カンランシャ

著者 :
  • 光文社
3.13
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本棚登録 : 194
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926618

作品紹介・あらすじ

夫婦でいるとか、恋人でいるとかって、本当はどういうことなんだろうな。不動産会社に勤める瀬尾隆一は、大学時代からの先輩・蛭間直樹の妻・いずみのことが気になっている。いずみから直樹が浮気をしているのではないか、と相談を受けたのがきっかけだった。自身の妻・信子とは2年前から別居中で、すでに愛情は枯れてしまっている。次第に距離を縮めてゆく二人だが、失うには大きいものが多く、なかなか踏み込めない。そんな関係が煮詰まってきたある日、直樹が病院に運ばれた-。

感想・レビュー・書評

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  • 夫直樹の不倫を知りながら、夫の帰りを待つ妻いづみ。
    彼女自身も、いつか夫の後輩隆一に恋するようになる。

    それぞれの視点からのストーリーが章ごとに変わるため、各々の気持ちが手に取るようにわかり、とても読みやすかった。
    仕方なかったのかなと思いつつ、不倫を「恋」としてしまう事には、少々抵抗があります。
    気持ちが離れていく、好きが盛り上がっていく、最後は収まるところに収まった感じでしたが、やっぱり、何となく納得いかなくて…。
    小説ですから、楽しみましたが。

    いずみは、妊娠を隆一に告げてないようだけど、大丈夫なのかな?

  • 図書館で、表紙とタイトルに惹かれ借りてみました。
    伊藤たかみさん、初めてです。

    不倫のお話でしたが、嫌な感じがなかったです。
    むしろ、ちょっといいなと思った。
    余韻も良い感じで、読了後が好きな感じです。
    登場人物3人の気持ちが順番に書かれ進んでいくので
    とても読みやすいというのもありました。

    なかなか、好きな本でした。

  • 不倫ものって、読みやすいものが多い気がします。
    でも、感情移入をしたり、心に残る言葉があったり、そういうのではなく、
    展開を楽しむ。
    不倫をした人の末路を知りたい。
    そんな感じで読むことが多いです。

    ですが、こちらの本は、不倫の話なのに、嫌悪感があまりなく読めてしまいました。

    恋に溺れてるくせに、どこか現実的な部分もあり、

    昔は好きで結婚したはずなのに、
    気持ちって永遠じゃないんだよねー

    「優しさだって、互いに好きだという感情が前提になければ、決して心地の良いものではない。」

    「二人の溝は、味の薄い不味い太刀魚を平らげてくれることぐらいで埋まるようなものじゃないのだ。そんなことをやったって、1ミリたりとも心は近づかない。」


    どうにもならない取り戻せない愛情への諦めをすごーーくかんじました。

  • 恋が灯す火がたまにとてつもないエネルギーになって、本書にもあるように"そうするしかなかった"ことになることがある
    そのエネルギーをコントロールして良くも悪くも完成させた隆一さんの強さと覚悟に恐れ入りました

  • カンランシャ

  • 女性誌CLASSYに2007年から2年間連載された作品の加筆修正。伊藤たかみさんお初。世間で辟易しつつある不倫モノ。背徳感と闘いつつも、Noと断れない男と女。他人のものを奪い、相手より自分の優位を確認したいだけじゃないのかと、思える男と女。こういう人たちがいるから不倫は存在する。登場人物各々の視点で話が推移して展開は流れるよう。ただ女性たちの心情の描き方が私は物足りず。心の中の葛藤がもう少し欲しかった。ファッション誌の連載なのでそこは納得。

