天才

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028777

感想・レビュー・書評

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  • 「天才」
    石原慎太郎が田中角栄を切り取る。


    石原慎太郎は、嘗ては田中角栄元首相の金権政治を鋭く批判する側だった。それが逆に評価する側として小説を書き上げたものが本書である。


    「俺はいつか必ず故郷から東京に出てこの身を立てるつもりでいた」という文章から始まるこの小説は、田中角栄本人が自己の人生を語る回顧録のスタイルをとっています。しかし、何故回顧録としたのだろう。「政治に関わった者としての責任でこれを記した」とするならば、ノンフィクションの方が適切じゃないのかな?と。角栄が何を言って何を思ったのかを一人称で書かれていても、その一人称が角栄じゃないのだから、頭の端で本当にそうなの?と思っちゃいましたね。


    中身としては田中角栄を詳しくは知らない私には角栄初心者用として良かったです。田中角栄と言えば「インフラ整備」と「ロッキード事件」であり、それに紐づく些細な情報しか頭に入っていないレベルなので。そんな私であるので、角栄が子供の頃、電車にひき殺されそうになったり、軍隊に入隊していたり、個人企業を起こしていたり、懇願するから稲葉修を第一次内閣の文部大臣にしてやったとぶっちゃけたり(いいの?)、色々と発見がありました。


    他に見えてくるのは、ロッキード事件を代表とする様な事件の背景からは見えない人としてのデリケートな一面です。浪花節と映画を愛する、家族思いである、意外と人情家であるなど。不倫がばれて娘に辛く当たられるのは仕方がないと思うが(しかし、愛人を議会委員会に参考人として呼び出すのは如何なものかとも思う)。


    強烈な個性をもったリーダーが不在の今、石原慎太郎に「高速道路、新幹線、飛行機のネットワーク。私たちが生きている現代を作ったのは田中角栄だ」のような言葉を言わせる政治家はもう現れないかも知れない。


    しかし、「アメリカという外国の策略で田中角栄という未曽有の天才を否定し葬ること」は絶対に許されないと力を込める程、角栄を買っていたとは。。。


    角栄には確かに国を良くするだけの胆力と決断力はあった?と思わせる。少なくとも今の政治家なんかより全然ありと思わせる。

  • 田中角栄を追い込んだ石原慎太郎が書く主観モノ。自伝的口調で書かれているから薄い内容。読みやすくて、入りやすい。

     田中角栄をロッキード事件で退陣に追いやった石原慎太郎が書くから意味のある本。アメリカに嵌められて翼をもがれたイカロス。というには田舎臭い男だが、やはりゴッドファーザー的な人物はこういう運命を背負うんだよな。田中角栄を失った日本の損失と書かれているが、田中角栄が君臨し続けたら、日本はアメリカに踏みにじられていたんじゃあないだろうかぁ。

     いや、むしろそのほうが失われた20年とかクソみたいな旧態依然とした思想が暴走することもなかったのかなぁ。タラレバ。タラレバ。

     ただ、最近の政治家に大物感がない、田中角栄ぐらいアメリカに牙をむける大物政治家がいないのは問題だよなぁと思う。結局、安倍晋三もアメリカの顔色を窺いつつうまく立ち回っているだけだし。高齢者とアメリカの顔色をうかがうだけの小手先政治家だけだから、日本は終わりである。
     
     田名角栄をみていいなぁって思うのは、やっぱりドカタを愛しているところだなぁ。頭いいだけでおバカなインテリ官僚にはわからない、本当の国力というのを肌身で知っていた政治家ってのは、本当においしいよ。

  • 「天才」(石原慎太郎)を読んだ。あの『田中角栄』だしあの『石原慎太郎』だからなあと思いながら読み始めたのであるが、これは正直言って面白かった。(あくまでも単純に読み物としてではあるが。)
    『田中角栄』という人は、(良い意味でも悪い意味でも)記憶に残る政治家だね。

  • 内容については人によって好き嫌いがあると思うが、大局的な見方を学ぶ為には読む価値がある本。

  • 人によっては、聴きたくない事も有ると思う。

  • 列島改造論を読まねば。天才の構想は、確かに実現し国家の骨格を成している。ピーナッツはアメリカの謀略としか思えなくなった。

  • 田中角栄の生い立ちからロッキード事件にて失脚、脳梗塞に倒れ、亡くなるまでを一人称で書かれている。僕が生まれる前か、幼い時の世情を何かしらの迫力を持って一気に読ませられた。

    天才とタイトル付けした理由も読み終わり納得が行く。
    政治家としては現代には合わないスタイルなのだが、この方のおかげな部分が多々あるのは否定できないと思えた。

  • まあまあ

  • 本編の一人称のところが面白くないのってなんの。もっと読みたいところはさらりと流し、どうでもいいところを滔々と語る。むーん、天才という本題がさっぱりわからず…
    最後のあとがきを読んで、あー、そういう事ねと。壮大な前振りなのかなと思ってしまいました。なんで話題になったんだろ?
    あとがきだけでよいのでは?そもそも一人称で「天才」は無理があるでしょう。
    石原さんの本はこれが初めてなのですが、うーん、という感じです。

  • 田中角栄に関する本は沢山読みました。人間味があり、強烈なリーダーシップを発揮した政治家だと思います。石原慎太郎 著「天才」(2016.1)、さっと流し読みしました。正直、面白くなかったです。何を主張したかったのでしょうか・・・。田中角栄になりかわって、「俺は~」という書き方で、石原慎太郎が田中角栄の生き方、生涯を語っています。内容には、特に新しいこともなく、陳腐な内容でした。最後に「長い後書き」として、田中角栄との関わり、思い出を記述してますが、これが目的でしょうか? 全く関心ないです。失礼しました。

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著者プロフィール

1932年神戸市生まれ。一橋大学卒業。55年、大学在学中に執筆した「太陽の季節」により第1回文學界新人賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞受賞。『亀裂』『完全な遊戯』『死の博物誌』『青春とはなんだ』『刃鋼』『日本零年』『化石の森』『光より速きわれら』『生還』『わが人生の時の時』『弟』『天才』『火の島』『私の海の地図』『凶獣』など著書多数。作家活動の一方、68年に参議院議員に当選し政界へ。後に衆議院に移り環境庁長官、運輸大臣などを歴任。95年に議員辞職し、99年から2012年まで東京都知事在任。14年に政界引退。15年、旭日大綬章受章。2022年逝去。

「2022年 『湘南夫人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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