- Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344407039
作品紹介・あらすじ
時は、幕末。時勢は否応なく男たちを呑み込んで行く。土方歳三も、人を斬りながら新選組の活路を探し続けた。親友・山南敬助の捨て身の切腹、同志・近藤勇との別れの予感。やがて土方は、坂本龍馬が暗殺の直前に語った計画に、新選組の未来と己の夢を賭ける。命を燃やしながら奔った男たちの青春群像。見果てぬ夢を謳いあげた北方版「新選組」。
感想・レビュー・書評
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泣けた…泣けたよ、土方歳三に、沖田総司に、近藤勇に。新選組はなんのために生きてどこで死ぬのか、三人三様。もちろんそれぞれ違って当たり前だけど。田舎の道場で燻っていた者達が京で名前を知られ、それどころか聞いただけで腰抜かして失禁するほど恐れられる存在になる。しかし幕府が倒れて、その新選組のその後を模索するまで…が上巻。新選組を俯瞰していて、歴史の勉強にもなりました。「世に出る、そう心に期していた。そして新選組は世に出た。俺たちは生ききった。」カッコ良すぎる。
フィクションとはわかっていても、土方の動きが、苦悩が、あり得そうでおもしろい。ハードボイルドな側面はもちろん、よく考えてある。司馬遼太郎さんの作品は新選組のみのフォーカスだとすれば、こちらは歴史上に絡み付く新選組。これはこれでまた良し。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人は、生きたいから、いろいろ考える。死に方を決めてしまえば、余計なものは見なくなる。
初北方。中華史でなく、新選組を選んで正解。するりと入ってくるし、やはり北方の描く土方も良い。でも、これほどスマートな文章だとは思わなかった。前半は坂本龍馬などは意外とあっさりで、まだほとんど登場しない西郷隆盛は相当な悪人設定らしいが、後半どうなるか… -
北方謙三の書く新撰組ってどんなの?
っていう素朴な興味から読み始めた『黒龍の柩』。
三国志や水滸伝で北方節にすっかりとりこになってしまったので期待をもって読み始めた。
土方歳三を中心に、山南、沖田、近藤の新撰組の面々の他に勝海舟や小栗忠順という、
どちらかというと幕府側の人間にクローズアップされていてどっぷり読み込んでしまう上巻。
今、ちょうど上巻を読み終えたところ。
ところどころ、話が前に進まないような足踏みしているような焦燥感にとらわれるんだけど
それもまた幕末のもやもやとしたつかみどころのなさを表現しててありなのかもと思ったり。
幕末のものはもともと大好きでいろんなのを読んだんだけど新撰組が中心のものは司馬遼太郎とあと何冊か読んだ程度。
他の本では土方の晩年がいまいちピンとこなかったので
これは下巻に期待。 -
これは面白い!
新撰組を新しく映し出している
歴史小説にありがちな読みにくさがない。なめらかに読める。なのに重厚な中身が読み進んでも読み進んでも減らない
燃えよ剣で土方を読んだが、これも読める。読むべきだ -
「替天行道」の旗を掲げる水滸伝の英雄達と、
「誠」の旗を掲げる新選組の隊士達。
古い体制を壊す者と、守ろうとする者。
彼らは一見相反するように見えるけれど、実はとても似ていると思う。
それは、愚直なまでに自らの信念を貫くことなんだなぁ。
北方さんの描く新選組は、やっぱり格好良かった!!
司馬版土方は、どこまでも直情的で捨て身なタイプでしたが、
北方さんの描く土方は、冷静に一歩下がった所から時勢を読んでいる。
おぉーこれが北方ハードボイルド新選組か!と、新鮮な気持ちでした(笑)
山南の描き方がとても好きです。
土方と同じ思いを持った、理知的な人物として描かれています。
山南が言葉の優しさなら、土方は無言の思いやり。この二人、惚れる。
病魔に冒され、日々命を削っていく総司の姿がとても辛い…。-
こんばんは!
コメントありがとうございました(^O^)
自分も北方さんは高校時代にハマって
ハードボイルド文学に目覚めた...
こんばんは!
コメントありがとうございました(^O^)
自分も北方さんは高校時代にハマって
ハードボイルド文学に目覚めたんですよね(笑)
そこから海外の本格的ハードボイルド作家の
チャンドラーや
ハメットやパーカーなんかを読むキッカケになったので、
思い入れのある作家やし
新選組を書いてたことは初めて知ったので
レビュー読ませてもらって
スッゴい興味が湧きました♪
愚直なまでに
自らの信念を貫く人たちの話に弱いし(笑)
また本屋さんでチェックしたいと思います!
2013/02/18 -
円軌道の外さん♪こんばんは^^
コメント、ありがとうございます!
おぉー高校時代に北方ハードボイルドですか!渋くてカッコイイですね(笑)
...円軌道の外さん♪こんばんは^^
コメント、ありがとうございます!
おぉー高校時代に北方ハードボイルドですか!渋くてカッコイイですね(笑)
私は北方作品は、時代物しか読んだ事がないんです。
「三国志」ではまり、「水滸伝」「楊令伝」と読み進めてきました=*^-^*=
次は現代物にも挑戦したいなぁ、、、
北方さんの新選組は、一味違いました。
新たな土方像を楽しめると思うので、是非是非読んでみて下さーい☆2013/02/19
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今迄読んだ新撰組ものの本の中で、土方が一番格好良く書かれていました。
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かなりオリジナリティな新撰組モノです。でも悪くないです。
例えば、一般的には不仲とされている、土方と山南の友情が描かれているのですが、これが良いのです。
オリジナルキャラの久兵衛も良い味でてます。下巻の歳様にも期待! -
死に場所を探すためではなく、新たな夢を追いかけるために北へ行く。一言で言えば衝撃的で斬新な新撰組小説でした。基本的には史実に沿っているんですが、色々な要素(慶喜公とか小栗忠順とか勝海舟とか幕府の隠密とか)が絡まってきて読んでて飽きませんでした。そして、物語の終盤にはあとがきにもあるようにあっと驚く『サプライズ・エンディング』が用意されています!もしこれが史実なら希望が持てるんだけどな…。
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実は北方謙三氏の作品は今作が初読み。それ故に従来の作風は存じ上げないが、軍記物である「水滸伝」の著者だからか、政治色の極めて強い新撰組小説という印象。政局をつぶさに描写する文章と些か形式張って台詞じみた登場人物達の会話の所為か、中盤過ぎまで中々物語に入り込めなかったが、佐幕派と倒幕派の思惑がせめぎ合う第六章「大政」から一気に面白くなる。上巻は池田屋事件に始まり、鳥羽伏見の泥試合で幕引き。ここから五稜郭までは更なる長丁場になりそうだ。坂本龍馬の思い描いた新国家構想に夢を馳せる土方歳三の生き様とはこれ如何に。