  • 『 ふらち・・・・・・、』

    伊藤たかみはギブソンという作品から嫌いになったのだが、そろそろ嫌いを返上してもいいかもしれない。

    ただ気になったのは、技法としてあの書き方をするのならば、もっと効果的なネタを入れた方が良かったのではないか。ただ読み辛いだけ。

    書評は下品だし、テーマもよくある話だし、伊藤たかみってだけでハードル下がっているところがあるけれど。

    後半、雨の擬音をさああと表現しているのがすごく好きだった。映画は売れないから作らない方が良い。書評家が締めに!を使うのは作品を軽んじていると思う。本当に下品。

  • 16/05/01読了。ドラマになりそうな。CLASSYに連載していたらしく、納得

  • 複雑な三角関係、と思いきやきれいに型にはまったって感じの三角関係。読みやすかった。

  • W不倫だけど、それほどドロ沼劇ではないが…
    都合のいいおさまり加減が違和感あり。

  • 装丁の雰囲気で選んだ図書館本。一組の夫婦の不倫物語。登場人物が少なく、設定はかなりこってり。どろとろしているかなーと恐る恐るだった。
    それぞれの気持ちの襞がよく表現されているけれど、どこか冷静にも感じるのはそれぞれが大人だからなのか。愛のたまにある激情がある意味スパイスなのかもしれない。
    「人間が唯一失わないものがあるとすれば、それはきっと孤独だけだよ」は名言。だから恋をするのだろうと。思い出を重ねていく様子、街の風景が目に浮かぶような綺麗な物語でした。
    どことなく江國さんの雰囲気を感じる。
    結末はやや拍子抜けかもしれない。

  • 葛藤の描写が弱く、不倫や生死などの重たいテーマを扱う割に、さらりと読めてしまい、上滑りした感がある。
    いちばん描くべきなのは、夫に浮気され自分も不倫に走る妻のいずみの感情や思考の揺れだろう。しかし、そこがいまいちうまく表現されておらず、もやもやした。恋愛を現実に進行させるとは、この言葉では表現できない、決断もできない、決めかねる態度が実際なのだろう。しかし、小説家はそこを、曖昧なままにしてはいけない。きちんと言葉を紡いで切り込んでいかなければいけない。さいごに、「恋愛は決意の連続なのだといずみは思い出した」で締めくくられるのだが、ほんとに書くべきなのはその決意のやり方であり、そこで起こる葛藤ではないのだろうか。

  • 「男女の恋愛ものだと不倫は不可欠」そう思ってしまいました。
    お互いがお互いのことを思って、でもそれ以上に自分の立場と相手の立場があって身動きできない大人たち。
    動く努力もするが、保証も何もない未来に動く、勇気ある隆一はかっこいいのか馬鹿なのか。不倫に対しての価値観を描いた作品で面白かったです。結婚しても人間だもの、恋する気持ちはあるよね。

  • 「頭でも心でもないし、ましてや下半身でもない。それでもどこかが、いずみさんを捕まえるために必死なんです。男としてどれだけ卑怯だろうと何だろうと、もう、どうにもならないんですよ。僕だって好きでこんなことしてるんじゃない。」皆さんあまり葛藤もなく簡単に傾いていた様な…
    それにしても三冊連続で不倫が出てくるなんてどれだけ日本に多いんだw

  • 不倫や浮気の話ってあまり好きではないけど、なぜかこれはすごく清々しい気持ちで読み終われた。

  • 一応みんな収まるところに収まったんだけど
    これでいいのか?という感じは否めない。

  • 浮気中の直樹の言い分が身勝手すぎて笑えるけどリアル。なんでばれてるって分かんないかなー。
    愛のキャラ描写が足りなくて、先の見えない直樹を独占しようなんていう心理が理解しがたい。
    いずみと隆一の恋の始まりのふわぁっとした感じや、くすぐりあうようなやりとりは心地よく読めるけど、生々しさを避けてるようで物足りなくもある。

    「八月の路上に捨てる」よりは数段落ちる。

  • 止まらない気持ち。止められない気持ち。

    起業して仕事に追われる夫の直樹が、浮気をしている、らしい。
    夫の携帯に細工して、受信メールを転送できるように設定し、落ち着かない日々を送るいずみ。

    妻のいずみのことも、愛人である愛のこともそれぞれ好きで大切で、ふらつく直樹。

    浮気をされてから妻と別居している、直樹の後輩の隆一。そしていずみへの芽生えた気持ち。

    不倫の話です。みんなが浮気をされ浮気をしている。
    本当のことは、誰も直接口に出してなんて言えない。

    すごい、うまいなーって思った!
    どろどろの不倫ではなく、かなり明るめな不倫の話。
    ラストもハッピーエンドかしら?みたいな感じ。
    著者だからこそそういうのもいいよね)^o^(

