- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336035943
作品紹介・あらすじ
「よし、それならいっそのこと、かたっぱしから連中をはりたおしてやる!ところが、いきなり壁だった。そこで踵を返し、出口へと歩き出す…会衆は呆気にとられ、口をあんぐりあけて、小生を見てる…すたすた歩きは次第に威力を増し、迫力を増し…おお、悪魔、悪魔、すたすた、すたすた、すたすた。よし、いいぞ。すたすた歩きだ。すたすた、すたすた…」ポーランドでの作家としての名声におさらばし、アルゼンチンにやって来た"小生"は、海の向こうの祖国で戦争が始まったことを知った。これ幸いと故郷への帰還を断念し、ブエノスアイレスの熱気に身をゆだねたはいいものの、周りは体面を重んじるバカばかり。唇を赤く塗った謎の男とグルになって、"小生"はおとな共を叩き潰す仕儀にあいなった。永遠の青二才を標榜する作家ゴンブローヴィッチが、みずからの体験をもとにして戯画的に綴ったグロテスク・リアリズムの傑作。
感想・レビュー・書評
-
セリーヌを読んでいるかのよう。
著者は永遠の青二才を標榜するゴンブローヴィッチ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『コスモス』に次いで2冊目のゴンブローヴィッチ、想像を超えてのしっちゃかめっちゃかさに暫し呆然とした。ポーランド亡命作家としての孤高な魂、反骨精神は本文からも十分に読み取れる。しかしなぜこのような破茶滅茶な設定と手法を用いたかを知るには併録の日記は必読。背景が明確に顕在化する。狂乱の響宴が、生と死と笑いと一緒くたになってグロテスクなリアリズムへと昇華する様相は阿呆らしく豊かだ。開き直りぶちぎれた翻訳も豊かだ。この乱痴気騒ぎの終焉に何があるのか分からないけれど、兎に角今はバカボコバカボコ笑い続けるしかない。
-
金持ちで男色家って、無敵感はんぱない。
-
第二次大戦勃発ゆえに、アルゼンチンに残留したポーランド人文士が、次々と奇人変人に出くわす話。
一つには風刺文学。風刺されるのは頭の固い(?)役所であり、古典を崇拝ばかりしている文壇だったり、著者が今まで嫌な目に遭わされたものを風刺しているというのは簡単に読み取れる。
もう一つには、文学表現の冒険か。日本語訳では伝わりきらない部分はあるんだろうけど、全編これ破格の文体で、最初は面食らうが、読んでいるうちに独特のリズムに乗せられてくるから不思議。
極限まで戯画化した登場人物たちは、ブッ飛んではいるものの、まあまんざら実在しないとは言い切れないところが苦い笑いを誘う。
まあそういった特徴はあるんだけど、話が面白いかというとさほどでもない。かなあ。 -
未読です。が、とりあえず登録したくて…読んだら記入します。右の星は期待度!!