ムスコ物語

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344038196

作品紹介・あらすじ

国籍?いじめ?血の繋がり?受験?将来?は?なんだそりゃ。

「生きる自由を謳歌せよ!」


『ヴィオラ母さん』で規格外の母親の一代記を書いた著者が、母になり、海外を渡り歩きながら息子と暮らした日々を描くヤマザキマリ流子育て放浪記。

●いじめっ子のところに押し掛ける●エリート学校こっちからお断り●一緒に遊ぶ。むしろ自分の方が遊ぶ●宿題で寝られないような学校はやめちまえ!……

『ヴィオラ母さん』で規格外の母親の一代記を書いた著者が、母になり、海外を渡り歩きながら息子と暮らした日々を描くヤマザキマリ流子育て放浪記。
ムスコによる「ハハ物語」も収録


「息子にとってこの世で誰よりも理不尽でありながらも、お人好しなほど優しい人間である母ヤマザキマリ。そんな母のおかげで国境のない生き方を身につけられた私は、おかげさまでこれから先も、たったひとりきりになったとしても、世界の何処であろうと生きていけるだろう。」――山崎デルス(ムスコ)

感想・レビュー・書評

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  • NHKの『100分de名著』で『砂の女』の解説をしているヤマザキマリさんの姿を見て、この人はどんな子育てをしたのだろう?と思い手に取りました。

    イタリア人との間に産まれた息子を一人で育て、その後、息子と14歳違いのイタリア人と再婚。世界中を飛び回りながら(旅ではなく引っ越し)の育児。
    言葉も文化も違う国に引っ越す度に、息子のデルスは対応力を身につけていった‥‥と。しかし、これは親がそう思いたいだけで、息子の気持ちは違っていたのかもしれない‥‥と。

    あとがきに『ハハ物語』として、大人になった息子のデルス君のエッセイが載っているのですが、お母さん、その通りだったようですよ。息子が母の行動にどんなに困っていたか、引っ越しをする度にどんなに悲しかったかが綴られています。でも、あの経験が今とても役に立っていると。
    このあとがきがなかったら、だいぶ違った印象で読み終わってしまうところでした。
    『ハハ物語』あってこその『ムスコ物語』。
    家族を大切にしつつも、お互い一人の人間として尊重し合い自由に生きる。
    ステキな親子の物語です。

    • こっとんさん
      アールグレイさん、こんにちは♪

      あれれ?
      『夜明けのすべて』のレビューにコメントをいただいた時に、私たち、同じ年代なんだな、と思ったのです...
      アールグレイさん、こんにちは♪

      あれれ?
      『夜明けのすべて』のレビューにコメントをいただいた時に、私たち、同じ年代なんだな、と思ったのですが‥‥おそらく同じくらいなのだと私は想像しています。
      だけど私は遅くに出産してるので、子どもはまだ成人していないのです。
      この本の中でヤマザキマリさんは、「今思うと、息子がこう思っているに違いないと感じたのは自分に都合の良い思い込みだったのかもしれない」と書いています。
      今、まさしく私は子どもに対して都合の良いように思い込んでいるのかもしれないなぁ、と反省しつつ読みました。

      2022/08/16
    • アールグレイさん
      こんばんは★

      夜明けのすべてのコメント、読み返しました。そうでした!!
      なんだか皆さんが私よりお若い方に思えてしまうのです。私も出産はもう...
      こんばんは★

      夜明けのすべてのコメント、読み返しました。そうでした!!
      なんだか皆さんが私よりお若い方に思えてしまうのです。私も出産はもう少しで高齢になってしまうところでした。う~ん、どうすればうまく手抜きができるか、なんて思っています。
      (・u・)>
      2022/08/16
    • こっとんさん
      アールグレイさん♪

      分かります!
      皆さんが自分よりも若く思えてしまいますよね!
      私なんか特に、ママ友がみーんな若いので、自分が一番年上‥‥...
      アールグレイさん♪

      分かります!
      皆さんが自分よりも若く思えてしまいますよね!
      私なんか特に、ママ友がみーんな若いので、自分が一番年上‥‥と常に思ってしまいます笑

      うまく手抜き‥‥私はいつも手抜きです、ハハハ。
      2022/08/16
  • 息子デルス君の話でありながら、母ヤマザキマリさんの歩んできた半生の記録であり、家族のカタチや世界との関わりについて考えさせられる内容。ヤマザキマリさんの堂々とした行動や発言が潔くてカッコいい!「これはこうあるべき」に縛られない生き方…これはなかなか凡人には難しい。

  • かねがね素敵だな、と思っていたヤマザキマリさんの子育て記。
    もう、びっくりすることばかり。
    ご本人は「規格外」と書いておられますが、これは宇宙人レベル。
    ここまでぶっ飛んでいると、清々しい!

