- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344022324
作品紹介・あらすじ
地方都市に生まれた女の子たちが、ため息と希望を落とした8つの物語。
フレッシュな感性と技が冴えわたるデビュー作は、
「R-18文学賞」読者賞受賞作「十六歳はセックスの齢」を含む連作小説集。
感想・レビュー・書評
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短編集。すらすら読める。
登場する人物たちは日常に退屈している。地方に住んでいるからだと思い都会に行ってみるが結局戻ってきたり。椎名くんが印象的。
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地方都市に住む人間の描き方が最高。“非リア充”だからこそ退屈な田舎を出て都会へ行くことを求める という解説があって、なるほどなぁと思う。求めてるものが明確にあるわけじゃなく、退屈だから、今のままでは納得いかないから、自分がありのままでいられる、生まれ変われる世界を求めて、都会に憧れる気持ち。そういうのって、たしかにあるよなぁ。
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地方都市を舞台にした連作短編集。ありがちな田舎賛美ではなく、また都会への憧れを書いただけの小説ではない。ロードサイド文化に馴染めない、地元で浮いている人物たちの都会への憧憬や挫折が色濃く詰まっている。田舎に対する鬱屈を抱えたまま地元に残り続ける人間は少数派であり、異端だ。そういった考えを一度でも抱いたことのある人間には痛いほど刺さる小説だろう。全ての短編には共通して出てくる人物がいるが、かつての憧れの人物が地方都市のレールに乗って徐々に変容していく様はリアルかつ恐ろしいものを感じる。同時に、田舎特有の世界の狭さを端的に表した上手い設定だった。非常にゾワゾワとした怖さを感じる反面、よくぞ書いてくれたといったような戦友に出会った気にさせられる小説。
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東京、二十歳。と 君がどこにも行けないのは車持ってないから
が好きだった
地方ガールはつらい 切ない
ここで楽しくやってたら最初からどこにも行ってねーよバーカ
椎名みたいな人はあんまり好きじゃないなとぼんやり思う -
初読
タイトル通り、地方の、生活するには充分な、
スタバもダイソーもニトリもTSUTAYAもある、
でもじゃあここに無いものって?
この退屈って、いわゆる閉塞感って一体何?っていう。
中高生の時のキラキラしてた男子であった椎名くん自身は描かれていない。
「地方都市のタラ・リピンスキー」と
「君がどこにも行けないのは車持ってないから」
が好きかな
東京、二十歳。
を読むと、同じ上京したての時でも
「単館映画にもこんなに人がいる!さすが東京!
そして私はやはり東京に向いている!イエー!たのしー!」
だった私は能天気だったんだなぁ、と苦笑する。 -
地方都市に住む10-20代の女子達の連作短編集。
登場する女子たちのこじれっぷりが、とっても魅力的。
そんな彼女たちの共通点は、椎名とのつながり。
小学生の時から人気者、みんなの中心にいた椎名。高校を卒業した途端に普通の人になってしまい、今ではいいお父さん。
各時代の椎名と、彼女たち。『ここは退屈』と思いながら、実は平和で幸せな時を過ごしていたんだなと、きっと思い返す日が来るのだろうな、と思います。
さら~っと読んでしまったけれど、深かったです。
もう一度読んでみたいと、終わった今、改めて思っています。 -
単純に面白かった。
R-18文学賞絡み(官能系)とは切り離して読んだ方がイイでしょう。
自分は、ピース又吉「友達から同級生のその後を、聞いているような哀愁」という帯に惹かれて購入。
中身は全八編からなる連作短編集。それぞれ異なる主人公による、陰の主人公、椎名一樹に絡んだエピソード達。それらが時系列を遡るように並べられています。
インターネットの普及により、地方と都会の温度差は以前よりも小さくはなっているものの、地方の人間の、都会への憧れ、劣等感。地方の沈滞、閉塞感。地域ごとに細部は異なれど、大同小異。どの地方にいても、共感出来る部分はあるだろう。かくいう自分も、括り的にはUターン(都落ち)組。
文章はネット世代特有の表現があったりと、全体的にサラッと軽い。また、その時代、時代の小ネタもなかなか効いている。
個人的には、「アメリカ人とリセエンヌ」が一番好きかな。特にラストは二通りの捉え方出来るのよね。他に「地方都市のタラ・リビンスキー」はありがちなオチではあるが……。この3編目「地方都市の……」で前半の勢いから少しシフト。シフト後の方が自分は好み。
さて、「友達から同級生の……」というのは少し共感出来たが、「哀愁」……はどぅかな。どのエピソードも「哀愁」というには甘酸っぱ過ぎんじゃない。
コレも、オーヴァー40のオッサンに薦められる1冊ではないな。アラサー女子のオヤツ感覚の読書には、イイかも。 -
これ好きな人は『ヤング≒アダルト』って映画も好きだと思うし、『ヤング≒アダルト』好きな人は、これ気に入るのではないかと。。。
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2012年発行
同世代の作家さんなので時代背景が手に取るようにわかる。最新作も気になるけれど
これから一冊一冊出版された順に読んでいきたい。
椎名くんが結節点となって独立した章が展開。
地方の窮屈さや現状に満足できない自分から
どう逃げ出して次のステージにいくか。。
ティーンの頃から結婚するまで
誰しもが抱える問題が明るく切実に描写されていた。
そんな女子の葛藤や奮闘を背に
椎名くんは彼なりにいろいろあったのかもしれないけど
するりと地元で幸せを手に入れたようでその対比も面白かった。
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まるで自分の学生時代を見ているようだ。
田舎特有のまったりした空気感がひしひしと伝わってくる。(きつかったなー、あの頃)
田舎が嫌で嫌で仕方なく地元を飛び出し、都内に出て、やっと自分は窮屈な場所から抜け出したと思った。
「東京、二十歳」の朝子の気持ちは本当に良くわかる。
「ここはわたしの居場所じゃないの」、本気で親に訴えていた。笑
その結果、実際、彼女と同じ年齢で都内に出てきたな、私。
朝子って私そのものだわ。
都内に出て20年以上経った今、感じる事。
誰かが迎えに来るかどうかは、運次第。
誰も迎えに来ないなら、自分が自ら外に飛び出した方が方がいい。
理想の王子様は待っていても来ない(ほとんど)。
だったら、自分が王子になった方が早い。王子になった暁には自由の勝ち取れるおまけもついてくる。
誰かに身をゆだねるより、自分で目的に向かって行動した方が自由度高い分、人生面白いと思います。