- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344021976
作品紹介・あらすじ
生誕50周年記念「三谷幸喜大感謝祭」のラストを飾る、満を持しての書き下ろし小説、遂に刊行! 信長亡きあとの日本の歴史を左右する五日間の攻防を「現代語訳」で綴る、笑いと驚きとドラマに満ちた、三谷印の傑作時代エンタテインメント!
日本史上初めての会議。「情」をとるか「利」をとるか。
本能寺の変、一代の英雄織田信長が死んだ。跡目に名乗りを上げたのは、柴田勝家と羽柴秀吉。その決着は、清須会議で着けられることになる。二人が想いを寄せるお市の方は、秀吉憎さで勝家につく。浮かれる勝家は、会議での勝利も疑わない。傷心のうえ、会議の前哨戦とも言えるイノシシ狩りでも破れた秀吉は、誰もが驚く奇策を持って会議に臨む。丹羽長秀、池田恒興はじめ、会議を取り巻く武将たちの逡巡、お市の方、寧、松姫たちの愛憎。歴史の裏の思惑が、今、明かされる。
感想・レビュー・書評
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まさに時代劇!という雰囲気の表紙なのに
よく見ると武士のひとりはスマホを片手に誰かと密談していたりして
本を開く前から「三谷さんめー。何を企んでるんだか♪」と期待感が高まります。
もう、冒頭からあの織田信長が、威厳のカケラもなく「熱い!」だの
「お腹をちょっと試しに切ってみたら痛い」だの
「人生五十年~!なんてかっこつけて言い過ぎた」だの、愚痴る愚痴る!
この信長のモノローグを思い出すだけで、しばらく笑い続けられます。
(豪快に笑いたい方には、後半のイノシシ狩りの場面もかなりオススメです♪)
信長亡き後の織田家の家督相続にかこつけて天下獲りを目論む秀吉の野望や
織田家の行末を気にかけながらもお市の方にメロメロの勝家、
どちらにつくか計算する者、傀儡として担ぎ出され振り回される者、
関係ない顔をしながら結局は自分の意思を通す者など
戦国の世に生きる人々の本音の、なんと生き生きしていること!
秀吉の、根回しに根回しを重ねる姑息さと
天下獲りに胸躍らせる夢想家という二面性がなんとも魅力的だし
織田家の存亡を案じていたはずが、お市の方への想いが募って
大事な時にせっせとコラーゲン鍋を作っている勝家がいじらしいのに比べ
秀吉憎さの余り、手練手管で純情な勝家を誑し込むお市の方、
秀吉の野望実現のため、清楚な物腰でしれっと芝居を打つ寧、
悲劇のヒロインと思っていたら、実はいちばん業が深い松姫、と
女性たちが揃いも揃って凄まじい。
三谷さん、「女性ってステキ。でもコワイ!」っていう気持ちが溢れ出ちゃってますよ。
図書館での予約待ち人数に気が遠くなりかけたけど、
なんとか映画公開前に読むことができてよかった♪
豪華キャストで当て書きされた映画、楽しみです! -
映画化を前提にした小説。
織田信長の跡継ぎを決める会議の一日を描いたもの。
なるほど! 三谷幸喜らしいアイデアですねえ。
まずプロローグで、本能寺での信長の述懐を、現代語訳でいきなりかまし、笑わせます。
熱いな、で始まり、ちょっと切ってみたけど、痛いとか~
光秀の謀反の理由、まじめすぎる苦労人らしい顔つきが何となく気に入らなくて苛めたくなったのも原因の一つだろうと。
さて、清須会議を前にして~
明智光秀を討った秀吉が一歩リードしているこの時期。
とはいえ信長の家臣では最長老格は柴田勝家。
歴戦の勇士で、親父殿と呼ばれ、尊敬されている。
信長の長男・信忠が本能寺の変で命を落としたため、次男の信雄、三男の信孝の争いとなり、派閥が分かれていた。
信雄は史実としてはここまでアホじゃないだろ?という気もするけど~笑えます。
モノローグが多いので、全員の本音がだだ漏れ状態のおかしさです。
お市の方は9年前に夫・浅井長政を討った秀吉を決して許さぬと決めていて、秀吉憎さから、勝家に色仕掛けで急接近。
長男・万福丸を殺された恨みもあるというのでは無理もない? え、万福丸はお市の方の子ではなかったんじゃ‥ ちょっと調べたら「信長公記」とは異説もあるので、はっきりしていないんですね。
秀吉の権謀術数、そうねえ、これぐらいでなくちゃ天下は取れないわねと納得。
勝家と親しい丹羽長秀を言葉たくみに取り込み、政治に関心のない信長の弟までも惹き付ける。
お市の方にめろめろになってしまった勝家のほうは、勝ち目ない感じ?
