小説渋沢栄一 下 (幻冬舎文庫) (幻冬舎文庫 つ 2-13)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344409132

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  • 旧幕時代「士農工商として、社会の最下層に置かれ、不当な扱いをうけてきた商人」、「利益を追求するばかりで、視野が狭く、世界貿易を経営できる才幹」を持たず商業道徳の低かった商人の奮起と自覚を促すため、栄一は実業界に転出し、請われるままに「新興の産業に失敗の危険を覚悟して投資し、五百余の会社経営に参与してことごとく成功させた」。

    超人的な活躍で、我が国実業界を産み育て、明治国家を先進国の一員へと押し上げる原動力となった栄一は、何より優れた人格者だった。栄一の「事柄に対し、いかにせば道理にかなうかをまず考え、しかしてその道理にかなったやりかたをすれば、国家社会の利益になるかを考え、更にかくすれば自己のためになるかを考える」、「自己のためにはならぬが、道理にもかない、国家社会をも利するということなら、断然自己を捨て道理のあるところに従う」利他の精神は、現代の企業経営者にこそ求められるものと言えるだろう。

    「論語と算盤」も読まないとな。

  • なんてアグレッシブな方なんだ。産みの苦しみを何度も乗り越える本物の出来る人。

  • 渋沢栄一がこれだけ多くの会社に関わってたとははずかしながら知りませんでした。銀行創設に関わってた人かと思ってたら王子製紙や東京ガスなんかまで。

    自分の富を築くのではなく、日本の商工業を発展させるんだという一点に注力していた様は非常に爽快です。70を過ぎても来るもの拒まずで面倒見たり相談に乗ったり。こういう人には日本人、外国人問わず人から信頼されるのですね。背筋が伸びました。

著者プロフィール

1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年に『深重の海』で直木賞受賞。その後、織田信長を描いた『下天は夢か』がベストセラーになる。95年『夢のまた夢』で吉川英治文学賞、2005年菊池寛賞受賞。1997年に紫綬褒章を、2003年には旭日小綬章を受章。剣道三段、抜刀道五段で武術全般に造詣深く、剣豪小説をはじめとして多くの武道小説を執筆。2018年5月26日逝去。著書に『明治撃剣会』『柳生兵庫助』『薩南示現流』『雑賀六字の城』『修羅の剣』『大わらんじの男』『龍馬』など多数。

「2022年 『深淵の色は 佐川幸義伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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