読めますよ!
      ぜひとも読んでみてください。
      ただ、そんなに早く読まなくとも大丈夫です。
      読みたい時期やペースもあるかと思うので
      naokunyane8さんが無理のないところで読まれるのが一番です!
      今日から5月ですね、今月もこれからも
      お付き合いくださいね、よろしくお願いします(^-^)
      2023/05/01
  • 児童虐待、子供の貧困、外国人労働者への不当な扱い、売春など、格差社会の闇に迫る。

    子供の問題は難しい。児童虐待シーンが生々しく辛かった。
    母親は怖くて嫌だ、だけど子供の心から母親を好きという気持ちが消え去る事はあまりないらしい。

    この本の主人公ブルーもまた…。
    どんなに酷いことをされても、ただ母親に大好きと言ってもらいたかった。
    ブルーの母親は私の読書史上最悪の女だった!


    平成15年に迷宮入りした青梅一家惨殺事件。平成が終わる直前に起きた男女殺人事件。
    ふたつの事件は繋がっているのか。

    最後に青梅事件について語るブルーの真実に驚いた。
    ブルーが欲しかったものは…悲しいなぁ。
    第2部では穏やかな日々を暮らすブルー。
    だけど、そんなブルーが最後に思ったことは…やっぱり哀しいなぁ。

    ブルー、ブルー、私もあの日綾乃と一緒にブルーを追いかけたかった。
    そして、ひとこと声をかけてあげたかった。


    何より大切なのは無条件で愛を注いでくれる親の存在。
    だけど、どうしても子供を上手く愛せない人もいるという。
    児童相談所で働く人の気持ち、介入の難しさ。
    色々と勉強になりました。


    *心に残った懐かしい言葉*
    家なき子「同情するなら金をくれ」
    たまごっち
    森ガール
    踊る大捜査線

    • あいさん
      くるたん♪

      コメントありがとう(^-^)/

      ブルーの母親全て人のせいにするよね、両親のせい、ブルーのせい、恋人のせい、そういう...
      くるたん♪

      コメントありがとう(^-^)/

      ブルーの母親全て人のせいにするよね、両親のせい、ブルーのせい、恋人のせい、そういう人嫌だわ。

      平成が始まった時私は社会人2年目。
      結構ハードだったな。怒られまくり(笑)
      バブルもバブルの弾けも体験したな。
      就職、結婚、出産、と第2の人生の始まり、そして、終わりかな。
      これから第3の人生どうなるのかしら(*≧艸≦) 楽しまなきゃ。

      私ももちろんブルーを責めない。可哀想だよね。誰も読まないだろうけど、一応ネタバレ書くので数行開けるね。









      私は青梅事件母親のためにやったって思っていたんだ。それが、自分の妬みだったって事が、よくない事だけど嬉しかった。
      ブルーは愛が欲しかったんだよね。
      そして家族愛を知った時、今度は苦しんで…

      amazonの評価も高くみんなこんな社会派をきちんと読んで偉いなと思ったよ。
      私もくるたんのおかげです。
      背中を押してくれてありがとう♪
      ブルーな気持ちはもう吹き飛んで、今は刑事物読んでいるよ!
      こちらもくるたんが紹介してくれた作家さんの作品。
      刑事の慟哭です。なかなかいいペースで読めてるよヾ(≧∪≦*)ノ〃
      2019/07/18
    • くるたんさん
      うんうん。私もあの青梅事件はそんな気持ちが伝わってきて、たまらなかったよ。

      最初は表紙のブルーが挑戦的な目だなって思ってたんだけど読了後の...
      うんうん。私もあの青梅事件はそんな気持ちが伝わってきて、たまらなかったよ。

      最初は表紙のブルーが挑戦的な目だなって思ってたんだけど読了後のは悲しみの目にしか見えなかったよ。

      こういう子供の心情はどんな作品でもつらいね。

      あ、刑事の慟哭ね♪私はまだまだ順番来ないわぁ。
      ゆっくり楽しんでね♪またレビュー待ってるね♪
      2019/07/18
    • あいさん
      くるたん♪

      くるたんとブルーを話せてよかった!
      なかなか難しい作品だったからね。
      悶々とせずに済んだよ、ありがとう(⁎˃ᴗ˂⁎)
      ...
      くるたん♪

      くるたんとブルーを話せてよかった!
      なかなか難しい作品だったからね。
      悶々とせずに済んだよ、ありがとう(⁎˃ᴗ˂⁎)
      表紙印象的だよね。私、目もだけど、唇が気になって…

      私この前くるたんと話してから、毎日図書館の新刊チェックしてるんよ。
      だから結構ひとけた順位なんよ(*≧艸≦)
      ありがとう、楽しんで読んで、刑事の慟哭くるたんにバトンを繋ぎますヽ(*´∀`)人(´∀`*)ノ
      2019/07/18
  • その怒り、その悲しみ、その絶望。なぜ殺人鬼が生まれたのか…

