海賊女王(下)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928933

感想・レビュー・書評

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  • エリザベス一世時代のイギリス・アイルランドを舞台に繰り広げられる、壮大な物語。実在した「海賊女王」グラニュエル・オマリーとその従者・アランの生涯が描かれます。
    グローニャ、とにかくかっこいいったら! でも彼女を信頼・尊敬して従う「グローニャの男たち」の姿もかっこいい。戦場の戦闘シーンの描写も生々しく、情景が目に浮かびます。まさしく血沸き肉躍る冒険活劇。
    一方で、それぞれの人間関係の描写の濃密さも読みどころです。登場人物がなかなかに膨大ではあったけれど、その繋がりも読み進めるうちに把握できてくるし。人と人との愛情や憎しみ、騙しあいや思いやり、そして出会いや別れ。はらはらしたりどきどきしたり、あるいは切なさに胸を打たれたり。どの人物も、印象に残ります。
    そして最後はやけにあっさりとした印象があるけれど。だからこそすっきりとした読後感なのかも。

  • 面白かった!
    面白かった。

    1巻で別れたかと思っていた、離れていった幾人かの人がまた戻ってきて去って行ったけど。

    ゲールの人たちの、生きていること、意味?力、が力強く描かれていて、とにかく風を感じた。

    んでもって、私はアランが好きだ(笑)

  • 16世紀アイルランドの海風をのせて、壮絶かつ屈強なる族骨に魅了される。"子に恨まれんとも孫の世の為"…、、読み終えれば、グローニャが愛おしくて堪らなくなる。凄まじい物語、、しばらくはこの分野の追随を許さないであろう上下巻!。

  • 淡々とした文章が真に迫ってる。アイルランドとイングランドを海賊女王周辺から描いていて、大河ドラマみたいな壮大さで全然飽きなかった。
    アランと女王の関係が、上巻を思い出したら泣けてきた。叙情的じゃないのにせつない。生き様見せつけられた。
    短編だけでは知らなかった皆川さんの魅力をちらっと知った気がしました。

  • 皆川女史の歴史物は相変わらずグイグイ読ませてくれる。ぷは〜っ良かったわ〜(悦)中でも今回はかなりキャッチーなのでは?登場人物の描き方が明瞭だし(時に事象重視でその点置いてかれがちな話もあるからね。そのわりには)。業かと思ってた耽美ホモ臭が無いも同然な分人を選ばず勧め易い気もするし。
    なんにせよ結構なお手前です(やはり読後平服したくなる(苦笑))あ〜面白かった、読書はええのう、と味合わせてくれる小説。

  • この時代のこの国を舞台にこれだけ描きこむ人がいることが嬉しい驚きで、さらに著者の年齢と近年の刊行ペースに驚愕、脱帽。素晴らしいです。

  • イングランドに対し部族同士の闘争を繰り返し一つにまとまれないアイルランド。裏切りや悲しみに会いながらもゲールのために戦うグラニュエル。皆川さんの筆力はすごい。グローニャかっこ良すぎ。血沸き肉躍る冒険小説として読むのが正解だろう。最後も僕好み。

  • 今度の舞台は中世イングランドおよびアイルランド。
    上下巻合わせて1000ページを超える長編は読み応えたっぷりで、これぞ皆川博子、と唸ってしまう真骨頂。
    まさにド真ん中のストレート。

    ところどころにミステリーっぽい小さな仕掛けはあるものの、大筋としては大どんでん返しが待ち受けているような類のものではなく、ただただ大きく流転する時の流れを真っ向から描ききっている。
    正統な筆力を以てして、物語の世界に読者をズブズブと引きずり込み、登場人物たちが送る生に否応なく共感させてしまう、その力は圧倒的で、読み始めると現実の世界に戻りたくなくなるような、恐ろしい引力を持つクロニクルだ。

    結末ですべての糸が収斂するわけではなく、例えばロバート・セシルの行く末は、とか、グローニャとエリザベス女王の意思疎通についての情報が少な過ぎる、などといった若干の置いてきぼりポイントはいくつかあるが、それでも星5つの傑作。

  • どっしりしたフルコースをいただいた気分。面白かったけど、気合い入れて読まなきゃ物語に置いていかれちゃう…。堪能しました。(・v・)ノ

  • 後半は部族間の争いからイングランドとの争いに比重が移っていく。前半以上に権謀術数が蠢く先が読めない状況。グラニュエルもときには女の武器を使いつつ、その中で生き残りを計る。

    皆川さんの作品はミステリー系、耽美系、ホラー系、歴史系など多岐にわたるが、本書は『総統の子ら』、『聖餐城』などに並ぶ歴史系の作品。

    話の展開、主人公の魅力、脇役たちの面白さといった点で、歴史系の中でも魅力的な作品になった。皆川さんの最高傑作といってもいいかもしれない。

著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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