吸血鬼と精神分析

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 173
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (803ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927837

感想・レビュー・書評

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  • タイトルからして奮っているので、シリーズ未読ですが手に取ってみました。
    さあ果たしてどう絡めてくるのかとわくわくしながら読み進めてましたが、うーん…難解な言い回しはしているけど、理解は表面的で通俗的な思いこみの域は脱してないような印象。私は分析派ではないし、ラカンは好みではないのもあるかもしれないけれども。
    小説ではなく教科書書き写したものを読んでいるみたいで、端的に言って面白くない。
    例えば同じように分析を語っていた京極さんの狂骨なんかは、そのものの専門用語使ってなくても本質的にしっくりくる感覚があって、物語に上手く落とし込めてるなあと思うんですが。

  • 今回はジャック・ラカンを中心にした精神分析に、矢吹駆が挑みます。今回は現象学的推理がスムースに適応できず、どうなる事かと思いました。最後の犯人との対決部分のオチはちょっとびっくりしましたが・・・

  • 少し推理部分が冗長

  • 死をタブーととらえるか、一種の救済ととらえるかによって
    死体の定義も、吸血鬼の定義も
    さらには人間の定義も180度変わってしまう
    そして、それぞれの定義を司る神々を
    共倒れさせようとする人間もいる
    ところでオイディプス症候群は吸血鬼にも感染するのか?

  • 秋葉原ブックオフにて購入。十部作後半戦の緒戦たるこの6作目にして遂にイリイチ御大のご尊顔(横顔のみだが)とお声を拝むことができ、物語が佳境に入ったことを感じずにはいられない。一作につき一哲学者という従来の展開を覆し、ラカンとクリステヴァを向こうに回すというゴージャス感もナイス。思想戦とミステリパートの乖離は確かに顕著だが、本編の現象学探偵がアレな態度で事件に臨む以上、むしろ力業で融合を図らなかった点をこそ評価すべき。終盤絡みで『黒い仏』に言及している書評を見かけたけど、宜なる哉。こういうテイスト大好き。

  • ふうっ、長かった。
    因縁と宗教と精神分析。理屈っぽくて、横溝正史っぽいおどろおどろしさと、ほんの少しの胡散臭さ。

  • 待ちに待ってた矢吹駆シリーズ六作目。相変わらず分厚い……ミステリーとは離れた哲学・神学的パートの方が多く、これまで読んできた中で一番、途中目が滑るまま読み進めてしまった。それでもお話の動きが青銅の悲劇の時よりも好みで(青銅の悲劇が個人的に非常にアレだったので、その後出てきたこの作品が大丈夫なのか実は不安だった)、一気読み出来る面白さがあって良かったなと。なので★は4つくらいで。
    最後にきた「!?」となる仕掛けがあまりに不意打ちだったのだけど、小説だしな……と思いつつなんとか飲み込んだ。あと相変わらず、駆と一緒の時のナディアは可愛く思えて癒しだった。
    既に連載は終わっているという次の「煉獄の時」の単行本化が楽しみです。

  • 題名通りの精神分析とか吸血鬼に関する蘊蓄は難解。ミステリーとしては精神異常に逃げては反則でしょうという感じ。

  • 2012/02/05読了

  • 哲学の装飾を剥ぎ取ってもミステリとして良作であるのが作者の持ち味だったはずだが、本作はミステリの筋はやや平凡、前々作あたりからかもしれない。
    そろそろ、装飾の方が自分の専門から外れてきているようなので、あまり無理をしないでミステリの本筋のほうに力を入れてはもらえまいか。6.5

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著者プロフィール

作家・評論家。1948年東京生まれ。
79年『バイバイ、エンジェル』でデビュー。98年編著『本格ミステリの現在』で第51回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞。2003年『オイディプス症候群』と『探偵小説論序論』で第3回本格ミステリ大賞小説部門と評論・研究部門を受賞。主な著作に『哲学者の密室』『例外社会』『例外状態の道化師ジョーカー』他多数。

「2024年 『自伝的革命論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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