- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334927417
作品紹介・あらすじ
坂本純平、21歳。新宿・歌舞伎町のチンピラにして人気者。心酔する気風のいい兄貴分の命令は何でも聞くし、しゃべり方の真似もする。女は苦手だが、困っている人はほうっておけない。そんな純平が組長から受けた指令、それは鉄砲玉(暗殺)。決行までの三日間、純平は自由時間を与えられ、羽を伸ばし、様々な人びとと出会う。その間、ふらちなことに、ネット掲示版では純平ネタで盛り上がる連中が…。約一年半ぶりの滑稽で哀しい最新作。
感想・レビュー・書評
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坂本純平は、六明会傘下・早田組の盃をもらって、2年目のヤクザ、21歳。
歌舞伎町界隈のペットとして、夜の女達にからかわれ、可愛がられている。
当面の目標は、部屋住みを卒業して、バッジをもらう事。
一回り年上の直系の兄貴分・北島敬介に憧れている。
そんな純平が、組長から“鉄砲玉”になれと、指令を受けた。
実行まで、三日間。
考え直せるか?
主人公の純平が、単純で、カッコつけで、騙されたり、頼まれたら断れなかったり、憎めない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
埼玉育ち、今は歌舞伎町でヤクザの下っ端になっている純平21才。親分から相手の組の男を討ってこい、と「鉄砲玉」になることになった。実行の時までのめくるめく3日間の話。
娑婆の思い出にと兄貴から渡された金で高級ホテルに泊まり、高級寿司を喰おうとするが臆して店に入れず回転寿司を食べ、あこがれのダンサーにかっこをつけ、ヤンキーねえちゃんと知り合うと、彼女がネットに決行を載せたことから、書き込みが・・
親のいいなりで世間の期待に沿うことに疲れてグレた大学教授との話が含蓄。純平が父は知らず、男をひきこむ母のもと、養護施設育ち、悪いことはみな純平のせいにされた中学時代、というグレといい子のパターン化は気になるが、これも奥田氏流の皮肉なのかな。
最後は純平にきっちり救いのある書き方があるのかと思ったが、どうだったんだろう、どちらともとれる。
2018に映画化されていた。純平は野村周平。
「小説宝石」2009.9月号~2010.8月号連載
2011.1.25初版第1刷 図書館
書評:朝日 2011.3.9
https://book.asahi.com/article/11648274 -
良い意味で「悪くなかった」。
ラストのもやっとも含め、佳作!
奥田さんはこれでいい、これがいい。
純平、考え直さないだろうな。
純平、やり直せが読みたいな。 -
やはり奥田英朗の本は読みやすいです。
この本は結末を先に書いてからその時点に至るまでのストーリーにしてくれた方が面白かったのかなと思いました。
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チンピラの世界観、歌舞伎町の世界、やくざの世界、警察の世界、どこまで真実なのかは不明だが、気軽に、楽しんで読めた。ただ、親に愛されずに育った子どもというのは、言い知れぬ寂しさを抱えているんだろうなと。
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奥田英朗らしい世界。
若い男の子をデフォルメしてヤクザの鉄砲玉を描く、モノマネ芸のコロッケや清水アキラの世界、名人芸だね〜
舞台からか村上龍、『インザミソスープ』を思い出した、ちょっとイメージは違うけど。
著者は、『邪魔』『最悪』とか写実的な長編があって。
デフォルメした作品軸では『ララピポ』『東京物語』など男の子が一方にあり、本作、『サウスバウンド』などから『家日和』と家庭が入ってきて、『ガール』『マドンナ』のオンナに至る。これらの病んだ世界を『インザプール』などで伊良部医師が治療する。 -
軽過ぎました。
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(データ移行)
最高の一冊。本当に読んで良かった 自分と同じ21歳の主人公。色々と考えるものがあった。