- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334929633
感想・レビュー・書評
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明治の権力者を陰で支えた金庫番の別邸で幕開ける連続見立て殺人事件。本業のミステリ作家に引けを取らないクオリティだった前作からさらに深化して、より本格ガジェットをつぎ込んだ一作となっています。一般的な館ものとは異なりアンクローズドな状態にある空間でこそ成立する論理、視点のズラしが生む計画の一部始終はその大胆さにおいて不敵という外ないでしょう。それまで見せられていたものがすべて虚構と化す解決編は館ミステリとしてかなり異色の読後感を残すハズです。
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この時代だから可能なトリックでした。
最後まで事件が起き続けていて、息つく間がなかったです。途中、事件をまとめて振り返るシーンが何ヶ所かあったため、整理できてよかったです。解決編はだいぶアッサリでした。 -
※図書館
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月輪探偵シリーズ、2作目。
前作も読んでいるが、2作目の今作、意外なほど捻りのある本格モノになっていてビックリ。やはり無理は感じるものの、それでも大胆かつ悪魔的で、面白いトリックだった。明治時代という時代設定だから可能なトリックであるのだろうが、前作よりあんまり時代色は感じられなかったのは、明治好きにはちょっと物足りないところ。でも逆に、歴史モノが苦手な人でも十分読めると思いマス。本格好きの方は読んで損はないんじゃないかな。
にしても、最後まで人が殺されないと謎は解けないようになっているのが、本格モノなのかな(苦笑)。月輪探偵のへっぽこぶりにはちょっと、、、。というか、前作とは別人のはずじゃなかった??その辺の言及がなかったのが、ちょっと??だった。肝心の月輪のキャラ造形がいまいちだったけれど、助手の蘭子ちゃんは可愛かったデス。他にいろいろ事件録はあるみたい(?)なので、続編に期待。 -
やや、難はあるけど、正当な謎解き、意外性ありおもしろかった。
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前作で伊藤博文の書生だった月輪は探偵に、語り手の杉山は役所勤めをしている。
今回は山縣有朋にゆかりの深い人物が邸で惨殺され、捜査を依頼された月輪たちが泊まりこむ中、次々と邸の人間が殺されてゆくという連続殺人。
首なし死体、わらべ唄の見立て、事件が終わるまで翻弄され続ける名探偵などたいへん横溝チックだが、最後に明かされた真相はこの時代でなければ成立しないものの、妙に現代的でもあって面白かった。明治的な雰囲気作りという点では前作の方が上かもしれないが、本格ミステリ直球な姿勢に好感が持てる。 -
本格ミステリ。
舞台は明治初期。まだ科学捜査が進んでいないため首無し死体があると本人の識別が困難な時代だからこそ成り立つミステリではあるが、オチはなかなか。あまり伏線はないがオドロオドロしいミステリの雰囲気を充分に楽しむことが出来た。
前作もあるようなので読んでみる。 -
2014/12/02読了
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わらべ唄に見立てられた連続殺人。しかも首なし死体がこれでもかというくらい出て来る王道なストーリーで横溝正史作品を思い起こさせます。山縣有朋や伊藤博文が登場しますが、歴史ミステリーではないので肩肘張らずに気軽に読めます。
残り30頁を切る辺りから16個の謎が一気に解き明かされる解決編は圧巻で、悪魔的な構図の反転は強烈なインパクトを残します。
見立て殺人にする必要性が薄いこと、伏線が少なく推理出来る余地が無いなど不満な部分はありますが、トータルで見れば十分満足出来るのではないかと思います。