世界でいちばん長い写真

著者 :
  • 光文社
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感想 : 137
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927233

作品紹介・あらすじ

親友の洋輔が転校してしまい、宏伸は元気がない。クラスでも冴えないし、クラブ活動の写真部でも、部長の三好にきつくあたられる。そんなある日、宏伸は不思議なカメラと出合う。それは、長い、長〜い写真が撮れるカメラだった…。

感想・レビュー・書評

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  • 360度パノラマ写真の中で、いちめんに咲き誇るひまわり。
    思わず、見せて見せて!と駆け寄りたくなってしまいます。

    幼いころからずっと一緒だった親友が遠くに引っ越して以来
    何をするにも気分が乗らず、沈みがちな中学生の宏伸。
    リサイクルショップを営む祖父の店で見つけたヘンテコな物体が
    手作りの360度パノラマ写真撮影用カメラだと知ったとたん、
    眠っていた写真部員の血が騒ぎ始めるあたりが、いかにも中学生らしくて可愛い♪

    突然カメラを持って飛び込んできた宏伸に、カメラの仕組みを丁寧にレクチャーし
    初撮影のためのフィルムまでプレゼントし、現像にも工夫を凝らしてくれる写真屋の店長や
    ギャンブルが大好きで、美人なのに容姿を磨くことには全く無頓着なわりに
    宏伸に元気がないと見ると、たこ焼きを大量に焼いて食べさせたり
    夕陽の中のひまわりも撮影したいと言われれば、丸一日撮影につきあう
    従姉妹のあっちゃんなど
    宏伸を後押ししてくれるひとたちの心遣いも温かくて。

    これをきっかけに、卒業記念イベントとして、全校生徒参加の
    世界でいちばん長いパノラマ写真撮影会の実行委員長に抜擢され
    目を白黒させながらも大役を果たそうと頑張る宏伸を
    いつのまにか、あっちゃんや写真部のみんなと一緒になって応援している私。

    何周もぐるぐる回るカメラに合わせ、部活ごとに趣向を凝らして
    次にカメラが回ってくる瞬間までに大慌てでポーズを変える中学生たちの姿は
    写真自体もそうだけれど、そのドタバタも含めて、動く映像で見てみたいなぁ!
    特に、アニ研の、遠くからひとコマごとに近づいてくる、ハリボテのガンダム♪
    (しかも途中で力尽きて壊れるところが、また素敵☆)

    気の強い女子たちにお尻を叩かれながら奮闘する中学生男子の
    一生懸命さが可愛くて、爽やかな1冊です。

    • 円軌道の外さん

      しかし誉田さんって
      幅広いっスよね〜(笑)

      武士道の時は
      女子高生が主人公〜!?ってビックリしたけど(笑)、
      今度は中学生...

      しかし誉田さんって
      幅広いっスよね〜(笑)

      武士道の時は
      女子高生が主人公〜!?ってビックリしたけど(笑)、
      今度は中学生の男の子なんですね(^O^)


      自分も上手くはないし
      高いカメラ持ってるわけじゃないけど、昔から写真が好きで

      いつも野良にゃんこの尻尾追いかけてます(笑)


      爽やかな青春ものは
      なんやかんや言っても
      毎回うるうるきちゃうし(笑)

      まろんさんの詳細なレビューが
      読書心を疼かせるし(笑)、

      コレは間違いなく
      読みたいリスト入り決定ですね(^_^)v


      あっ、ずっと文庫派だったけど
      最近は近くに図書館を発見したんで(笑)
      かなり助かってます♪


      2012/12/01
    • まろんさん
      ほんとに幅広く書ける方ですね~!

      私は臆病者なので、誉田さんのハードボイルドな作品の方には挑戦できないので
      (ドラマの『ストロベリー・ナイ...
      ほんとに幅広く書ける方ですね~!

      私は臆病者なので、誉田さんのハードボイルドな作品の方には挑戦できないので
      (ドラマの『ストロベリー・ナイト』の、苺の中でいろんな目が瞬きしてる映像を見てしまってから
      しばらく悪夢にうなされました。。。)
      武士道シリーズとか、こういう青春路線作品を心待ちにしてます。

      円軌道の外さんの撮る野良にゃんこの写真!
      きっとにゃんこたちへの愛があふれてるんだろうなぁ。。。見られたらいいのに♪

      図書館を発見されたとのこと、
      素敵なレビューがますますたくさん読めそうでうれしいです(*'-')フフ♪
      でも、病み上がりなんですから、くれぐれも無理のない範囲で書いてくださいね~。
      2012/12/02
  • 4.6
    期待少なめで読み始めましたが、途中から引き込まれ一気に読み切りました。
    映画化もされてたんですね、後から知りました。
    主人公の消極的な所がちょっとイラっとしますが、最後は逞しく成長していき、この先もいい男になるんだろうなと思わせるような清々しい終わり方でした。
    中学生の心情をうまく綴る誉田先生はホント何者でしょうね。
    色んな言い回し、すごく好きです。
    ひまわりの写真の場面では暖かい気持ちになり、ちょっと泣けました笑

  • グロい警察ものを書く人の作品とは思えないほど爽やかで清々しい。カメラに詳しければもっと感動が強いと思うが素人でも十分楽しめる!

