ファントムの夜明け

著者 :
  • 幻冬舎
3.24
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本棚登録 : 66
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344002616

作品紹介・あらすじ

いまだかつて、これほど哀しいホラーはなかった。これほど恐ろしいファンタジーはなかった。これほど残酷なラブ・ストーリーはなかった。あなたはこの哀しくも衝撃的な結末に耐えられるか。死はいつも愛する者を奪っていく。でも、あなただけは。元恋人の失踪、明らかになる妹の死因、忍び寄る死の気配。連鎖する悲劇の果てに待っていたのは…。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読む作家さん。非現実的ではかあったけどなかなか面白かった。結局推理は外れて自分の子供を助けられたんだな。でもラストは切なすぎる。

  • 真美と健吾が別れた理由や、麻紀の事故など訳ありげに書かれていて真相が気になり読み進めていきました。超能力が絡んできたあたりからは、ホラー色が強くなり現実味が薄くなります。こういった能力を持ってしまったら、知りたくないことまで分かってしまい、辛いことも多いんだろうなと思ってしまいます。

  • 人ならぬ力や異常空間を、醜い狂乱も葛藤もなくすこんと肯定してしまえる登場人物の静かな狂気性は、この人の強みだとも思うのですが、もうひとひねりほしかったと思うのは贅沢かしら。
    にしても浦賀作品の女性は見事に同系ですね。

  • 友人の頼みで真美はかつての恋人、健吾のアパートを訪れるも不在であった。
    ドアノブから感じた“死”のイメージ。
    この感覚は何を示すのか。健吾は何処へ行ったのか。


    真美には双子の妹がいた。
    彼女は頭の中で何人もの人と会話する不思議な少女だった。
    その中の一人は、自分が山中に埋められていると訴える。
    幼い双子は掘り起こそうと試みるも、非力のため断念する。
    「大人になったら―きっと、ここから出してあげる」
    しかし後日、双子の妹は土手から転落し死んでしまう。

    真美の妹、麻紀が持っていたのは死者の残したメッセージを受信する能力。
    大人になった真美も、ある出来事を機に覚醒することになる。
    街中に溢れる死のイメージ。誰かが誰かの死に関連している。
    “サイコメトラー”の能力を持ってしまった女性の小さな世界の物語だ。

    こう並べてみると少し面白そうだが、帯にあった「衝撃の結末」は嘘だ。
    真美は自分の能力に気がつき、山中を掘り返す。実家へ立ち寄り過去を暴く。
    健吾のアパートを捜索することを躊躇し、街でナンパされついて行き暴れる。
    入院中の同僚の元をお節介に訪れ見透かし、やっと健吾のアパートへ向かう。
    伏線だった妹、麻紀のメッセージも守護霊に成り下がり、身の回りには理解者をついに得ることが出来なかった。

    真美は無責任で自分勝手な性格だ。そして作中で反省もしているが嫉妬深い。
    両親にも特に不遇の扱いを受けたという描写もなく、どこで形成された人物像なのか少し曲がっている。
    現実世界の20代にもしかしたら近く、リアルなのかもしれない。
    なるべくトラブルは避けたい。警察ごとなどその極みだ。
    事情説明するにも時間と深い理解がいる。
    身を隠すようにひっそり生きている。

    しかし、本編主人公はあるメッセージを受信した瞬間に暴走する。
    本人には全く縁の無い殺人事件に躍起になる。目覚めた能力を100%信じ、通報し、果てには家に乗り込んでしまう。
    普通なら一番避けて通りたい、目を瞑ってしまいたい状況である。
    乗り込んでいかなければならない場面はもっと他にあったはずだ。
    これが、現代世界の人間のリアルに近いと思う。
    ―他人事。
    自分のものは怖くて触れられないが、他人のものは平気で触る。
    痛みを感じないから奥へ奥へと触手を伸ばしてしまう。

    主人公の思考が右往左往し、それを軸に登場人物も振り回された。
    ある登場人物が彼女を悪魔だと揶揄したが、関わった人間はなるほど、すべて苦しみ離れていく。
    掘り返した遺体もある事情で浮かばれない。
    “衝撃の結末”というやつは主人公、真美の予想だけ裏切ってしまった。
    真美は知っての上で踏み出さなければいけない領域だったのでは。
    そこと向き合うのがテーマではなかったのか。
    しれっと受け入れた悲劇のヒロインに感情移入は出来なかった。

    特殊能力を受け継いでしまった女性の哀しい物語と括ってしまうには、余りにもはた迷惑で、自分勝手な小さ過ぎる世界だった。
    ファントムの夜、明けてねぇ。っていう感じだ。


    浦賀和宏 その他の著書

    ・記号を喰う魔女 FOOD CHAIN
    ・さよなら純菜、そして不死の怪物 Takeshi Strikes Back
    ・彼女は存在しない

    などなど

  • これはタブー要素はあまり見られない作品です。
    が、やっぱり文章そのものが
    「ヤンデル系」なんですよね。
    最後の狂気に満ちた文章は
    読むのに苦労させられるのでは?

    このお話は一人の女性が
    ある力を得たために起きる
    一連の事件ともいえます。
    そう、彼女には何せ
    ある秘密が存在しているのですから。

    真相はちょっと意外性のあるものですね。
    まさかの展開でしたからね。

  • 「死が見える人」テーマの物語はけっこうよくあるし、ホラーでファンタジーでラブストーリーということなので、予測もしてなかったけど。結末に……やられた! そう来るかっ!

  • 甘からず辛からず。美味からず不味からず。面白からず詰まらなからず。。。
    この作品以後、浦賀作品は読んでません。もう読みません。終わったな。ちーん。

  • グロいってばさ〜。内容的にはまあ…普通?って感じ。

  • 人に触れると、その人の犯した殺人や犯罪が見える。サイコメトリーの能力に、突然目覚めた女の話。

    前半は淡々としていてなかなか核心には触れず、退屈。
    「彼女は存在しない」のようなスリルは、本当にラストに近づいてこないと味わえなかったのが残念。それに「彼女は存在しない」に比べると、随分と物足りない。グロさでは、負けてないけれど。

  • 安藤シリーズに比べキツい描写はあまりなくて読みやすい。続編が書けそうな内容ですが、出ないのかなあ。

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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