    痛ましかった…
    児童虐待、子供の貧困、外国人労働者などなど。悲しい事件になってからニュースで目にするような事で、本当はその前に目をそらしちゃいけない事。

  • 平成が始まる日に生まれ平成が終わる日に死んだ”ブルー”。ブルーの壮絶な人生。青梅の一家殺人事件、多摩ニュータウンのカップル殺人事件はブルーとどんな関わりがあるのか。平成に起きたことをからめ物語は進む。
    一枚の写真をめぐり、事件の真相を追って、物語に引き込まれていきました。平成史でもあり、無戸籍、外国人労働者のお話もありましたが、児童虐待の物語としてが強く残ります。悲しいことにブルーのような子供は一定数いると思います。子供は親を選べない。愛されて育てられること。当たり前のようなことですが、愛を受けれない子もいる。どうにかならないものか。やり直せるチャンスを与えられる社会にならないものか。


  • 光があたる場所や時間もあればその逆もある。

    そのまるであたらない、闇の中のような彼の人生。

    何度も眉間に皺を寄せ、息苦しさを感じながらも葉真中さんの描く世界、青の世界に吸い込まれた時間。
    息つく間もなく平成という時代を振り返りながら駆け抜けたような時間だった。
    淡々とした描写でさえも全てが、心に響く。

    この時代にこの時を生き、守るためにはこうするしかなかった、という誰もの心の叫びが聞こえてくる気がした。

    読了前は挑戦的に感じたブルーの瞳。
    読了後にはただ哀しみがにじむブルーの瞳にしか見えない。

    そして問いかけられたような気がした。「あなたはどんな平成を生きたんですか?幸せだったんでしょう?」と。

    • あいさん
      葉真中さんの作品は「凍てつく太陽」を積んでるわ。
      でも「Blue」の方が面白そう!
      平成も終わってしまったよね…
      葉真中さんの作品は「凍てつく太陽」を積んでるわ。
      でも「Blue」の方が面白そう!
      平成も終わってしまったよね…
      2019/05/26
    • くるたんさん
      「凍てつく太陽」私も未読だー。

      こちらは「絶叫」系社会派サスペンス♪
      子ども絡みの悲しい問題が突き刺さるよ。

      葉真中さんの今、令和時代へ...
      「凍てつく太陽」私も未読だー。

      こちらは「絶叫」系社会派サスペンス♪
      子ども絡みの悲しい問題が突き刺さるよ。

      葉真中さんの今、令和時代へも続く問題へのメッセージみたいな気もするなぁ。

      あまり低評価は見かけないから良かったら、ぜひぜひ♡
      2019/05/26
  • デビュー作「ロスト・ケア」で衝撃を受け、約3ヶ月の間に3冊目の読了となりましたが、読み終えた作品は全て☆5つの評価。

