- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336053640
作品紹介・あらすじ
ぼろ切れから生み出された「救世主」、荒廃した世界で資本主義を復活させたヴィル・シャイドマンが、生みの親である不死の老婆達に語った、四十九の断章からなる、結末を欠いた奇妙な物語。
感想・レビュー・書評
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YOMIURI ONLINEの記事中( http://www.yomiuri.co.jp/life/book/column/kuso/20170613-OYT8T50060.html?from=tw )、唯一未読だったので購入。
滅亡間近の世界を描き出す49編の断章。明確なストーリーや結末は無いのだが、妙に印象的。『滅びゆく何か』に対するセンチメンタリズムと言ってしまえばそれまでだが、こういう変な本をちゃんと邦訳してくれる国書刊行会には感謝しか無いw詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なにげなくあとがきを先に読んでしまい、25章を中心に最初と最後から対称になっているというのを知って、『石蹴り遊び』ではないが、1章→49章、2章→48章という風に読み進めてみた。そのため人物の相関がややわかりやすかったような気がする。それにしても断片的で詩的な物語は印象的だ。特に街に「潜水」していく男たち。モチーフは共産主義崩壊直後の混沌としたロシアなのかな。
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文明が崩壊し、人類が激減し、地球が荒廃しきった何百年か何千年か後の物語。
とある人物の語りとして49の断章で構成され、全体を読むことで世界観が浮かび上がってくる。
でも、浮かび上がってくる世界はやはり荒廃しているし、夢幻的なエピソードもあるけどそれもやはり荒んでいる。そこに驚きも感動も目新しさも特にない。
ストーリーで言えば、著者が言うとおり結末らしい結末もない。
自身で「ポスト・エグゾティシズム」と命名した文学実践とのことだが、解説を読んでなおピンとこない。
解説を読めば読むほど、自分で作り上げた文学ジャンルに嵌め込むためだけに本作を執筆し、逆に面白さとか感動だとか、小説にとって大事な要素を失ってしまったという印象を受ける。
なお悪いことに、一ジャンルとしても何か画期的なものにもなっているとは思えない。
私の文学経験が拙いだけかもしれないが、誰かが言った
「古典を読んで理解できなければ自分を馬鹿と思え。最近の本を読んで理解できなければ著者が馬鹿と思え。」
という言葉をふと思い出した。