ディスカスの飼い方 (幻冬舎文庫 お 35-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344416475

感想・レビュー・書評

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  • ここまでとことん一つのことに突き詰める(突き詰めざるを得ない)アマチュアってのはやはり恐ろしいな、という感想。

    こういうどんどん自分を追い込んでいくような、しんどい性格の人ってのはたいてい周りの人をどんどん不幸にしていくし、この主人公もご多分にもれず、好むと好まざるとに関わらず酷い目に合わせてしまう。

    こういう人が恋人の場合はさっさと別れるのが吉、なんだよなぁという典型的な物語でした。
    だがしかし、それにもまして面白い。

    熱帯魚の飼育には露程も興味がないのだけれど、そのビニいたりさいに渡るしつこいまでの描写にはちょっと魅力を感じてしまった。

    これがこの作者の持つ力なんですよねぇ。

    多分将棋に全く知識も興味もない人でもこの作者の描く棋士の物語には魅力を感じるであろうし、やはり専門性というかある一方向への深い深い造詣と知識、それをこういうふうに活かすのがまさに筆力というものなのだろう。

    これがいわゆる「恋愛小説」なのか、ということには、ちょっと疑問を持たざるをえないけれど、すごく美しくてきれいな物語でした。

  • 何かに夢中になればなるほど、人との繋がりとか社会とか、そういう物がどうでも良くなってしまうような感覚、分からなくないと思った。

  • 人生、筋道の積み重ねの連続。
    不器用でも、自分なりに積み重ねるしか、
    ありません。

    例え、無駄であろうとも、
    例え、なんの役に立つか分からなくても、
    いつか自分にかえってくるものです。

    だって、何をするかと、
    なんの役にたつかを決めるのも自分なのだから。

  • 5年ぶりに再読。

    著者の持ち味が生きた、大崎善生らしい作品。パイロットフィッシュ、アジアンタムブルーの系譜。

  • 熱帯魚にはまった経験があるだけに、詳細な記述が興味をそそる。作者はどこでこの知識を得たのだろう。

  • ディスカスを飼うことで人生とは何なのか、人生のマニュアル化をしようとした話
    恋愛小説

  • どうやって過去を乗り越えて行けばいいんだろう。同じぐらいの時間が必要なんだろうか。それ以上の時間が必要なんだろうか。

  • ディスカスの飼い方読了!ディスカスの飼い方は冒頭こそ春樹っぽかったものの、中盤以降は大崎善生ワールド全開でした。このストーリーを陳腐じゃなく書き上げられるのって大崎氏ならではといった印象。

  •  熱帯魚ディスカスの飼育に取りつかれた男の話。
     引っ越しして、初めての繁殖に取り組む時、彼はかつての恋人を思い出すのであった。

     恋人の思い出と、飼育が不思議にシンクロして、ちゃんと恋愛小説として成立してるところがさすが大崎善生なのである。
     ディスカス故に、恋人と別れたのに、結局のところディスカスを通して彼女を感じるというか、ディスカスを介さないと世界とつながれない悲哀…。いや、彼はそれが幸せなのだから悲哀ではないのだろう。

     つまりのところ、命を産み、育てるということは、宇宙的になにかの根源とつながっていることなのかもしれない。
     と、水槽から世界、もしくは深淵が見える気がするのである。

     …このタイトルは完璧だと思うけど、多分セールス的にはあやういんだろうなぁ。

  • 『ヒミズ』を観た。
    それから『冷たい熱帯魚』を観た。

    熱帯魚といえば大崎さんに飛んで、これを読んだ。
    これまで読んだ中で分かる大崎さんの小説は、
    熱帯魚・中央線沿い・20世紀・ヨーロッパ・引越し・洋楽曲
    あと将棋があったり、雑誌があったり、そして「恋愛」。

    繰り返し、変わらずに、使われるモチーフ。
    それを読むのが、安心で好きです。

    ディスカスを飼うことを通して、理解できないものへのアプローチを得ようとする男の人と、割り箸の割り方で愛を伝えようとした女の人の、ブラインシュリンプみたいな、愛のお話。

    また、大崎さんの小説で新しい言葉を知って、
    よく知る概念の厚みが増した。

著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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