    妊娠が分かった頃、マリさんは食べ物にも事欠くほど貧乏だったとか。
    結婚する気はなく、パートナーとは別れる決意もしていたとのこと。
    出産を迷う彼女に、キューバ人の友人が かけた言葉が素敵です。
    「そんなあなたを母にしようと決めた赤ちゃんなんだから。
    あなたの価値観で子供の幸せを決めちゃだめよ」

    赤ちゃんが親を選んで生まれてくるという話、聞いたことがあります。
    本当だとしたら、「選んでくれてありがとう」と言わなくては。

    マリさんの息子の名前はデルス。
    森林で一人でも毅然と暮らしていける伝説の狩人が由来なのだとか。

    最後の章は、デルス君から見た「ハハ物語」。
    高校の時、寝る時間もないほどの課題をこなすのに必死だったデルス君。
    徹夜が続いて体調を崩した時に、母親のマリさんが言ったこと。
    「そんな学校はさっさと辞めちまえ」
    そして、学校を休ませ 課題もほったらかしにさせたとのこと。
    アメリカの実力至上主義に囚われていたデルス君は
    それが唯一の価値観ではないことを、その時に教えられたと記しています。

    マリさんは世界の様々な場所で暮らしてきました。
    17歳でイタリアに渡り、出産後は日本に戻り
    その後、子連れの結婚をしてシリア、ポルトガル、シカゴ…。
    引っ越しや旅が繰り返され
    遺跡を前にすると、興奮して子どもを忘れて姿が見えなくなる母親。
    そんな生活の中で培った逞しさと自由な発想を持ち
    国境を持たない地球人のデルス君。
    これからどんな人生を送っていくのでしょう。

    奇想天外なヤマザキマリさんの子育て。
    色んな人がいるからこの世界は楽しいんだなぁ、と
    私の小さな世界が少しだけ広がったような感じがしました。

  • 私が読むヤマザキマリさん作品の3冊目にして、本書が一番良かった。

    できれば章を、デルス君の年齢順に配置して欲しかった。

    あとがきという形でデルス君本人の弁を知れたことが良かった。

    キューバの章が特に印象に残った。
    キューバ人のクリスティーナの考え方、キューバのホームステイ先の家族からのプレゼント、そしてそれを託されて届けてくれた(イタリア人なのかどうかはわからないが)見知らぬフィレンツェの紳士の件。

    旅先で見知らぬ誰かから荷物を託されないように(知らぬ間に密輸に加担させられる)という注意喚起があるのが現実なので、実際には関わるべきではない。
    でもこの話を読んで、私は『五色の虹』(三浦英之 著)のレビューに書いたことを思い出していた。
    あれとこれの件では、託された側の人が届ける行為が尊いなと思った。

  • 読みながら何度も目頭が熱くなりました。
    中でも第4話は嘘みたいな感動的なラストで、特に好きなエピソードです。

    ヤマザキマリさんは作品とともに、ご自身の破天荒とも言えるワールドワイドな暮らし方も有名な方ですが、そんな破天荒なヤマザキさんが息子のデルス君をどのような決意で生み、どんな風に育てて来たのかを綴ったエッセイです。

    イタリア、北海道、シリア、ポルトガル、シカゴなど、世界中を転々と引越しながら、その都度言葉を覚え、知らない文化と人々の中に混じって成長してきたヤマザキさん親子。
    母、マリさんの行動はパワフルで潔くて、子どもにとってはきっと本当に理不尽。でもその愛情も不安も心配も、普通のお母さんと何ら変わらないのだなぁということが、読んでいるとよく分かります。

    そして親子であっても互いの心のうちまでは理解し得ないのだなということが、デルス君のあとがきからしっかりとわかるのです。

    それにしても息子が「私は、これから先も、たったひとりきりになったとしても、世界の何処であろうと生きていけるだろう」と言えるだけの人間になったらもう、親としては本当に言うことないな。


  • 漫画家ヤマザキマリさんが、息子さんについて綴ったエッセイ。イタリアで恋人の子を身ごもり出産、未婚の母として日本で子育て。その後再婚し、エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカなど世界各国で暮らしながら息子を育ててきたヤマザキさん。
    とにかく枠にはまらず自由で、波瀾万丈。こんな生き方もあるんだなぁと、面白く読んだ。
    一般的な「お母さん」とはかけ離れていても、彼女なりの一貫した子育て論や美学があって、潔くてカッコ良い。『自分がこの世に生まれてきて良かったかどうかは誰かに示してもらうのではなく、何より自分自身でそれを感じるべきである。』という言葉に表れているように、お互いが依存しない、自立した関係の子育て。
    さまざまな世界を見て育った息子デルス君も、きっと苦労が絶えなかったとは思うけれど、そのぶんグローバルで器の大きな人間に成長していて、私がいま見ている世界や子どもに見せている世界なんて、ほんとに狭いものだなぁと考えさせられた。
    巻末の、デルス君本人による、母への言葉も心憎い。母と息子の、唯一無二の絆を感じた。

