恋する殺人者

著者 :
  • 幻冬舎
3.11
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  • (3)
本棚登録 : 486
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041172

作品紹介・あらすじ

ええええっ!? どういうこと?ラブコメミステリと思いきや、本格ミステリの大傑作!真帆姉は、本当に事故で死んだのか。大学生の素人探偵が辿り着いた真相は、純情? 愛情? 過剰? 異常?“読書”の快楽が存分に味わえる、これぞ本格ミステリ。大好きな従姉の事故死に不審を抱く大学生・高文は、彼に片思いするフリーター女子・来宮を“助手”に真相を探っていく。大型猫科肉食獣を思わせる担当刑事・鷲津にあしらわれながら“捜査”を進める高文だが、彼が協力を依頼した人が次々と殺されていく。一体、何がどうなっているのか――?

感想・レビュー・書評

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  • 男女の距離感が絶妙で大好き!ライト&ラブリーテイストで、仕掛けが丁寧な恋愛ミステリ #恋する殺人者

    ■あらすじ
    大学生である主人公の高文は、従姉真帆が事故でなくなってしまったことを不審に思っていた。慕っていた従姉のために、女友達の来宮とともに事件の捜査を行っていく。しかし捜査を進めるにつれ、さらに事件は発展していき…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    可愛い作品ですね~
    変に気取ってなくて好感が持てますね、こんな物語は大好きです。

    圧倒的に推したいのは、登場人物たちの会話部分。
    ユーモアと愛嬌に溢れ、ほんわかしたやり取りがめっちゃイイ!…と思いきや、あまりにもあっけらかんとした犯人目線の愛情&狂気が鬼怖いんですよ。若い男女の恋する気持ちが可愛くて、なんどもほっこり&ガクブルさせていただきました。

    謎解きミステリーとしては流石は倉知先生の作品でしたね。
    さらりと伏線が忍ばせてる辺りは本当にお上手だし、真相への導き方もシンプルながらも強烈。そして甘い世界観で煙に巻かれ、気づきにくい。

    ライトで読みやすく、登場人物たちの心情も分かりやすい。しかも仕込みもしっかりとした良作ミステリーでした!

    ■ぜっさん推しポイント
    男女の距離感が素晴らしいんですよね。
    高文が真帆姉を慕う気持ち、明確な男女の仲ではないんだけど、姉弟以上の想いが見え隠れする。そんな高文をいつも横で見ている、来宮の目線。そしてそれを優しく受け止めている高文。

    互いを見つめあっている絶妙な距離感に、恥ずかしながら若かりし頃の恋愛を思い出してしまいました。胸にじんわり来る良作でした!

  • とても読みやすくて面白かった。
    タイトルからしてポップな感じだったけど、内容もテンポよく進むので、ミステリ不慣れな方でも読めちゃいそう。
    ネタバレになっちゃうからあまり書けない…
    恋は怖いよね、いつどこで誰にどんな感情を持たれてるかわからないものね。
    私はあまり考えずに読むタイプなので、作者の思うつぼですね(笑)

  • 大学生高文は,従姉妹の転落死に疑問をもち独自に捜査する。犯人視点の記述あり。思い込みの激しい犯人が,身勝手な理由で3人も殺すのは気分が悪い。

  • とても読みやすかったけど、内容が薄い。
    こんなに簡単に人が殺せるようじゃ世の中殺人事件だらけになってしまうよ。

  •  姉とも慕う従姉の不審死。警察は事故死の方向で捜査していたが、高文は事故ではなく殺されたのではないかと疑いを持つ。死の直前に従姉は、誰かに後をつけられている気配がすると高文に打ち明けていたからだ。
     早速、友人の手を借り独自で調べ始めた高文だったが……。

     素人探偵が見えざる殺人鬼と対峙する謎解きミステリー。物語は、高文視点と殺人犯視点で交互に語られていく。
             ◇
     大学生の高文は、幼い頃から姉弟のようにして育った従姉の真帆子のことが大好きで、高校時代からの友人の美咲から「イトコン」とからかわれるほど。

     その真帆子が友人宅からの帰りに、坂道の長い石階段から転落死した。警察や関係者は事故死との見方を強めるが、高文は殺人を疑う。
     死の数日前、何者かに尾けられている気がすると、真帆子から聞かされていたからだ。

     真面目で優しいだけが取り柄の地味な大学生の高文だが、果敢にも真帆子の死の真相をつきとめようと決意する。高校時代からの友人でありコミュ力の高い来宮美咲の協力を得て、高文はさっそく独自の調査を開始した。
     ところが話を聞かせてもらおうとアポイントをとった真帆子の友人たちも次々と何者かに襲われていき……。

         * * * * *

     あらすじだけ見るとハードなホラーサスペンスのようですが、探偵役を務める高文 − 美咲コンビに緊迫感がなく、ユルさの目立つやりとりで進行していくという、まるでラブコメディのような作りでした。

