天才

著者 :
  • 幻冬舎
3.20
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本棚登録 : 2125
感想 : 288
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028777

感想・レビュー・書評

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  • ●学芸会
    この成功は俺のドモリの克服に決定的な引き金となった。
    それで俺が幼いなりに悟ったというか、これからの人生のために体得したことは、何事にも事前のしかけというか根回しのようなものが必要ということだった。
    ●借金
    金の貸し借りというものが人間の運命を変える、だけではなしに、人間の値打ちまで決めかねないということをその時悟らされたような気がした。
    ●上京
    母親は三つのことをいってくれたものだった。
    「大酒は飲むな。馬は持つな。出来もしないことはいうな」と。
    その言葉は今でも忘れずにいる。
    ●県の土木派遣所の職員
    驚いたのは村の土木工事をしていた業者の監督たちだった。
    今までトロッコを押していた若造が工事現場の監督になってしまったのだから、立場ががらりと変わっての平身低頭となった。
    その時俺が悟ったのはこの世の仕組みなるものについてだった。
    金も含めて、この世をすべてしきっているのは、大なり小なりお上、役人たちがつくっている縦の仕組みなのだ。ならばそれを自在に使う立場の人間とは一体誰なのだということだった。その時の認識というか、一種の目覚めこそがそれからの俺の出発点となったと思う。
    ●新しい法案
    それから俺がそんな場で痛感したのは、何か新しい法案について話し合う時、それに関わるだろう国民の立場への斟酌が彼らには全く欠けていることだった。
    俺はいつもその案件について最低の立場に置かれているだろう国民の立場を考えてものをいってきた。

  • こういったテイストの本もあるんだなーと感心。
    当時の事をよく知らないが、政治の恐ろしさを感じた。

    成り上がりとは、このことをいうのだろう。

  • (01)
    伝記だろうか.通例いわれるような自伝はない.また,本書の「俺」は,著者の石原氏でもない.誰が誰を書いたのか.
    書かれたものにおいて誰が誰を書いたかは,さして大事でもないという立場にたって,本書を眺めると,そこには友と敵があり,女と子があり,仕事らしきことと,自らの業か他者の策によって仕事から離れた状態が見えている.
    自負は感じられるが,反省はほとんどないことが,本書の奥行を浅くしている.感傷はあり,なぜか映画の思い出が語られる.父や母への偏愛もあり,発声の障害にややモチーフの断片もみられる.
    内外の政治家たちの名前が散見され,友と敵としての遠さや近さについて言及されているが,愛憎といった激しい感情よりも,「俺」の醒めた疎外感があり,終盤には,やや厭世観や無感覚なアパシーへと動きはじめる.この地点の「俺」には,田中と著者が混じった存在が感じられる.つまり,「俺」の文学は,著者にとって,または田中の拭いえぬ記憶にとっても必要であったのであり,「俺」は著者と田中のメランジュという混合物でもある.本書の「醒め」は,「俺」というその中間項ともいうべき媒介に由来すると考えられる.
    「天才」は,そんな「俺」の叶わぬ欲望であって,国家や自治と一体化を果たしたい政治家たちの有するナショナルな願望であり,悲しき欲望のようにも読んだ.

  • 活字が大きめなので読みやすかった。そのぶん、スカスカ感が免れない。
    この著者の文章は三島由紀夫ととは真逆っぽく読み辛い。
    きっと一気に書いたんだろうなと思う。
    そして四十五万部突破だって。羨ましい。素材の勝ちかな?
    一人称で書くことによって余計な説明が省けるし、この本を読もうとする人は田中角栄のことは外郭を知っているだろうからそれはそれでいいかもしれない。

    あのロッキード事件では当時新聞を読む度に腹が立ったけれど、角栄にとって5億円なんてたいした金額じゃないことという点で同意できた。だから、そんな賄賂は不必要だった。
    さらに独立発展させていく原動力としての角栄を葬るためにアメリカが罠にかけたということにそうだったのかと今更ながら納得させてくれた。角栄はアメリカという虎の尾を踏んだのだということ。そこへ政治家たちの野心が絡み合っていたといこと。
    やっぱり本は読むべきです。雑学にしてもなにかしら得るところがある。
    後書きがいいな。
    もっと角栄さんのことを知りたくなってきた一冊だった。

  • いろんな意味であの石原さんが田中角栄の事を一人称で書くことの衝撃。
    時代を変えるのは天才ではなく変人だと感じた。
    そして、田中角栄は激動の時代を変人として豪快に歩んだと思う。
    時代が変わり、時が経って振り返れば変人を天才と評価する人が現れる。ただただそう感じさせられる一冊だった。

  • 一人称で語られたフィクション。実話なのかと思って手にとったので少しがっかりした気持ちもあったけれど、田中角栄という人物が天才であることに変わりはない。いい悪いは別として、自分の私腹よりも人のために生きている姿は学ぶところが多い。スケールの大きい人。索引にある本も併せて読んでいきたい。

  • [展示]平成のベストセラー本特集:2015(平成27)年ベストセラー1位(トーハン調べ)

  • 田中角栄の一人称「俺」で物語がすすむ。客観的な事実はよいとして、本物の角栄の考え方や精神状態がそうであったかはわからない。小説の形式なので、石原氏の創作と考えたほうがよいだろう。

  • 気軽に読める、田中角栄の生涯、といった感じの1冊。
    かつて鋭くその金権政治に迫った著者が、なぜ今になって角栄本を書いたのか。出版当時もいろいろと言われましたが、強いリーダーを求める(ポピュリズム的な?)世の中の雰囲気に合わせて書いたという感じをどうしても持ってしまいます。田中角栄の業績について概要を知るためには、役に立つ1冊と思います。

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著者プロフィール

1932年神戸市生まれ。一橋大学卒業。55年、大学在学中に執筆した「太陽の季節」により第1回文學界新人賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞受賞。『亀裂』『完全な遊戯』『死の博物誌』『青春とはなんだ』『刃鋼』『日本零年』『化石の森』『光より速きわれら』『生還』『わが人生の時の時』『弟』『天才』『火の島』『私の海の地図』『凶獣』など著書多数。作家活動の一方、68年に参議院議員に当選し政界へ。後に衆議院に移り環境庁長官、運輸大臣などを歴任。95年に議員辞職し、99年から2012年まで東京都知事在任。14年に政界引退。15年、旭日大綬章受章。2022年逝去。

「2022年 『湘南夫人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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