退屈論 (シリーズ生きる思想 1)

著者 :
  • 弘文堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335000515
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感想・レビュー・書評

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  •  うーん。ところどころおもしろいなと思う記述は出てきたけれど、小説や論文からの引用が非常に多くて、著者自身の分析というより過去に書かれたいろんな人の語りや見解を次から次に紹介されているような印象だった。「女は」「男は」という主語も目立ち、20年前の本だからか今より強い男尊女卑の考え方が根底にあるようにも思えた。冒頭の問題提起(7ページの「私が言いたいのは、「遊びが大切だ」とか「快楽を肯定せよ」とか言われると、もうごく単純な疑問が沸いてくる、ということなのである。それはつまり、「飽きないか」ということなのだ。」というもの)に興味を惹かれて読み始めたけれど、本章で長々とこねくり回した割に結論があまりに薄くて拍子抜けだった。

  • 多分これ、ブーメラン部分があるんですよね。
    「お前が言うな」という感じの部分。
    あとやんわりといっていますが
    ある作家の方の盛大なディスが注釈部分にあります。
    でも、そんな見方もあるんだね…

    この厄介な、どうにもしようもない退屈。
    退屈は紛らわせようとする術を間違うと
    えっげつない方向に向かいます。
    そのよい例を私は一日に何度も目にします。
    まあ、見ないことにしますけどね。

    どうしてそういうことをするかは
    実は終章にきっちり書いています。
    おそらくああいうことをする人は
    ある術を忘れてしまったんだろうなと思います。
    嘆かわしい…

    森田療法について出ていましたが
    なるほど、と思いました。

  • 退屈とは何か?比較文化論の著者が文化論、人類学、生物学、心理学、社会学、文学、哲学、宗教学など実に広範な分野の知識に跨って説く、奇想天外でありながら学問的な背景もあり、楽しく床屋談義を聞かせていただいた感じがします。他の動物には退屈があるのか、古代人はどのように退屈に対処したのか、退屈しのぎとしての「性」がどのようにして、人間に発達してきたのか、ホイジンガ、カイヨワらの社会学者の説明する「遊び」とは、ハイデガー、漱石たちの退屈論・・・。その背景にはかなり「男女」の性があるとのこと。

  • 人間の業の根源は欲でもなく、生に意味を求める事でもなく、退屈であるというのは、興味深い考え。で、もっと退屈な社会を作れ、それに慣れろ。という著者の結論への導きにやや遠回り感やまとまりのなさはあるが、読み応えはある。結局は退屈で平和な世界と、刺激的を求めて彷徨う世界のとどっちがいいの?という選択なんだろうが。そしてポパーの「抽象的な善の実現より、具体的な悪の除去」には自分も賛同する。この手の社会学系というか文化論系の本は大学時代だと前のめりで読んでしまいそうだが、大人になると一歩引いて読めるという違いはあると思う。

  • 小谷野先生は自説を展開する時よりも他人の議論に噛み付いてる時の方が輝いてる気がする。
    でも4章はかなり面白かった。

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著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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