     タイトルどおり、犯人は高文への恋心に身を焦がすあまり殺人に手を染めていくのですが、そんな異常性格者は存在すると思うので、設定としてはよい。
     けれど、それならその狂気はなぜ、高文に片想い中で行動をともにしている美咲に向けられなかったのか。(ネタバレ御免)そのあたりが甘く感じられて気になりました。

     また、主人公の高文やヒロインの美咲、そして犯人。物語に奥行きを出させる重要な登場人物なのに、いずれも描写が浅く、さほど魅力的に感じませんでした。
     だから高文が犯人と対峙するクライマックスや、エピローグで美咲が高文に対して彼女宣言をするシーンがあまり盛り上がらず、ミステリーとしてもラブコメディとしても物足りなさを感じてしまうところも残念です。

     ただ、殺人シーンや死体の描写が至極あっさりしたものだし、ミスリードを狙った叙述トリックもわりと単純でわかりやすかったので、ハードサスペンスが苦手な人やミステリー慣れしていない人にはぴったりの作品だと思います。

  • 珍しく真相に自力で辿り着けた。
    作者様がヒントを大盤振る舞いしてくれたおかげですけど。
    最後の細かい種明かしで気づいたことも多かったし。
    サクッと読める長さで、読了感も悪くなく、ちょっと時間がある時にオススメしたい一冊。


  • 従姉の突然の死に疑念を抱いた主人公の
    高文が、事故死という警察の結論を受け入れ
    られず、それ以外の可能性と真相を求め
    探偵活動をして事件を辿って行く物語。

    一緒に探偵活動をする助手役の奔放な性格や
    態度に呆れたりびっくりしたりしましたが、
    ラストまでしっかり騙されました。

    誤認させる手際に天晴れでした。


  • 倉知淳の長編ミステリ。
    可愛らしい表紙とは裏腹に連続殺人を突き止めていく物語。さっと読める、手軽さがあり、慣れた人なら2時間位で真相に辿り着く。(ミステリー慣れてない方にはドンデン返しはこういう事だという教科書の様だ。)
     登場人物も限られており、推理もしやすい。過去に筆者の作品を経験していれば(とにかく読者を驚かす作品ばかりだ)最初の独白時点で違和感を覚え、あっという間に犯人を割り出す事ができるだろう。
     主人公の高文とフリーター女子来宮(高文に思いのある女性)が素人探偵と助手の立場で謎解きを進めていくが、なんというか、登場人物達の役割が明確に整理されており、淡々と物語が進行していく。読み応えという部分においては物足りなさを感じてしまった。
     帯コメントに、読書後の快楽が存分に味わえる→楽しむ事はできる。
     一体、何がどうなっているのか→それ程混乱する事はなかったなぁ。寧ろもう一捻りあったらひっくり返っていたかも知れない。

  • サクッと読めて、シンプルにおもしろいです!

  •  倉知淳さんの新刊は、原稿用紙換算で309枚だそうである。200pに満たず、長編と呼ぶにはやや短い。1日で読み終えたが、色々な意味でこの長さでよかった。

     従姉が転落死を遂げ、失意の底にある大学生・高文が、独自捜査に動き出す。警察は事故死に傾いていたが、彼は殺人ではと疑っていたのだ。口下手な彼に、同級生の来宮が付き合うことになったのだが…。おいおい、あのパターンかよ。

     高文の従姉への思いは、限りなく恋愛感情に近いのだろう。いわばシスコンである。来宮は従姉だから「イトコン」などとふざけていたが。伝手を辿って、生前の従姉を知る友人への接触を試みるのだが、なぜか会う前に殺害されしまい…。

     まあね、ミステリーなんてろくでもない人間が登場する読み物ですよ。何冊も読んできて、慣れているはず。それなのに、このライトな乗りが殊更に不快に感じられるのはなぜだ。とばっちりとしか言えない2人の死に、怒りを覚えるのはなぜだ。

     正直、帯にあるような“読書”の快楽にはほど遠い。その瞬間、またその手かよっ!と思ったが、「その手」が理由なのではない。「その手」の作品を読んで、途中で見破ったことはないのだから。まんまと騙されたことは認めなければならない。

     もう一つの真相も「その手」のバリエーションだが、ちょっと無理があるか。高文の推理の重要ポイントではあるのだが、読者は知るかっての。いずれにしても、とばっちりには違いなく、残された家族を思うと遣り切れない。作り話なのに。

     本格ミステリとして大傑作とは言えないまでも、佳作ではあるだろう。しかし、過去に読んだ倉知作品と比較して、自分には波長が合わなかったようである。倉知作品を知らない読者の方が、もしかしたら楽しめるかもしれない。

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著者プロフィール

一九六二年静岡県生まれ。日本大学藝術学部卒。九三年「競作 五十円玉二十枚の謎」に応募し、若竹賞を受賞、九四年『日曜の夜は出たくない』で本格的に作家デビュー。二〇〇一年『壺中の天国』で第一回本格ミステリ大賞を受賞。著書に『星降り山荘の殺人』『片桐大三郎とXYZの悲劇』『皇帝と拳銃と』『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』『月下美人を待つ庭で猫丸先輩の妄言』などがある。

「2021年 『作家の人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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