かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 577
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344038998

作品紹介・あらすじ

木下杢太郎、北原白秋、石井柏亭、石川啄木ら
若き芸術家たちが謎に挑む
傑作青春ミステリ

明治末期に実在した若き芸術家たちのサロン、
その名も「パンの会」。
隅田川沿いの料理店「第一やまと」に集った
木下杢太郎、北原白秋、石井柏亭、石川啄木等が推理合戦を繰り広げる。
そこに謎めいた女中・あやのも加わって――。

鬼才・宮内悠介の新境地!

感想・レビュー・書評

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  • 耽美派の木下杢太郎が主人公と言うのが興味深い。あの有名な「牧神(パン)の会」に集うメンバーから出される不可解な事件を、皆でああでもないこうでもないと論議し合うが、結局は店の給仕のあやのが解いてしまうという連作ミステリーだ。当時の若い小説家や詩人、歌人、画家たちの雰囲気が上手く描かれているが、ミステリー自体は無理があるかも。ただ、芸術至上主義的な事件解釈がユニークかな。木下杢太郎自身の煩悶も描かれているが、結局は医者の道に進み懶病の権威になったんだね。

  • 瀧井朝世が読む『かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖』芸術家たちの謎解き | 本がすき。
    https://honsuki.jp/review/51720.html

    かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖 | 株式会社 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/b14133.html

  • 小説幻冬2020年2月11月号、2021年1、3、5、7、9月号連載の「牧神に捧ぐ推理」を改題し加筆修正して2022年1月幻冬舎刊。菊人形遺聞、浅草十二階の眺め、さる華族の屋敷にて、観覧車とイルミネーション 、ニコライ堂の鐘、未来からの鳥、の6つの連作短編。パンの会の集まりが開かれる料理店で女給のあやのがその場で聞いた話からたちどころに事件の謎を解く話なのだが…。ちっとも興味を惹かない事件で、謎の解明もありがたさがわからない。あやのって何者?という思いは持続するものの、楽しめないままラストへ。あ、あやのってそうなの。でも、それがどーした。と思いました。

  • 【収録作品】 菊人形遺聞/浅草十二階の眺め/さる華族の屋敷にて/観覧車とイルミネーション/ニコライ堂の鐘/未来からの鳥

    明治末期に実在した若き芸術家たちのサロン「牧神(パン)の会」。隅田川沿いの料理店で木下杢太郎、北原白秋、石川啄木らが推理合戦を繰り広げ、女中・あやのがオチをつける。黒後家蜘蛛の会の形式にのっとった連作ミステリ。
    とはいえ、本家のような軽みはなく、美について、自分の進むべき道について、そして時代の趨勢における青年の鬱屈した悩みが重い空気をはらむ。
    本家にならい、各話に覚え書きがついているのはありがたい。

    朝日新聞書評 https://book.asahi.com/article/14552311

  • 発想、物語の構成は面白い。
    ただ、文章が入りこんで読めるようなものでなく、読んでいて退屈だった。

    明治時代の文豪や詩人といった、いわゆる「耽美派」と言われる人々(多分)を登場人物に、彼らが身近で起きた事件について語り紐解くという形の短編集となっている。
    ただし、どの物語も事件の真相をこうでないか?と語るのは、彼らが集まりを開く場所である食べ物屋の女給。
    彼女は彼らの話を側で聞き、見事に話を解決に導く。

    乃木将軍の菊人形に刀が刺さっていた事件。
    三角関係にあった三人の内の一人が転落死する事件。
    産まれたばかりの赤ん坊の眼玉と臀部が切り取られた事件。
    軍人殺人事件など、全部で6話。

    読み進めるにつれてつまらなくなった。
    いきなり事件の話から入るので中に入りこめないし、登場人物の心情描写がほとんどないため、そういうのが読みたい私にはつまらない。
    事件の真相も芸術家には納得というものかもしれないけど、どうも腑に落ちない。
    実際に起きた事件をモチーフにしているらしく、実在の人物ー森鴎外や北原白秋といった名前が出てくるので、そういった文豪が好きで詳しい人なら、また違う楽しみで読めるのかもしれない。

  • 明治に実在した若き芸術家たちのサロン「牧神の会」で、木下杢太郎、北原白秋、石井柏亭らが謎に挑む連作短編集。著者覚書にあるように明治版の黒後家蜘蛛の会といった感じ。
    会に集まる芸術家たちは実在の人物で、作者はかなり綿密に調査して実在の出来事を取り入れているようだが、個人的に北原白秋など有名どころしか知らないのでいまいち盛り上がれず残念。事件の真相や動機はちょっと変わったものが多くて面白かった。

  • 木下杢太郎や北原白秋たちが集まって謎解きをするのもワクワクなのに、謎を解明するのは、お店の女中のあやのさんだなんて。
    この時代の人間の業がなせる人死になのか?
    あやのさんとは一体何者なのか?

  • 「美のための美の運動」を掲げ、「パンの会」に集う若き、詩人、画家たち。
    明治末期の両国橋のたもとに立つ西洋料理店「第一やまと」に集う彼ら。
    「スバル」の創刊、与謝野夫妻、印象派についてと語り合い、酒が回るうちに「事件」の話題になり。

    医学と詩の間で悶々とする木下杢太郎が発起した「パンの会」は参加者を変えつつ、「事件」を解決してゆく。
    残念ながら、事件自体にはあまり魅力が感じられないけれど(あっさり解決しすきるからかも?)、杢太郎が抱えるものが静かに膨れ上がっていくようで、じっとりと重い。
    でも、読後に若い彼らの一頁を一緒に体験した気持ちになっているので、悲壮感は感じない。
    最後のお話はちょっと壮大過ぎな気もするけど。
    「黒後家蜘蛛の会」形式の本はあとがき、注意書きがいらないよなーと思うものが多かったけど、今回は史実を丁寧に追ってるので、とても勉強になった。

  • 明治時代の実在の若い芸術家たちによる謎解き短編集。雰囲気は好きだけど、トリックが理屈っぽくて面白くなかった。

  • 面白かったけど、期待が大きすぎたかなぁ。
    毎回、女中のあやのが解決してまうし。
    あの時代の登場人物に知識がないと楽しさ半減してしまうのかもしれない。

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著者プロフィール

1979年生まれ。小説家。著書に『盤上の夜』『ヨハネルブルグの天使たち』など多数。

「2020年 『最初のテロリスト カラコーゾフ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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