結婚させる家

著者 :
  • 光文社
3.22
  • (3)
  • (30)
  • (59)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 311
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334913489

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 当初からの結婚への目的を貫く人
    かけ離れたけど
    真のパートーナーを見つける人
    読んでいるうちは 
    カップルの行く末が
    割と先が見えなくて
    どういう結果に落ち着くのか
    楽しめました
    一緒に生活してみて
    初めて分かることって
    あるよね
    いい意味で化学反応がある

  • 50代にもなると、親の介護や連れ子のことがあり入籍せずに事実婚を選ぶカップルが少なくないのか。なるほど

    恭子は40代以上向けの結婚相談所の凄腕相談員。
    会員を幸せにするというやりがいのため働く。

    会員のカップリングのため、相手の目に止まってもらうため、
    プロフの趣味欄から海外旅行を消させたり(お金がかかると敬遠される)、代わりに大して好きでなくても料理と書かせたり、自宅から駅まで徒歩通勤するならと散歩と書かせたり。

    抵抗を見せる会員に、
    人間関係を円滑にするためにはある部分について自分を演じるなんて当たり前よ、嘘をつくわけではないと説得してしまう。

    す、凄腕!面白い。
    婚活に行き詰まっていたら、頼もしい相談員だと思ってしまいそう。

    しかしカップリング後に破局した会員から
    「私っていうものが完成しちゃってるんですよね。変えられないし、変えたいとも思わない」「もう自分を飾ったり隠したりって、そういうのしんどいなって」婚活を止めたことを聞く。
    自信と誇りを持っていたやり方に疑問を感じ出して怖くなる。

    そして人生の先輩から
    「人の幸せって一種類じゃないでしょ。人の数だけ形がある」と言われて心に刺さる。
    今まで相手に好かれるために自分を演じさせていたことに気づく。

    結婚することが最終目的ならそれでもいいと思う。
    でも多くの人はその先の人生を幸せに暮らしたいだろう。
    結婚しました、ちゃんちゃん♪ではないのだから。

    私が一番ぐっときたのは
    支配的な両親と距離をとるために婚活を始めた純子。
    指示待ちの傾向を恭子に見抜かれやはり支配的な相手をすすめられてしまう。
    こういう気の毒な女性、結構いるんだろうな。
    最終的に婚活を止めて自分の道を、しかも大きな一歩を踏み出すところは応援したくなった。
    今まで抑圧されて自分で決断することを諦めていたにしては大胆な一歩に驚いた。


    もっと恭子の今後を知りたい。
    続編を望む!!

  • 入会資格を40歳以上に限定した結婚情報サービス会社で、カリスマ相談員と崇められる桐生恭子を主人公とした連作短編集。奇妙なタイトルは、この会社が手掛ける新企画、“宿泊体験”の舞台となる大邸宅「M屋敷」のこと。交際を始めたものの決め手に欠けるカップルとその家族を1週間共同生活させ、一気に仲を進展させようというものだ。いろいろな過去をもった男女と、自身も訳ありの恭子の成長物語で、面白くて元気になれる作品だった。

  • 40歳以上限定の結婚情報サービス会社に勤める恭子は、
    大邸宅で一定期間同居してみるプレ夫婦生活プランを始める。
    そこで過ごすカップルがメインではなく、彼らと関わるうちに変化していく恭子の話だった。
    身につまされないでもなかったが
    共感はなかったかな。
    [図書館·初読·7月22日読了]

  • 最初にタイトルを見た時、両親から結婚を急かされている娘さんの話なのかなぁなんて思ったけど、なるほど、婚カツの為の家なのか。だから、『結婚させる家』。なるほど。
    お話の中では婚カツをしている様々な男女が登場し、用意された豪邸でお試し生活を送り、真剣交際に進むか否か考える。
    お試し生活なんてしてしまったら相手の嫌なところに目が行って、うまくいかないんじゃないかなぁ。結婚は勢いが大事とも言うし。なんて色々思いながら読んでいたけど、むしろ一緒に暮らしてみたから良かった、というパターンもあっておもしろかった。もちろん破談になるパターンもあり、そりゃそうだよなと納得の結果。
    そんな人々と関わることによって、結婚相談員である主人公の恭子が、徐々に考え方が柔らかくなって穏やかになっていく様も良かった。
    桂さんは人が成長する姿を描くのが上手だなぁ。
    ラストはなんだか爽やかな気持ちになれる。

  • 図書館で借りたもの。
    カリスマ結婚相談員が企画したプレ夫婦生活。中高年の彼らは、深刻な過去、家族の存在、健康不安と、様々な問題を抱えているが…。人生のパートナーを求める50代男女の、滋味あふれる婚活物語。
    初読みの作家さん。

    40歳以上限定の結婚相談所で、「真剣交際」に踏み出せない「交際」中の会員を、1週間お試しで一緒に生活させてみる。
    当事者だけではなく、その家族も参加できるのが面白いところ。

    「会員を結婚させること」が会員の幸せだと思っていた相談員の桐生さんにも変化が。
    幸せの形は人それぞれ。

  • カリスマ結婚相談員の奮闘。

    刑期を終え、結婚相談所で15年働いてきた恭子は、最近、自分のコーディネートしたカップルの離婚率が高いことを知る。

    起死回生の企画として、大豪邸に真剣交際間近のカップルに宿泊体験してもらい、最終判断をしてもらうことを思い付く。

    参加者のバックボーンを深く知るごとに、個々の結婚への希望や熱い願いが、恭子の押せ押せで案内してきた結婚相談に変化をもたらす。

    幸せの形を「結婚」というものを軸に考える。

  • 40歳以上限定の結婚情報サービス会社で働く桐生恭子はカリスマ相談員。彼女の企画で、交際中の会員がしばらく一緒に暮らす「プレ夫婦生活」がはじまる。中高年ならではの問題を抱えながら、人生を再スタートする50代男女の滋味あふれる婚活物語。

  •  結婚相談所を舞台に繰り広げられる婚活群像劇。5章からなる。

         * * * * *

     うまい手ですよね、豪邸での共同生活というイベント。
     時間の過ごし方やくつろぎのひとときでの会話など、相手の価値観を垣間見るには適しているし、食卓をともにすることでわかる食の嗜好も結婚生活の重要なポイントとなります。
     その着眼点に感心しました。

     設定やストーリーもいい。

     カリスマ相談員の恭子と、恭子が担当するクライアントたちの背景も実によく考えられていて、それぞれの着地点が納得いくものになっています。
     さらに、クライアント成婚率の高さを誇る恭子が、真の「幸福」というものを考えて相談に乗るまでに成長し、自身の幸福に目を向けていけるようになるラストも、読後感を清々しくしてくれています。

     文章に若干かたさを感じます ( 自分だけかも知れません ) が、気になるほどでもないので、いい作家を見つけたうれしさのほうが大きいと思いました。

  • 他人だから自分の思い通りにはならないし、
    自分にしかわからないその人の良さがわかればベストなんだろうな

全53件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桂望実の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×