- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334923631
作品紹介・あらすじ
強烈な個性を持つ男の女性関係を描き、小説の大きな役割に真っ向から挑んだ著者の最高傑作。
感想・レビュー・書評
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見えるものばかり追いかけてばかりいたら、人はどんなことにでも絶望するしかなくなってしまう。過去のトラウマにより、驚異的な記憶力を持つ、非凡な青年。彼には、才色兼備のスタイリストの恋人と、子持ちのバーのママである愛人、SMプレイ相手の人妻という女性関係があり、さらに家庭教師の元生徒だった少女と、たまに泊まりに来る弟のような青年という疑似家族がある。
愛について、生と死について、突き詰めて考えずにいられない彼の内面を通して、作者は「何が一番大切なのか」を問いかける。 デビュー作『一瞬の光』で注目を集め、村上春樹にも比較される異才の最高傑作。書き下ろし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公が良い方に変わるのか、より壊れていくのか気になって一気に読んだけど、変わらないままだった。必要とされる喜びを感じてるのに自分勝手に振り回して突き放して痛々しい。でも人は変われないしぽっかり空いた穴は他のものでは埋められないよねと思った。私は枝里子さんに感情移入だなぁ。まっすぐで一生懸命で、理解しよう理解しようって相手を想う姿勢に共感。でもわかり合える相手じゃなくて、嫌いになりたくないって頑張ってる姿が痛々しくて苦しかった。端から見るとわかるけど、渦中にいるとわからないんだよね…。あと、そんなに出てこないけど性描写がえろかった(笑)大西夫人がドM過ぎる。旦那さんが20歳上の貿易商で一年の半分は海外にいる、いろいろ満たされない有閑マダムな感じに描かれてて熟女想像してたらまさかの32歳だった(-∀-;)…。
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この人が新刊を出すと、好きじゃないのになんでか買ってしまう。「なんで好きじゃないのか」を検証するために読んでいるような気がする。んで読後に「あー、やっぱ好きじゃないわ」と確認したいのだろう。
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題名も良いし、内容も良い。
随所で哲学的思考が上手く含まれている。
この著者の他の作品も読みたい。 -
面白い
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幼少期にトラウマ的に傷つけられた人間は、防衛本能が働き人との関係が回避的になる。
本当は必要とされる人間となりたい承認欲求は誰よりも強いが意にそぐわない事があるとすぐに関係を破壊してしまう。
主人公は幼い頃に母親に捨てられるという経験をした。この経験から思考力は深くなったが人間関係には非常にドライになる。
一方で愛情に包まれて育った人間は、傷付いても人間関係を深く構築しようとする。
このストーリーはそんな思考や価値観が違う二人が、感情をぶつけ合い、お互いに傷付け合い、癒しあったりする。
普通だとこんなぶつかり合いの中で感情の距離感は縮まっていきそうだが、感情を正直にぶつければぶつかる程、二人の違いが明瞭になっていくのがリアル。
心に残った言葉
・人の感情は火花の様に瞬間の明滅で、そのひとつにもともと何の統一もありはしない。
・人生というのは死と直面しないと、本当の力も人間の生の粘り強さも示すことができない。 -
2018.03.05 朝活読書サロンで紹介を受ける。
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死の受容は、一切皆苦であり、輪廻の中に人は存在していて、全ての物事は然程意味の無い事である。過激な性描写も然り。親からの愛情を受けない環境で育った主人公は、典型的な回避依存であり、去るなら、近寄るな。これでもかと傷付けても尚、自分を求めるのであれば、今度こそ離れないと確信出来る。無意識に試さずにいれない。去られるのが怖いし、傷付けるから、先に離れたくなる。自分が愛される事を信じていない。本当は必要とされたい。それが、拓也との河原での場面に現れている。
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一部、自分を見ているようで耐えきれなく、もしくは「阿呆か…」と感じざるを得ない場面も多くて困る。
嫌いではないのだけれども、ではなぜたまにこの人の本を手にするかというと、この作家がなにか今までの書いてきたテーマ、もしくは考えてきたテーマを凌駕する瞬間を見たいからなのかもしれない。