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- Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336060549
作品紹介・あらすじ
信濃追分の山小屋で、スズメ蜂に刺され九死に一生を得たわたしは、その顚末と考察を「蜂アカデミー」へ報告すべく、古今東西の文献を渉猟し、蜂の被害を報じた新聞記事を蒐集し、果ては蜂被害者の取材へと出掛けていく。「蜂アカデミー」への報告に仮託した“蜂の博物誌”「蜂アカデミーへの報告」。単身赴任の初老の男が、地図を片手に大阪の街を歩き回る。ある時はマーラーの交響曲を聴くために、またある時は「四天王寺ワッソ」の見物に。そしてその道行きの末に俊徳丸の墓と思しき古墳へとたどり着く。大阪の日常を幻想空間へと異化する「しんとく問答」ほか、全16作を収録。
月報=黒井千次・阿部和重・柴崎友香
装画=タダジュン
装訂=川名潤(川名潤装丁事務所)
感想・レビュー・書評
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後藤明生の後期の小説を集めたもの。
私は圧倒的に『蜂アカデミーへの報告』が面白かった。
後藤明生自身が追分の山荘でスズメバチに刺された経験をベースに、スズメバチの博物学的世界が展開。
カフカ、メルヴィル、ファーブル、そしてゴーゴリ的笑いに満ちた引用の編み物。蜂被害にまつわる新聞記事からの引用もある。さまざまに錯綜する声がこだまする。
後期になって後藤明生の方法は先鋭化していく。講演をそのまま作品化したような小説や、プラトン的対話に似せたような作品、大阪に移住してからの俊徳丸をめぐる紀行文的作品……
どの作品も後藤明生その人に限りなく近い語り手なのだけれど、いとうせいこう氏が解説でも言うように、私小説っぽくもありながらその私の声を極力小さくしてみせる手腕は誰にも真似できない。良い意味ですっとぼけたものだ。
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後藤明生さんの存在を、昨年の高橋源一郎ラジオ『飛ぶ教室』テーマ『戦争』で紹介されて知りました。
しかし、まだ手を出せずにいて...
後藤明生さんの存在を、昨年の高橋源一郎ラジオ『飛ぶ教室』テーマ『戦争』で紹介されて知りました。
しかし、まだ手を出せずにいて読めてないのです。
コメントに書いてあった、「すっとぼけた」感じを味わってみたいものです(*^^*)
ラジオで紹介されていたのは『挟み撃ち』あたりでしょうかね。私は初めて読んだのが後期の作品だったので、何だこれはと初めは仰天...
ラジオで紹介されていたのは『挟み撃ち』あたりでしょうかね。私は初めて読んだのが後期の作品だったので、何だこれはと初めは仰天しました笑
短くて完成度の高い初期作品から試されてはいかがでしょうか。例えば「関係」。電子書籍も充実していますよ。老婆心ながら。
後藤明生さんのおすすめを教えていただきありがとうございます(^^)
図書館で探してみます。
後藤明生さんのおすすめを教えていただきありがとうございます(^^)
図書館で探してみます。