死にぞこないの青 (幻冬舎文庫 お 10-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344401631

感想・レビュー・書評

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  • ぼくと自分は、少し似ている。<br>
    自分も昔先生が正しいんだってずっと信じていました。<br>
    でもそれは、自分で正しいことを考える力がなっかったからからだと思う。<br>

  • 主人公は小学5年生の男の子。
    一人称で語られる地の文には、小学生らしからぬ小難しい言い回しも多いが、それは乙一さんが敢えてそうしているとのこと。
    変に子供っぽく書かれるより、乙一さんが書きたいことが伝わってきて良かったと思う。

    主人公を率先してけなすことで、クラスで自分の立場を確立する卒業したての担任教師。先生というより、クラスのリーダー、猿山のボス。先月までキャンパスライフをエンジョイしてた、自分こそ子供なんだから、急に先生然とはできないよね。だからまあ、やり方をちょっと間違えたのはしょうがないとしよう。
    でも、こいつ、子供の頃からナチュラルにこうして来たんだろうなーっていうのが良く分かるとこがダメだ。結婚したら絶対モラハラ夫になると思うので、彼女さんは逃げたほうがいいと思うよ。

    一回の家庭訪問と、毎月の担任発行の学級新聞を読んで、良い先生にあたったと疑わない親たち。特に主人公の親は何を見てるのか。友達と遊ばない、学校に行く背中が重い、食欲が落ちるとか、色々あったはずなのに。良い人フィルターは、本当に人の目を曇らせるんだなぁ。

    主人公にしか見えない子供、アオ。自分は怖がりで、気弱で、勇気がなくてと言っているマサオ少年は、自分の分身と考えたようだけど、果たして…?

    クラスの子達はまあ5年生なら、先生がああならこうなるよね、って感じ。

    物語前半の、クラスでいじめられる様子が長すぎたので(具体的に手出しされることはほぼなく、本人が勝手にウジウジしてるだけの描写も長いから余計に冗長)、もうちょっと他のエピソードが欲しかったな…というのが正直なところ。

  • 図書館で何となく見ていて、タイトルに惹かれて借りた本。想像していた以上に面白かった。

    小学生特有の、狭くて窮屈な思考に陥っている様子が、手に取るように分かって、苦しくなった。小さな世界から抜け出せなくて、誰かに助けて欲しいけど、誰にも言えない。自分が悪いのだと思い込む。そんな主人公がこれからどうなっていくのかと、ドキドキしながら読んだ。

    今、苦しくて辛い思いをしている小学生に読んで欲しい本だと強く思う。
    主人公は、最終的に青の正体のようなもの、つまり自分の精神状態に気づけて、言わば極端で脅迫的な思考から抜け出すことが出来た。でも、今苦しんでいる小学生は、自分を苦しめているものについての解決策とか対処法、自分の精神状態の異変に気づけなくて、自分がどんな状況に置かれているのかを理解出来ないことが多くあるのでは無いかと思う。大抵は時間が経ってから知識が増え、「ああ、自分はあの時これに苦しめられていたのか」とあとから理解する。でもそれでは遅すぎる。だから、この本を読むことで、自分を客観的に見て、早く気づいて、苦しさから解放されて欲しいと思う。
    この本では、主人公は誰にも相談せずにいじめと戦った。しかし今苦しんでいる人は、誰かに話して欲しいなと強く願う。
    自分の話になってしまうが、私は多分小学生の頃、強迫性障害になっていた。何度も同じことを考えて、何度も同じことをして、死にたくなるほど辛かった。でも、強迫性障害という概念を知らなかった私は、自分がおかしいと思って誰にも話ができなかった。思うに、小学生は、周りにいる人からどう思われるかを凄く気にしていて、大人が思っている以上に繊細で、本当のことがなかなか言えない時期なのでは無いだろうか。大人になったら、小学生の頃の心の機微なんて忘れてしまうだろうし、同じ目線に立つのは難しいことなのかもしれない。でも、先生や親は、分かってあげて欲しいと思う。
    この本は、小学生と関わる人にとっても、小学生の頃を思い出せてくれるような本である。

  • つまらん。
    最近の流行りだろうか?主人公を子供にして、責任をその子に負わせる。「何せ、子供のする事ですから・・・・」と

  • 恥をかきたくないし、よく見られたい。誉められると嬉しいけど、失敗すると笑われそうで心配になる。きっとみんな、自分が他人にどう思われているのかを考えて、恐がったり不安になったりするんだ。

    ぐろい。そういや乙一さんの描く小説ってグロい描写あるんだった。(語彙力欲しい…)描写がリアルすぎて、本なのに目細めて眉間にしわ寄せて読んでた。

    自分に素直に他人を気にしすぎずに生きていきたいな。

  • 作者があとがきに書いていた通り、好きなものを書いた作品。
    読んでいて、自分は主人公の気持ちが痛いほどわかった。
    自分は主人公ほど運動ができなくもないし、人見知りで話しかけれないわけでもないが、人からどう思われているのかが怖いと思う。
    誰しもそういう恐怖は少なからず持っているんだなと読み進めて強く印象に残った。
    1人を犠牲にして周る安定にはいつか終わりが来る…そんなこと少し考えればわかるのにね。
    目先の解決だけを考えると、あぁいうことができてしまうのだろうな。

  • なぜか「できそこないの青」と覚えてしまっていた作品

    先生のいじめが陰湿で生徒たちをうまく操っているなと思った

    マサオの視点で語られていて、読んでいて凄く苦しくなった
    終盤にアオと一緒に先生に復讐している時は頑張れ、頑張れ!と思いながら読んだ
    なんというか、復讐はだめ、と言うのは簡単だけど、被害者のマサオの気持ちを考えたらつい応援してしまった
    復讐されないように真っ当に生きようと思う

    マサオが強くなって良かった

  •  小学5年生クラスを担任する新任教師が、自身への不満解消のために生徒1人をイジメの対象にしてしまう胸糞悪い話。大人の目線だと先生の行為が懲戒免職に値すると簡単に判断できるが、子どもの立場から先生に逆らうことはとても難しかったことを思い出した。私も小学生の頃は、マサオのように周囲の人間の目を気にして言いたいことを言えなかったので、マサオの気持ちがよくわかる。
     アオが先生への復讐をけしかけ思いを遂げたことで、マサオはクラスメイトや当事者である先生すら許せる心を持てたように思う。アオがマサオを浄化したのだろう。

  • アオのおかげでマサオは強くなれた。
    途中、ツラい描写もあったけど、
    最後はスッキリ。

  • 自分を守る為に弱い奴を生贄にする。
    どこの世界でもあり得る事だろう。
    人間は弱い生き物だから。

    アオの傷はマサオの心傷を表していたんじゃないかと思う。体の傷は目に見るけど心の傷は見えないからね。だからどれ程傷付いているかって本人すら気付かない事もある。

    マサオが先生を殺さなかったのはちょっと以外だったな。てか先生への復讐劇になるとは思ってなかったし。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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