    間違いなく私の魂を揺さぶる作品を生み出してくれています。

    読み終えた作品に共通するのは、著者が同世代でもあり、時代設定がまさに私が生きてきた時代。

    そして、現実に起こった事件や社会問題が一層作品の世界をリアルにしてくれます。

    そこに描かれるのはもう一つのテーマは「殺人」。

    許されるハズがないテーマにも関わらず、それぞれの背景を丁寧すぎる程に読者に理解させる為、純粋に「許されざる罪」としてではなく、読者に大きな苦悶を残す。

    本作もクライムノベル(犯罪者を主人公とした小説)で、主人公のブルーは計7人もの人を殺めます。

    その中には罪もなき幼い子供も含まれています。

    殺人犯として追い詰められたブルーは警察に追われる中で車道に飛び出し死んでしまいますが、私にはブルーが自ら命の灯火を吹き消したように感じました。

    いわゆる「どんでん返し」のようにラストで驚愕の事実を楽しむ作品を好んで読みますが、葉真中作品は読み終えた直後、放心し、内なる自分と向き合わせてくれる。

    間違いなく今後も追い続けていくことになりそうです♪



    説明
    内容紹介
    平成元年に生まれた男。平成15年に迷宮入りした教員一家惨殺事件。平成が終わる直前に起きた男女殺人事件。ひとつの時代の中でつながっていく真実。児童虐待、貧困、外国人労働者。格差社会の生んだ闇に迫る、クライムノベルの決定版!
    内容(「BOOK」データベースより)
    その怒り、その悲しみ、その絶望。なぜ殺人鬼が生まれたのか。児童虐待、子供の貧困、外国人労働者。格差社会の闇に迫る、クライムノベルの決定版!新大藪賞作家が、平成に埋もれた真実をあぶりだす!
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    葉真中/顕
    1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家デビュー。ほかの著作に、『絶叫』(吉川英治文学新人賞候補・日本推理作家協会賞候補)、『コクーン』(吉川英治文学新人賞候補)、大藪春彦賞受賞作『凍てつく太陽』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    • かなさん
      ヒボさん、こんにちは!
      こちらの作品、超大作でしたっ!!
      色々と考えさせられましたが、
      読めてよかったです(^^)
      ヒボさん、こんにちは!
      こちらの作品、超大作でしたっ!!
      色々と考えさせられましたが、
      読めてよかったです(^^)
      2023/04/24
  • 内容紹介 (Amazonより)
    平成元年に生まれた男。平成15年に迷宮入りした教員一家惨殺事件。平成が終わる直前に起きた男女殺人事件。ひとつの時代の中でつながっていく真実。児童虐待、貧困、外国人労働者。格差社会の生んだ闇に迫る、クライムノベルの決定版!




    こういう内容の本を読むと 本当になんとも言えない気持ちになってしまいます。
    今まで何度思っただろう?
    Blueは殺人を犯しているので 人として許されるわけではないんですよね。
    でも、子供のBlueにはどうする事も出来ない事が多々あっただろうなと想像してしまうんです。
    無戸籍って、親はどうして子供の将来のことが考えられないんだろう?そんな大人が子供を産んじゃいけないよな、と思ってしまう自分は単純過ぎるのかな?
    以前にも書いたことがあると思うんですが 子供を産んで育てるって責任重大だなぁと考えたのは もう我が子が結構大きくなってからなんですよね。
    子育て中は毎日が慌ただしく過ぎていくといった感じなので そういうことを考える余裕もなかったです。
    こういう風に考えれるようになってから 子育て出来ると子供をちゃんと叱ることが出来ただろうなと思います。

  • やりきれない。

    この物語を読み終えた今、私の心にあるのはその思いだ。

    ブルー。7人もの人間を殺した無戸籍の美貌の殺人鬼。しかし、このブルーを作ったのは親であり世界である。虐待され育った子は、親となり自分の子を虐待する。そうした負の連鎖がブルーを作ったのだ。


    この物語は2部構成である。第1部は、平成16年に起こった青梅事件を中心とした物語。一家4人が殺され、次女が自殺をしたことで事件は終結を迎えた。

    第2部は、平成最後に起こった事件で、籍は入れていない夫婦が殺され、その母親の連れ子と2人の間に出来た子がネットカフェで保護された。

    その2つの事件は何の関連もないように思われたが、どうやらブルーと呼ばれる男が深く関わっていることがわかった。
    第1部の事件を担当した藤崎刑事は、その事件の核心まで迫るが、あと一歩のところで真相までたどり着くことが出来なかった。そして、刑事を辞め、独自に事件を調査していく。
    第2部では、刑事になった藤崎の娘が事件を担当することになる。今回の事件を追ううちに、青梅事件との関連性が見えてきた。そして父親である藤崎から助けを得ることで、やがてその中心にいる人物、ブルーにたどり着くことができたが・・・。


    もちろん、殺人はいけないことだ。でも、正論だけでブルーを排除することもできない。ブルーの背景を考えると、どうしてもブルーには逃げ切って欲しかったという思いもある。それが渚の語る物語。こういう終わりがあっても良かったと思ってしまう。

    いずれにせよ、この物語には親の被害者である子が多く存在する。世の中を変えることなんてできないが、せめて自分の子にはそんな思いをさせないようにしていきたい。

  • 結構ページ数も多いし読むのに根気が必要だったけど、すごい面白かったし、考えさせられる話だった…。
    面白かったのが時事ネタというか、組み込まれた平成ネタが細かくて平成初期生まれとしてもそこそこ楽しめたこと。もちろん平成初期の話は聞いたことあるな程度だったけど、2部からのネタは記憶が鮮明な分「え、こんなことまで?」と思えるような芸の細さ。『GRL』が出てきたのには驚きでした(プチプラだから私もよく買う〜w)。
    児童虐待や貧困、無戸籍児、外国人労働者など、ワードとしては知ってるけど……というもののが本作のテーマ。その実情はあまりにも深刻で、読み終えた時は暫し呆然としてしまった。
    親を選べない子供。与えられた者と与えられなかった者。ブルーがしたことは本当に罪だったのか?リエンや渚は救われたのに、どうして彼は?
    ブルーに救われたはずの兄妹でも意見が割れることにも、なんだか言葉にできない虚しさを感じてしまったな。
    個人的には、奥貫さんに救いのある終わり方で良かったし、司の言葉には「そんな発想もあったのか」と感心させられた。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

葉真中顕の作品

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