去年の冬、きみと別れ

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344024571

感想・レビュー・書評

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  • 殺人の動機はなんなのか
    徐々に明らかになる驚愕の真実
    歪んだ姉と弟

  • 映画化してたなぁと気になって借りてみた。

    登場人物全員がいろんな意味で変態の話。
    短い章で綴られ、話し手が次々変わっていくので少し混乱したが、サクサクと読めた。

    死刑囚が話しかけてる「きみ」が、実はこちらが捉えていた「きみ」ではなく新しい登場人物であることが発覚してから、物語が急展開。
    後半で表題の意味がわかり、なんとなくすっきり…したようなしていないような。

    「事故と故意で殺された愛する人(元カノ)のための壮大な復讐の話」といえば美談にもなりそうではあるが、復讐を企てた本人は死んでしまった元カノから恐怖の対象と思われていたわけだし、どの部分を切り取ってもやっぱり変態の集まりだった。

    映画の主人公?は岩ちゃんだった気がするけど、この話をどこまでどうやって映像化したのか、ちょっと見てみたい気もする。

  • キラキラ系ラブストーリーと思いきや意外やハードミステリー。これはややこしい。メタ構造も叙述も織り込んでまあややこしい。それでも構成の妙とテンポと小切れよくきれいな文体でストレスレス。最後だけよくわからなかった。なので一点引く。

  • .

  • 後半タイトルの意味が判ったところで一旦ストンと落ちるけれど、それですっきりすることは何もなく、なかなか理解に難しいストーリーではあった。最後まで読んでもう一度読むとストーリー的には納得いく仕掛け。愛とは何なのか、狂気とは、悪意とは。誰が悪者なのか。幸せとは。罪悪感とは。心情的な答えはひとつも見つからないまま終わる。後味悪くいつまでも余韻のなかで考えさせられる。

  • 登場人物の込み入った事情や、最後のどんでんがえしのための伏線のためか、各々が抱えている淋しさや悲しみからくる「悪」を期待していたのですが、それに集中することができず。最後まで読んで、あれ?って、何度も読み返して、ああそうだったのかと。残念ながら私の場合、すじに引っ張られすぎて、消化不良。

  • タイトルは本文文章中の一部を抜き取ったものだが、そうきたかという感じ。帰省中すぐに「『去年の冬、きみと別れ』録画する?中村文則だけど」と母に言われ、その後すぐにその本を家で見つけたので読んでみた。内容を知らなかったので、『去年の冬、きみと別れ』・・?中村文則は軽めの恋愛小説でも書いたのかと思った。
    私は2006年ごろかと思うが、『土の中の子供』を読んでいる。そうして中村文則の名前は10年以上忘れられない名前となったわけだが、当時ほかの作品も読んでみようとしたのかはわすれてしまった。
    なので2作品目かもしれないのだが、たぶん中村文則は狂気をもっと描けるが、エンタメに落とし込んだのではないだろうかと推測した。

    (・イニシャルがわからないという人は最後の数ページ、なんとなく話も分かってきたから、と文字を追うのをやめてしまったのかな・・・?なんでだろう・・・?)

    中村文則が好きで(とはいえ10年超ぶりの2作目なのだが)読んでいるので、この小説の良い面だけを見て楽しめたし、あっさりと正月に読むのには最適だった。

    自分自身も引っ張られて正月休暇どころではなくなってしまう程度の狂気では時期を選び手に取りづらいし、映画化されにくいし、されても文化村とかね。

    冒頭ポジティブな面と表記したのは
    多少ひっかかった点があったから。

    あなた「つまらない」
    誰かに会いに行く度同じ返事が返ってくる、
    水戸黄門の印籠みたいな。
    そんなに人から言われる?
    他にも人が変わるのに連続して同じ発言・表現があるところが。
    人形師が「気さく」な人柄
    相手への感想が「奇妙」。
    デフォルメしてエンタメとしてシンプルで伝えたいことがわかりやすいともいえるが、
    全く同じ言葉で同じ感想だと
    それこそ人に流されちゃったの?
    という気もしてくる。
    人形師がそれほど気さくに感じなかったのと、
    「奇妙」な人たちが一様に
    つまんないしわかってない。って発言なので
    もやっとしました。

    本質的な部分では入り込んで楽しめるものでした。

  • 面白かったけど、混乱。最後は整理するのがめんどくさくなった。

  • 全体から漂う、静かな狂気に翻弄される作品。

    メンタルの状態が良い時に。

  • 幻冬舎創立二十周年記念特別書き下ろし犯罪ミステリー。

    女性二人を焼き殺した死刑囚・木原坂雄大の元へ表れるライター。

    目的は犯罪に至った木原坂の心の闇に迫り、本にすること。

    しかし木原坂の偏執した心理と姉弟愛の前に書くことを怖れるライター。

    極刑に処されるほどの罪人の心情の一面を切り取り、それを表現する者の葛藤がたどりつく先に見える真実が明らかになる。


    どんでん返しものというか、木原坂の迸る心情の吐露はゾクっとするほど寒気を感じた。

    いい形で裏切られた感じの読了感。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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