阪急電車 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344415133

感想・レビュー・書評

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  • 「阪急電車」は、片道15分のローカル線を舞台にしたお話です。

    各駅ごとの短編でもあり、その登場人物同士が少しずつ重なり合って別れていく長編でもあります。

    何気ない日常の中に色々な人生があって、重なったりすれ違ったりしていく・・・

    読み終えたときには日々の生活が、違った目線で見えてくる小説です。

    「真面目でいい子に生きるのがつらい」
    「まわりのことを考えて、道を選んできた」
    そんな方は甲東園駅(折り返し後)の章で「バカだけど優しい(社会人の)彼氏」が言った言葉を読んでみてください。
    きっと気持ちが軽くなります。

  • この『阪急電車』は、阪急今津線を舞台にした、乗り合わせた人々のエピソードが繋がっていく連作短編集だ。青山美智子さんの作品から連作短編集の作品がお気に入りになった。他に良い連作短編集はないだろうかとググってみたら、この『阪急電車』が出てきた次第。

    色々なしがらみや過去がある人々が、偶然乗り合わせた阪急今津線。各駅ごとに、それらが複数の登場人物同士で絡み合っていくのが非常に心引かれた。恋愛系のエピソードが多かったのもホッコリして興味深く読めた理由かもしれないが、やはりハッピーエンドになっていくから心地よかったのだと思う。

    どちらかというと女性の登場人物の方が多いのは、著者が女性だからだろうか?。男性にとっては、女性の目線での考え方が新鮮で面白い。そうそう、私は著者:有川浩さんを以前、男性だと思っていた(失礼)。『空飛ぶ広報室』で航空自衛隊を描いた作品を読み終わって、「浩(ひろし)」じゃなくて、「浩(ひろ)」って読むんだと初めて知った。自衛隊から恋愛系まで、いろんなジャンルの作品を書けるのはものすごい!

    最後になるが、私がこの作品の中で一番興味深かったのは、「宝塚南口駅」のエピソードで登場してくる翔子さん。結婚直前の彼氏から振られてしまったストーリーだ。その彼氏にどう見返していくかは読んでのお楽しみだが、後半にも登場してきて、うまく人生を軌道修正できていたので安心した。いろいろな登場人物のホッコリしたり、スカッとしたりするストーリーを堪能できる非常に良い作品だった。この作品は、2008年1月に発刊されたものだそう。今から16年も前だ。もっと早く読んでおけば良かったなあ。

    *(追記) 小説が超絶面白かったので、映画版も見てみたがガッカリ。やはり映画は原作小説を越えられなかった・・・。残念。

  • 心温まるストーリー。懐かしの阪急電車の沿線にそって、ショートストーリーが繋がっていく。日常にこそ物語があり、日々通り過ぎるだけの日常こそかけがえのない人々の物語があるということを思い起こさせてくれる。

  •  物語の様に、電車の中が出会いの場であったらどんなにいいのに。と羨ましくなった。携帯を見ている人で溢れかえっている現代社会。残念で仕方がない。

     知らない人からの一言で救われることがある。
    たった1度の出会いから、大きな心境の変化へ導いてくれることがある。

     長く続くことが全てではない。ささやかな出会いでも大切な人間関係はある。そう気付かせてくれた一冊。温かい気持ちになった。

     電車の中で、誰かに話しかけてみたくなった。窓から見える風景の話。お天気の話。何でもいい。何か物語が始まるかもしれない。

  • 人の温かさや胸キュンをしっとりと味わえる作品。

    自分が住む町にもこんな幸せが転がっていたりするのかなぁなんて夢見がちなことを考えてしまった。

    “地べた走ってる電車”良いですよね。
    図書館好きな私としては、征志くん&ユキちゃんエピソードが…最高でした!

    「ジョッキでいくならーー今日やろ!」

  • ほのぼのとした連作短編集。
    自分も阪急電車に乗ったような気持ちになる。電車の中で起きる小さな事件、小さなやりとりを、電車に揺られながら眺めたような感覚があった。

    どの話も読み終えるころには少し先に希望があって、ほんのり明るい気持ちになる。

    そして街並みの描写やそこに住む人たちの描写が素敵だった。文庫版を片手に聖地巡りをしたくなる気持ちもわかるなぁ。

  • 勧められて読んでみた本。有川浩さんの小説はおそらく初めましてだったけど、1日で読み切ってしまった。

    電車という、偶然人々が居合わせた一つの空間の中で繰り広げられる、短編物語。
    特に、女子大学生のミサが語る、今まで自分も、道すがらたくさんの人々に救われ、学ばされ、生きてきたんだろうな、という言葉が印象的だった。
    気付かぬところで日々、私たちはお互いに影響し合いながら生きている。

    そして特に以下の言葉が印象的だった。
    ・あの子らがみんな今度の春に合格して笑えますように。
    そんなことを思い出しているうちに、非常識なおばさんたちのことはどうでもよくなっていた。

    素敵な人との出会いで、嫌な思い出も全部自然と忘れるような、そんな上機嫌な生き方を続けたいなぁ。空いている日に、阪急電車、聖地巡礼しようと思います。笑

    • たろさん
      上機嫌な生き方って言葉素敵ですね、再読したくなりました!
      上機嫌な生き方って言葉素敵ですね、再読したくなりました!
      2024/05/08
    • 西さん
      ありがとうございます!
      上機嫌な生き方、私も忘れかけてたので、明日からまた意識しようと思いました!
      ありがとうございます!
      上機嫌な生き方、私も忘れかけてたので、明日からまた意識しようと思いました!
      2024/05/08
  • おもしろかった!
    10年くらい前に読んで以来の再読ですが、内容については記憶朧気だったので新鮮な気持ちで楽しめました。

    いいなぁ。どの駅のストーリーもおもしろかった。
    それぞれが抱える物語のどれもに引き込まれて一気読みしてしまいました。
    そしてその物語の全部が、どこかで繋がっているって言うのが素敵。元気が出る作品です。

    駅ごとの短編が次々と繋がっていくので、次はどんなエピソードなのか読む前から想像して楽しい。
    子どもの一言にスカッとしたり、人付き合いの煩わしさに共感したり、しんみりしたり、恋の予感にワクワクしたり、感情がクルクル動いて忙しかった。
    恋愛小説をあまり読まないので、久しぶりにキュンとしてほっこり和みました。
    登場する女性たちがみんな素敵だったなぁ。

    「えっちゃんのアホな彼氏の会話」に笑ったけど、あとがきで、それが実際に著者が聞いた会話ほぼそのままっていう事実にまた笑った。

  • 短いストーリーが集まってるという事で、じっくり読めないかなぁと悩んで今になりました。読んでみると、それぞれの話が絡んでたり、あっという間に読める分量なのと、ほんわかする話の先が気になって、楽しく読めました。作家の想像力と着眼点が素晴らしいですね。
    自分の毎日乗ってる電車は疲れて寝るサラリーマンが多いですが、その人のストーリーがないか見つけられたら、もしくは想像できたら面白いなと思いました。怪しい人にならないように注意します。

  • 駅を利用する人の日常の話しですが、とてもほっこりします。
    駅伝のように、電車が進むと話の主が変わる。でも繋がってる。
    何というか、読むことで優しくなれたり、心の余裕ができる感じ。
    気軽に読めるし、とても良い。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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