すべてを手に入れる勢いの秀吉も、お市の方への思いだけはピシリとはねつけられてしまうんだけど。
秀吉の妻・寧も夫に協力しているけど、なんだかな~秀吉のほうはお市の方のためなら寧を離縁してでもと思っていた本音に呆れつつ。
本音と言ってもこれは史実ってわけじゃないですけどね。
信忠の妻が松姫で、三法師の母? 違うんじゃ‥
ああこれも、そういう説もあるんですね。武田信玄の娘・松姫は信忠と幼い頃に政略結婚したけど、一緒に住んではいなかった。でも詳しいことはわかってないので会ったこともないとは限らないのね~なるほど、そうでしたか!
あの頃は誰が母親かわからないって珍しくないのねえ。
まったく‥戦国時代とは。
検索していたら、信雄も松姫も徳川の時代にも足跡を残していて、意外に長い寿命と知り、ちょっとほっとしましたよ。 -
本能寺の変、その後の各武将の思わくが、激しくぶつかりあった清洲会議をあまりに面白おかしく描いた作品。大変わかりやすく、かなり高速で読み進められた。
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これは、人の心を舞台にした、戦、です。戦、なんです。
秀吉は群を抜いてこの才に長けています。丹羽長秀をたらしこむところとか、前田利家の戦意をそぐところとか。
つい、さっきまで、秀吉の敵だった人たちが、秀吉が話をした後には、もう秀吉の意見を取り入れていました。私も、「秀吉、うまいこと言うなあー」っと秀吉びいきになっていたのは、言うまでもありません。
人は正論だけでは動かないということは、たくさんの本で書かれていますが、ここでもそうです。人と人との言葉のやり取りの中にある、間の取りかたとか、ハッタリとか、媚び、根回し・・・そういう細かいことや面倒くさいことをこつこつやってきたものが勝利するんですね、心の戦は。
秀吉は間違いなく、勝者です。
秀吉の、「俺を斬れば戦国の世はあと百年続くぞ」というセリフがかっこよかったです。私も、ここぞというときに、「私がいないと未来が変わるんだぞー」ってハッタリをかませるようになりたいと思いました。たとえ、小さいことであっても。
黒田官兵衛もかっこよかったし、。織田信雄のリアルうつけっぷりもおもしろかったし、お市の方様の、赤裸々発言も好きでした。
さすが、三谷幸喜さん。何度も、笑いがこみ上げる作品でした。そして、歴史の重要な一場面を、楽しく勉強させてもらえる作品でした。-
またまたコメント有難うございます。秀吉ものには場面として欠かせない「清州会議」ですが、ここまで人の内面に踏み込んだ作品はないでしょう。だって...またまたコメント有難うございます。秀吉ものには場面として欠かせない「清州会議」ですが、ここまで人の内面に踏み込んだ作品はないでしょう。だって織田信雄の独白なんて読んだこと無い!お市様と柴田勝家の独白が個人的にはツボでした。ayakooさんが書いていたようにお市様赤裸々過ぎて怖い!2013/05/23
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bandit250fさん、こんにちはー。
織田信雄のモノローグ、面白かったですよねー。「え?オレでしょ、次の当主」って普通に考えているところ...bandit250fさん、こんにちはー。
織田信雄のモノローグ、面白かったですよねー。「え?オレでしょ、次の当主」って普通に考えているところとか。
柴田勝家がお市様に香の物を「漬物」と間違えて持っていったところとか、本気で吹きました。私。2013/05/23
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先日映画館に行ったところ、秋公開の三谷喜劇の予告が流れました。
豪華キャスト勢ぞろい、特に大泉洋さんが羽柴秀吉役とは…!
原作が気になってしかたなくなってしまったのでした。
織田信長亡きあと、織田家の後継者は誰になるのか?
織田家宿老たちの中でも力の強い柴田勝家と羽柴秀吉が、それぞれ後継者候補を擁立し、織田家の運命を決める会議に臨みます。
根回しあり、策略あり…の5日間の模様が、登場人物たちのモノローグや日記で綴られていくのがおもしろかったです。
それぞれの心の内が手に取るようにわかってしまうのですから!
ただ個人的にはこの結末、映画の予告編で期待が高まっていた分ちょっと物足りなさを感じました。
でも、映像化されたらまた違う楽しさが生まれそうな作品です。
映画公開を楽しみに待つことにします~。 -
三谷幸喜がおくるエンタテイメント・清洲会議!
