雨の中の涙のように

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334913618

感想・レビュー・書評

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  • しっとりと静かな夜に読みたい本。
    短編集かと思いきや、巡り巡って繋がっている。

    特に最終章は今この時期に読むといろいろ考えるところがあった。

    遠田潤子さんのファンになった。
    他の作品も読みたい。

  • 今回は短編なのかぁ、と読み始めて少しガッカリ。
    が、やはり面白い。

    連作短編だと分かり読むペースが上がる。

    堀尾葉介という元アイドルの俳優と何かしら関わりのあった人たちの話。
    葉介はスパイス的な要素のみでの登場かと思いきや、
    最後にガツンとやられる。
    油断しまくっていた分、衝撃が大きかった。

    いくら輝いて見える有名人でも、心の中までは分からないな。当たり前の事だが。

    本書を読みながら、ここ最近の著名人が亡くなられたニュースを思う。
    かの人達の心の雨は止まなかったのだろうか。

  • (図書館)

    芸能界のスター「堀尾葉介」を巡る連作短編、と見せかけた長編ミステリー。
    第6章あたりで、堀尾葉介関係ないやんって飽きてきたものの、やってくれますね。最終章で母親がどこに行ったか解き明かされるという。
    本編では脇役的にちらちら出てくる、好感度No.1俳優で、色も匂いも感じない登場人物。その人間味のなさがなんなのかが分かると、なるほどという感じです。
    オーラスは前向きに締めてたけど、これはめちゃくちゃイヤミスです。第4章に戻って、親父、幸せになってんじゃねーよ!と文句言いたい。

    途中のタイトル回収は良かったからハートフルな話かと思ったのにー。読んで損はない作品だけど、後味は良くないです、イヤミスだもん。

  • 堀尾葉介という1人のスターをめぐる物語でした。短編形式ですが、最後にはきちんと1つの話に繋がっています。個人的には、5章のシンガーソングライターと妻を亡くした男性の話が印象に残りました。自分もいろんな人の人生に影響を与えることができたらなあと思います。

  • 俳優の周りは幸せになっていく。
    当の俳優本人は、仮面を被って俳優を演じており、自身はずっと幸せではなかった。皮肉

  • 予備知識なく、タイトルだけで借りた本でしたが、ラストまでしっかり引っ張られました。

  • オーラのある俳優、堀尾葉介。彼と過去に関わった人たちを描きながら、葉介本人の人生を浮かび上がらせて行く。
    タイトルと雰囲気があってて、なんかしっとりした、ちょっと暗い感じ。

  •  連作短編のようでいて、堀尾葉介の物語である。演じる生き方の人生。共依存の父と母のもと傷つく子供。作者の文章力か素晴らしい。読みやすくもあった。

  • ドラマティックの一言。

    8話収録の連作短編集、全編に共通して描かれるのは堀尾葉介と雨。

    容姿端麗で俳優としての才能にも恵まれ非の打ちどころがない葉介。
    葉介との一期一会の出会いによって登場人物達の人生に変化が訪れる。

    人は誰しも外から見ただけじゃ本質は分からない。
    いつも笑顔で幸福そうに見えても心の底では苦しみを抱えていたりする。

    霧雨、小雨、大雨、ゲリラ豪雨、登場人物達の心情が様々な雨の表情と重なり、胸が締め付けられる思いだった。

    葉介自身の心に絶えず降り続いていた雨も今は止んで、美しい青空が広がっていると信じたい。

  • 圧倒的なオーラのある俳優、堀尾葉介。
    アイドルグループの一員として14歳でデビュー。
    22歳のときに演技の勉強のためにアイドルをやめる。
    地道な努力が実り、アクションから時代劇までこなす実力派の俳優に。
    容姿と才能に恵まれ、誰もが好感を持ち、賞賛する男。

    最初は、非の打ち所のない、葉介のどこが面白いのか分からず。彼を中心に短編が続く。

    売れない役者、商店街の卵屋、潜水士、炭焼き職人、など…

    転勤先ですぐに男を好きになる葉介の母を殺めた父。
    自身は不慮の事故で車椅子の俳優に転身。
    (葉介がAMGに毎度乗っているのには、何か訳があるのか?)
    彼は、夫婦関係の破綻、父親の暴力、母親の浮気、がどれだけ子供の心を殺すか、を考え続け、堀尾葉介である時間が辛く役者になり、誰かを演じることで救われていた。
    最終章で男の子とする会話に少し光が見えかけたが、父親はあのままでいいのか。
    なんだか終わり切っていないラストシーン。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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