  • 世界一長い写真を撮る話。
    青春だなー。
    宏伸がちょっとずつ成長していく様子とか、あっちゃんの強烈なキャラがいい。
    360℃ぐるっと笑顔って、想像しただけで笑顔になれるな。

  • ふーんって思いながらも、これが青春だったような甘酸っぱさを覚える作品。
    教室片隅系の主人公が少しずつ変化していく情景がリアルで、
    ストーリーよりも主人公の成長を温かく見守ってしまう。
    ちょっと最後、小鳥の巣立ちを見たような気がした。

    意外でした。

  •  タイトルそのままの「世界でいちばん長い写真」を作るだけの小説なんだが、この本のいいところは、ずばり、主人公が中学生の男の子であるというところだ。もちろん「世界でいちばん長い写真」のギネス認定を受けている人はいるんだそうだ。その事実をもとに、作者は、中学生を主人公にした青春小説を書こうと決めたみたいだ。そうして、『武士道シックスティーン』に始まる武士道三部作という女子小説とは一味違った男子の方の物語も書こうとトライしたのだと思う。

     そのトライはいい意味でとても成功していて、やっぱり想像力に長けている、小説家という職業は、女のことであれ男の子であれその世代その時代のヒューマンな心の機微というところにかけては、やっぱり優れた表現力を持っている、としか言いようがないのだ。

     本書では、気の弱い男の子が主人公だけど、彼を取り巻く友達たちも含め、とても強い女の人が印象的に出てくる。いわば『武士道』シリーズの磯山香織みたいに男っぽいおなごである。最後の最後まで格好いい大人の女でありながら、思いもかけぬ人物との間に知らぬ間に恋が芽生えていたらしく、そうして彼女にも女の人という一面が出てくるあたり、中学生のピュアハートから見る狭苦しい視野にはちょっとしたドキドキだったろうと思われる。

     そんなデリケートでマイクロでナノなシーンが連続するところが青春小説やヤングアダルトの読みどころ。大人だったら見過ごしてしまったり、適当に自信過剰でやり過ごしたりする部分をピュアに受けちゃうのが青春であり、新しい経験がいちいち心を荒々しく踏んづけて行ったりするのが少年時代なのである。だからぼくは青春小説を読むのがやめられないんだ。

  • ストロベリーナイトやジウシリーズなど、殺人描写がエグさに定評がある誉田哲也による青春小説。今まで、誉田作品はほとんど警察・推理物しか読んでこなかったから、人が死なないやつ読むの初めて(笑)
    【あらすじ】仲の良かった幼馴染が引っ越しをしてから、ほとんど笑うことがなかった主人公がある日、巨大で一風変わったカメラに出会う。

    ホント、誉田作品って読後感たまんないよね。もちろん、警察物と今回のような青春物では読後感の種類違うけど。久々の☆5つです!

  • 東京出張往復の道中でほぼ読了。ほぼ、になったのは、今日の出張にはこれ一冊しか持って行かなかったので、活字中毒のわたしは、読み終わるのを途中で意図的にやめたのでした。ほんとなら、帰りの名鉄線岩倉あたりで読了してました。まあ、いいたのは、それくらいこの作品は面白くてイッキに読めた、ということ。ここのところかなり寝不足気味で、電車で座って本を読んでると間違いなく居眠りしてるのだけど、今日はそれがなかったし。これ、おすすめです!んで、表紙は、おとうさんと犬がしんぢゃうマンガの表紙に似ている。 あっ、そうかひまわりね、そうね。読んだらわかる!すまんこってした。

  • 近著の作品がやや疑問の残る作品だったり、読後の
    爽快感がイマイチだったりした誉田さんでしたが、
    今作は「武士道~」シリーズが好きな方も安心、納得の
    ほのぼのした青春小説。「武士道」と違って主人公は
    ちょっとぼんやりした中3男子。でもこの子がいいんですよ。
    結構ユーモアセンスもあって、意外と芯も強くて、何気に
    周りを巻き込める秘めた力を持った隠れた出来る子。
    そして何より、楽しそうなの笑顔が大好きなんだよね。
    単なるぼんやり君じゃないのです。

    武士道のように清らかで強い青春だけじゃない。
    こういった少し緩~いのもまた青春。むしろリアル。
    ジワっとくるあったかい、誉田作品の新境地です。

  • 誉田さんの青春小説が個人的に好きで、映画化もされたので再読。
    何もなかった日常が1つのことをきっかけに変わっていく姿がすごく好きだし、要所要所で散りばめられる個人的ツッコミも楽しい、とっても情景が浮かびやすい作品なので
    映画もあわせて見たいなぁと思いました。

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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