  • どこかの誰かと遊んでるのかもしれませんよ。いずみはそう言って立ち上がると、キッチンへ入った。カウンターの角をそっと触れる仕草が、どことなく気怠るそうだ。
    隆一はさりげなく頭をかいた。少々、居心地が悪い。今日は数年振りに蛭間直樹と再会し、家で食事をするはずだったのだが、彼は仕事が忙しいらしく、九時をすぎてもマンションに戻っていなかった。いずみが携帯で何度か呼び出しても繋がらない。

  • 久しぶりに伊藤たかみ。
    雑誌連載だったらしく、三人の視点で順番にくるくると、よみやすかった。
    でも、(特に後半は展開上しかたないとはいえ)二人に偏っているというか、いずみにとって都合のよいはなし、そしていずみは都合のよい女である というはなしにしかみえず。
    これが大人ってことならわたしにはわからない。

  • 不倫の話なんだけども、どろどろしたところがなくて読みやすかったです。
    どろどろしてるの苦手な私にはちょうどよかった。
    読む人によっては冷淡に感じられるのかもしれないぐらい、ある意味さっぱりしている。
    登場人物のうち三人の視点でかわるがわる語られるんだけれども、ここで登場人物のうちのひとりで旦那の不倫相手『愛』の視点がなかったからこそ、さっぱりしていたんだろうな。

    男性作家さんだとは、思いませんでした。
    あとで知ってびっくり。

  • ダブル不倫のはてが悲しい。

  • どろどろ系の話はまあまあ好きだから、おもしろかったと言えばおもしろかったけど・・・
    奇麗にまとめられたダブル不倫のお話。

  • 一気に読んだ。

    後半、登場人物の反応など腑に落ちない部分も多いけど。

  • 不倫の話です。
    しかも、いろんな人が主体で話すタイプのやつ。
    1年に一回くらい遭遇するスタイル。
    でも、今回は時系列がちょっと違います。

    ありがちといえばありがち。
    そんで、わかりやすいハッピーエンド。

    読んでいてストレート、なんだけど面白味がない。
    こんな風にうまくいったらいいとは思うけど、実際はそうもいかないでしょ。

    こんな感じの本読んでいると結婚がちょっと怖くなる。

  • 大人の恋愛ってこんな感じなのかと…

    あまり驚くような展開にはならなかったが、ゆったりと楽しむことができた。

  • 不倫と不倫の物語、というしかない話。

    普通なら思いとどまる理由になりうる「夫の病」だがそれを皮切りに二人の仲は加速度的に進んでいく。小説ならでは?それとも現実でもこういうことは起こるのだろうか。
    愛情の深さによるのかもしれないし、人それぞれなのかもしれない。夫が倒れて病院から出られないことを幸いとして不倫相手と愛をはぐくむか、それとも今までのことはなかったことにして看病にいそしむか。

    全体的に読みやすくおもしろかった。

  • 旦那の不倫を疑う。
    そのため、旦那宛に届いた携帯メールを自分宛にも転送しておくなんて考えられない。
    相手を信じられない状態なのに一緒に暮らしているということ自体よくわからないよ。そんな状態なら、アッサリ離婚しちゃえばいいのに。

  • 結構面白かったけど、ベタベタな恋愛小説。それ以上でもそれ以下でもない。

  • 初めて読んだ作家。なんど、角田光代さんの元夫らしい。。。
    そんな彼の不倫小説。でも全然汚い感じがしない。好きになったものはしょうがないよね。相手も好いててくれるなら、一緒になるのが一番。
    子どもも居ないならそれがいい。若い頃の恋愛成就するまでの期間が短いのがオトナっぽくていい。
    うん、また読んでみようかな、この人。

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著者プロフィール

いとう・たかみ
1971年兵庫県生まれ。1995年、早稲田大学在学中に「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」で第32回文藝賞を受賞し作家デビュー。2000年『ミカ!』で、小学館児童出版文化賞、’06年『ぎぶそん』で坪田譲治文学賞受賞、「八月の路上に捨てる」で芥川賞受賞。主な作品に『ドライブイン蒲生』『誰かと暮らすということ』『 そのころ、白旗アパートでは』『秋田さんの卵』『ゆずこの形見』『あなたの空洞』など。

「2016年 『歌姫メイの秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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