- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344027428
感想・レビュー・書評
-
読みながら浮かんだ犯人の予想は的中したが、まさかあんな背景があって企てられた復讐だったとは。しかもかなりの長期計画で。現実的にどうかなんてことは考えずにただただ展開の面白さに惹き込まれて一気読み。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分が起こした罪をどうしたら償ったことになるのか。許される日は来るのか。そして現在の幸せが誰かの不幸の上で成立しているのだとして生きることの償いとなるのだろうか。いくら考えても結論が出せそうにない。
人間は都合のいい生き物なんだろう。過去に自らが起こした事件を封印し、今を生きている主人公を責めるのは簡単だ。しかし、ならば自分ならどうしただろうと置き換えた時、どうするだろう。
現在の自分を追い詰めたのが過去の自分であり、また、助けたのも過去の自分であるというループ。
ラストの『声』との頭脳戦は、読む手を止めるとこちらの息が止まる程の迫力だった。 -
どうやっても、癒されない被害者遺族の気持ちが、交錯する。
加害者の処罰がいかほどであっても、遺族の心情は安らがない。まして加害者に反省の気持ちがなかったり、裁判での量刑が納得できないものであれば、その気持ちはより強いものになる。
その人達の感情がぶつかりあった物語は、読み終えた後もいろいろな想いが沸いてくる。 -
いつもながら重いテーマを上手く扱っていると感心させられる。主人公の葛藤に、心が揺さぶられる。
-
贖罪、ってなんなんだろう、と。
かつて犯した罪を償うことって本当にできるのだろうか。しかも、誰かの命を奪った罪は、だれがどう裁き、どうやって償うのか。大切な人の命を理不尽に奪われたら、どんな償いをもってしてもそれを受け入れることなんてできるはずもなく。たとえ法に則って刑に服したとして、そんなものがいったいなんだというのだ。人間の尊厳を踏みにじり命を奪った罪がなぜ同等の苦しみを伴わないで済まされるのか。もし自分の大切な人にそれが起こったとして、多分私も同じことを考える。命を持って贖え、と、きっと何年かかっても復讐しようと思うだろう。
きちんと罪を認め刑期を終え更生し新しい人生を歩いているヒトと、それを許せず命を持って贖えと復讐を誓うヒトと、罪から逃げ過去を隠し別人として生きて来たヒトと。読んでいる途中と、読み終わって冷静になった後と、誰に自分を置き換えて誰に共感しているのかが全く変わって来る。
誰が一番罪深いのか。言葉にすればどれも同じ「罪」という一言だけど、その言葉の持つ意味とその深さ、そして抱える悲しみは、どれも全く、違う。
新たな罪を犯すことになったとしても、その後の自分の人生を失うことになるとしても、それでも許せない罪というものはあるのだ。 -
妻子と穏やかに暮らす日々に一通の手紙が届く。その手紙は過去へと男を過去へ引き戻していく。加害者の更生、犯罪被害者家族の復讐。被害者側へ感情移入するけれど、主人公の歯車が狂い日常が脅かされていく様はハラハラした。結末が何となく無理やり収めたような感じがしたけど面白かった。
-
(2022-03-16)
-
スピード感があって最後まで楽しめた。
-
最近ハマっている薬丸岳。今回は珍しく少年犯罪ではなく、過去の犯罪に苦められる話。よく人を励ます時未来について明るい話をするけれど、消せない過去で苦しむ人はどうすればよいのだろうか、遺族も加害者も永遠に過去から逃れられないのだろうかと考えると胸が苦しくなる。
-
一度罪を犯した人間は、幸せになってはいけませんか。
現代は隠し通せるような逃亡は100%難しいでしょう。