  • ヤマザキマリさんによる息子デルスくんについての本。これまで他の著書で断片的に語られてきたデルスくんの主に日本(北海道、沖縄、東京)、シリア、イタリア、ポルトガル、アメリカ(シカゴとハワイ)でのたくさんのエピソードを知ることができる。

    20年ちょっとの人生で地球規模の環境の変化を幾度も経験してきているデルスくんは、どこでも一人でも生きていける自信を身につけた頼もしい青年に成長。行く土地土地で異質なものとして、心無いいじめに遭ったこともあるようが、その都度相手を責めず、感情的にならず、消化している様子を見て、とても素直で賢くて優しい子であることが良く分かった。デルスくんの書いた「あとがき」も必見。

    日本では「こうであるべき」と考えられがちな親子関係に囚われないヤマザキ親子の価値観はとても魅力的だ。家系にサラリーマンが殆どいないと語るヤマザキさんだが、デルスくんもユニークな道を歩む気がしてならない。今後がとても楽しみな青年だ。

  • ヤマザキマリ流「子育て放浪記」。わが子を自立した人間に育てたいなら、この一冊。 『ムスコ物語』 | BOOKウォッチ
    https://books.j-cast.com/topics/2021/08/14015827.html

    #1 日々頑張っているお母さんにとっては「なにこれありえない」子育てだとしても|ヤマザキマリ『ムスコ物語』刊行記念|ヤマザキマリ - 幻冬舎plus
    https://www.gentosha.jp/article/19253/

    「ムスコ物語」 - Mari Yamazaki
    https://yamazakimari.com/works/musukomonogatari/

    ムスコ物語 | 株式会社 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/b13846.html

  • ヤマザキマリさんの本を読んでいると、たびたび登場する息子のデルスくん。
    子供ながらに達観したような彼の言動が印象に残っていて、どんな人なのか気になっていました。
    誕生前から大人になるまで、デルスくんにまつわるエピソードを母の想いを交えながら綴った1冊です。

    ヤマザキさんの生き方は波乱万丈という言葉がぴったりです。
    周りの人とは違う母の生き方は、ときに息子にとっては理不尽でもありました。
    でも、デルスくんのしなやかさと強さを内包した穏やかな人柄は、そんなパワフルな母と共に、世界のあちこちで暮らし、さまざまな文化に触れながら成長してきたから養われたのだと思います。

    「他者という鑑に自分を投影することで自らの存在の確認などしなくても、地球に受け入れられているという自覚だけ持って堂々と生きて欲しかった」
    「この惑星の生き物として生まれてきたことを感じてほしかった」
    デルスという名にこめられた雄大でたくましい母の想いが、とてもかっこよくて痺れました。
    そして、その想いを息子はちゃんと受け取ってすこやかに生きている、と感じられるのがとてもすてき。
    風通しのよい親子関係に清々しさを感じつつ読了。

  • ヤマザキマリさんによる家族を描くエッセイ
    大好きでたくさん読んできました。
    だから登場人物が完璧に頭に入っています。

    今回は主に息子デルス君。
    でも他の皆さんもたくさん登場しています。
    最後にデルス君のあとがきを読んで
    「彼はその時こう思っていたんだー」と知ります。

    ヤマザキマリさんの考えや生き方大好きだけど
    こうはなれません。
    私の周囲、普通の会社員と公務員ばかり。

    これからもヤマザキマリさんのエッセイを楽しませていただきます。
    どんどん、飛躍してください。
    フィクションじゃないのが、凄く良い。

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著者プロフィール

1967年東京生まれ。漫画家。14歳でドイツとフランスに一人旅へ。17歳でフィレンツェの美術学校入学。1994年、一人息子デルスを出産。1996年、漫画家デビュー。帰国し、北海道大学などイタリア語の講師を務めつつ、北海道の放送局でイタリア料理の紹介や旅行のレポーター、ラジオパーソナリティなどを務める。2002年、14歳下のイタリア人ベッピと結婚。エジプト、シリアと日本を往復しながらの生活が続くが、2004年に日本での仕事を整理し、リスボンに家族三人で住むことになる。主な著書に『テルマエ・ロマエ』『モーレツ! イタリア家族』『世界の果てでも漫画描き』『地球恋愛』『ルミとマヤとその周辺』など多数。現在シカゴ在住。

「2012年 『ヤマザキマリのリスボン日記──テルマエは一日にして成らず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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