本能寺の変後、誰が織田家の実権を握るのか。 忠義の者あり、野心ムラムラの者あり、様子見の者あり。 情で動くか、利に走るか。 あはは、なんでこんなに笑えるんでしょ。
織田信長亡きあと、秀吉がまんまと(*^_^*)力を自分に集めていくことは
後世の人間である私たちは知っているわけだけど、
(しかも、彼の死後、結局は徳川の世になることも)
三谷幸喜は、そんな、いわゆる手垢のついた物語を、
織田周辺の武将たち&お市・寧などの“完全現代語訳”独白のみで綴ってしまった。
もうこれは、始めに映画ありき、の小説であって、
脳内で映像化して笑ってしまうしかないのだけど、
(だって、正直、小説としてはモゴモゴ・・・の出来の気がする)
この「独白」という形式は意外と新しくて面白い。
誰もがみな、正直に(だって自分の心の中だから)
権謀十数を巡らし、嘆き、ほくそ笑む。
柴田勝家のお市の方に対する恋慕の情の滑稽なこと、
それに対するお市の方の冷徹なとも言いたいほどのしたたかなこと、
また、ホントに嫌ヤツ、と思いながら、
秀吉のぽんと人の懐に入り込む憎めなさには、
案外、一番単純に権力を欲していた秀吉が
一番奥深い闇を持っていたのかも、なんてね。
この本を読み終えたのち、
映画のキャスティングを知ったのだけど、
あはは・・・三谷映画の常連さんがゴージャスに配置されていて、
これはきっと面白くなるはず!と嬉しくなってしまった。
三谷映画はこれまで全て見ているけど、
今回は特に楽しみな気がします。 -
実際読んでみると本人が書いただけあってキャスティング最高ですね。
想像しながら読むとより面白味が増します。
特に、柴田勝家(役所広司)と秀吉(大泉洋)すきだな~。バカ殿信雄役の妻夫木くんも。
もうこの人以外ない!って思うほど見事に合致していて、映画が楽しみになりました。
三谷さんの小説は初めてですが想像通りとてもコミカルだし、語り口調もかなりゆるいのでさくさく読めちゃう。
ただ清須会議に至るまでの心理戦に重きを置いているため、なかなか話が進まないのが難点。
どちらかというと脚本を読んでいる感じでした。
まあでも単純に楽しかったし、たまにはこんなのもいいですね。 -
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puccinさん初めまして。あやこと申します。いいねをありがとうございました。
私もこの作品、大好きです。いのしし狩りのくだりなんかもう、...puccinさん初めまして。あやこと申します。いいねをありがとうございました。
私もこの作品、大好きです。いのしし狩りのくだりなんかもう、爆笑でした。
よかったら、フォローさせてください。2013/10/22
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「とても読みやすくてユーモアもあり。」
この「清須会議」は未だ読んでませんが、独特の世界観で惹き付けて呉れますね。。。
「おのれナポレオン」...「とても読みやすくてユーモアもあり。」
この「清須会議」は未だ読んでませんが、独特の世界観で惹き付けて呉れますね。。。
「おのれナポレオン」観に行きたい(三谷幸喜の映画は観たコトあるけど、舞台は観てないので)
http://www.nodamap.com/site/news/2622013/02/15 -
nyancomaruさん。
変わった目線で飽きさせないストーリーでしたよ。是非!
私も舞台見に行ってみたいです!
友人が舞台をよく観る人な...nyancomaruさん。
変わった目線で飽きさせないストーリーでしたよ。是非!
私も舞台見に行ってみたいです!
友人が舞台をよく観る人なのですが、三谷さんは自分の舞台には結構いらっしゃるようで、会ったことがあると言ってました。かなり大柄な方らしいです。てっきりずんぐりむっくりかと・・・w。あ、失礼(^^;)
2013/02/15
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歴史の教科書でしか知ることのできなかった武将たちの本音を現代の言葉に置き換えて伝えてくれるモノローグ、楽しかったで...
歴史の教科書でしか知ることのできなかった武将たちの本音を現代の言葉に置き換えて伝えてくれるモノローグ、楽しかったですよねー。
私は、この作品の真の勝者は、松姫だと思います。やはり女は強い。
実は私、時代ものにはとても苦手意識があるのですが
(だって、辞書のどこを引いたらいいの?っていうくらい、読めない漢字が多くて...
実は私、時代ものにはとても苦手意識があるのですが
(だって、辞書のどこを引いたらいいの?っていうくらい、読めない漢字が多くて!)
このサービス精神に満ち満ちた現代語訳には、
「三谷さん、ありがとう♪」と叫びたくなりました!
全篇思いっきり現代語で語られてるのに、いちいち(現代語訳)とかついてるあたりも
三谷さんらしくて笑ってしまいました。
数行しか出てこない松姫の存在感、凄かったですね~?!
私も松姫の「あのお方」には、すっかり騙されました。
それくらい、「あのお方」って凄い武将だったんだろうなぁと、
変なところで認識を新たにしてしまいました(笑)