バイリンガル

著者 :
  • 光文社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928841

感想・レビュー・書評

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  • 福山ミステリー大賞受賞作。
    過去に起きた幼児誘拐事件と、そのあまりに悲惨な結末。しかし事件関係者の再会をきっかけに、暴かれていく事件の真相。それ自体はさほど意外な真相ではなかったのだけれど、まさか手がかりがそんなに堂々と提示されていたとは……! たしかに文脈が変だとは思ったのだけれど。これ、英語が得意な人なら気づいたのかなあ。
    ラストで明かされるそれぞれの家族の真相も印象的。

  • 「画期的な新暗号」という帯に惹かれたのだけど、それで見えてきたものが事件というよりかは、少々後付け的、補完的な要素でしかなかったので、もうちょい真相そのものにからんでたら面白かったかな。

    でもバイリンガルだからこその構音障害で暴かられる事実、ってのは確かに新しいのかも。
    登場人物がちょっと分かりづらくて、把握するまで読みづらかった…

  • 力作で、読み応えもあるけど
    ほぼストーリーが読めるので
    それでも面白かった

  •  見事に複合的な作品。

  • 第5回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。

    著者はアメリカでの留学経験を持ち、言語科学を学んでいた
    ということで、中学教師、塾講師という経歴を含めて
    主人公のプロフィールと重なる部分も多く
    著者のバックグラウンドをベースに書かれたミステリー。

    60歳を超える成熟した女性の手による作品だけに
    細やかな心理描写を重ねながら物語を進めていくタッチが特徴で
    登場人物の一挙手一投足に対する主人公の感情を
    事細かに描写されていく点は、感情移入を高める意味では効果的だが
    ややもすると物語の進みが遅くなりまどろっこしい印象も受ける。

    全体的な読後感としては、女性ならではのタッチは特徴的ではあるものの
    描写にエネルギーをとられすぎて、読者を引き込むという
    エンターテイメント作品としてのストーリーテリングが稚拙で
    読中の没入感に欠け、文字を追うのにやや退屈してしまう嫌いがある。

    ただ、トリックとして用いられている構音障害というギミックは
    著者ならではの発想で今までにない目新しさを感じるもの。

    とはいえ、その肝心要のトリックを物語にうまく伏線として盛り込み
    読者を驚かすという部分は成功しているとは言いがたく、
    やや唐突気味に複雑な構音障害の解説がはじまって、
    著者の思考についていけない状態にもなった。

    選者の島田荘司先生としては、
    館などの舞台装置や舞台となる街・村などの設定、
    あるいはアッと驚くトリックに走りがちだった
    男性中心の本格ミステリー界に女性的な視点での作風を
    取り込みたかったのかもしれない。

    #どうでもいいが、物語の序盤、
    家に来た若い女性の髪型・化粧・靴の脱ぎ方・礼儀・手土産、
    眼の色・スカートの短さ・目つきなどなどに
    いちいちツッコミを入れながら、長々と描写していくその様は
    高い教育を受けたインテリマザーのPTA会長が
    息子の通う中学校の見た目な派手な女子中学生を見て、
    「まあ!あんな短いスカートで化粧をして、聞くと援助交際の噂もあるって
    言うじゃないですか!あんな子がいる中学にうちの●君を通わせられません!」
    的なクレームで校長に怒鳴りこむイメージを彷彿とさせられ、正直閉口した

  • 1970年代のアメリカで起こった日系人幼女誘拐事件。幼女は救出されたが多くの被害者を出してしまった。
    17年後、アメリカ人の夫と離婚し息子を連れて日本に帰国した聡子は誘拐の被害者ニーナに出会い過去の顛末を話すことになる。
    英語の発音障害については非常に興味深かったが、眈々と話が展開するため盛り上がりに欠ける。
    誘拐事件のオチとしては予想通り。

  • ばらのまち福山ミステリー文学新人賞(2012/5回)

  • 発音問題、バイリンガルならではの苦悩や頭の仕組みはなかなか興味深かったです。
    動機や事件自体は魅力的でしたが、真相までのプロセスに緊張感がなく中弛みした印象でした。
    暗号は丁寧な説明でしたが解り辛くピンと来なかったです。

  • 30年の時を経て蘇る、凄惨な誘拐事件の真相。アメリカで起こったかつての誘拐事件の顛末を、現代の日本にて振り返る形で紐解いていく構成はいかにも島荘が好みそうです。体系化された言語学に基づいて過去の証言が解体され、まったく異なる様相を呈した真実へと再構築されてゆくくだりは圧巻の極み。と同時に、行われている作業の高度さにいまいち思考が追いつき難いことと、英語に明るくない日本人にとってはあまりピンとこないネタであるために、正当な評価が下されない可能性を大いに孕んだ作品でもあります。見方によっては本書が日本語で書かれていること自体が少々ズルくもあり、最も楽しむことができるのはやはりバイリンガルの人間なのかもしれませんが、それらの懸案事項を抜きにしても2013年のミステリを代表する傑作だと思います。

  • 思ってたより面白かった。意外なストーリーだった。

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