ハ-モニカのめいじんレンティル

  • 国土社
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本棚登録 : 80
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784337062375

感想・レビュー・書評

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  • 『かもさんおとおり』や『サリーのこけももつみ』などで有名なロバート・マックロスキーのデビュー作品。
    この表紙のデザインも素敵だけど、お話もほのぼのとしてとても素敵だ。
    挿絵も本人によるもので、これでデビュー作とは驚きの出来栄え。
    モノクロで地味な印象かと思いきや、頭上から俯瞰した町並みの絵とか、犬や猫や鳥もしっかり描かれている。
    人物の描写も生き生きとして実に上手く、特に話の山場となる「酸っぱい口」をした吹奏楽団の人たちには、もう大爆笑。
    一回読んだだけではもったいないので、何度も挿絵だけを眺めて、また眺めて眺めて。

    オハイオ州のアルトという町が舞台。
    主人公の少年レンティルは歌が歌えず口笛もふけない。
    口を上手くすぼめることが出来ないのだ。
    この劣等感を逆手にとって、ハーモニカの練習を始めるのだが、練習するうちにどんどん上手くなって、ある日思わぬことでこれが役に立ってしまう・・

    レンティル少年のスタイルが、まるで『トム・ソーヤー』のようで楽しい。
    マックロスキーの自伝的な作品らしいのだが、何しろ裸足なのだ。
    サスペンダー付きのハーフパンツを穿いて、肩からは教科書を紐で結わえてぶら下げている。
    アメリカ映画を始めて見たとき、子どもたちのこのスタイルにびっくりしたのを思い出す。
    あちらには、通学用のバッグがないんだ!と衝撃だったな(笑) 

    ハーモニカを吹きながら歩くレンティルを温かく見つめる町行くひとたち。
    カーター大佐のちょっぴりお茶目で寛大な人柄。
    苦虫じいさんのなんだか可愛いいたずら。
    ユーモアたっぷりで、すっかり惹き込まれてしまった。
    苦手なことを好きなことでカバーした話ととることも出来るが、とにかく読んでるだけで楽しくなる。
    最後のページのレンティルが自信にあふれた誇らしい顔をしているので、こちらまでにっこりしてしまう。

    レンティルがハーモニカで吹いた「かわいいあのこがやってくる」の曲は、巻末に楽譜で載っている。
    歌ってみたら「あ、聞いたことがある・・・!」という歌だった。
    アメリカ人なら誰でも知っているほどの有名な曲らしい。
    たぶん、何かの映画のバックに流れていたのかもね。
    約10分。高学年向け、かな。大型でページ数もあるので体力のある方向き(笑)。

  • レンティルは、歌うのがにがてでした。そこでハーモニカを買って、いっしょうけんめい練習しました。すると、レンティルの楽しいハーモニカの音をきくと、町のみんながにっこりするようになりました。あるひ、町でいちばんえらいカーターたいさが、こきょうの町に帰ってきました。ところが、かんげいの曲をえんそうするはずの楽団員たちは…。レンティルのだいかつやくを楽しんでね。

  • 読み聞かせにも。「かもさんおとおり」のマックロスキー。このお話は、レモンのところがポイントかな?気の利いた展開でハッピーな終わりに満足できます。(9分)

  • 私がこの絵本を読んだころはまだ邦訳が出ていませんでした。
    アメリカ人の先生との朗読会で出会った絵本。
    マックロスキーのデヴュー作とのこと。
    コンプレックスを乗り越えて自分を表現することの歓びを、生き生きとしたタッチで描いています。

    • Michiruさん
      絵本って素晴らしいですね。

      ありきたりのこんな言葉しか出てこない。
      絵本の魅力にくらくらしてきました。
      絵本って素晴らしいですね。

      ありきたりのこんな言葉しか出てこない。
      絵本の魅力にくらくらしてきました。
      2009/06/05
    • lovefigaroさん
      MakiYさん
      ちょうどMakiYさんの年齢のころ。
      私は絵本漬けの日々でした。
      きっと何かをさがしていたのでしょうね。
      MakiYさん
      ちょうどMakiYさんの年齢のころ。
      私は絵本漬けの日々でした。
      きっと何かをさがしていたのでしょうね。
      2009/06/05
  • マックロスキーの処女作。だからなのか「かもさんおとおり」や「すばらしいとき」のような、心をわし摑みにする強さはない。でもさりげなさを装って、子どもの心に響く楽しさを持っている。

著者プロフィール

ロバート・マックロスキー

「1978年 『すばらしいとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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