彼女の血が溶けてゆく (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 936
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344419926

感想・レビュー・書評

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  •  フリーライターの桑原銀次郎は、元妻で血液内科で働く聡美の自宅マンションを訪れていた。彼女の患者・綿貫愛が、溶血を治療するために脾臓を摘出した後に血栓症で亡くなったのだが、医療ミスではないのかと彼女の夫に訴えられたというのだ。副作用を十分に考慮して投薬などしなかった自分を責める聡美に対し、彼女の側に何か落ち度があったのではないか、それを記事にすれば元妻を救えるのではないかと考えた銀次郎は綿貫愛について調べ始めた。

     患者の義父が、嫁に関して書こうとしているライターに対してあまりにも協力的すぎないかとか、愛の人物像には少々疑問が残るが、物語の意外な展開には引き込まれた。伏線の回収、どんでん返しも見事。女が豹変する姿はなんて恐いのか。

  • パズルのピースが一つ一つ見つかっていく様が面白く、先が気になって一気に読んでしまったが、人間関係がドロドロしていて個人的には読後感があまり良くなかった。。どんでん返し部分は予想外だった。ただあまり好きじゃない展開。

  • 帯に書いてあった「大どんでん返しミステリー」の意味は分かった。
    そんな終盤で重要人物出て来るの?と感じたり、読んでる方が簡単に気付くことをそれまで軽快に謎を解いていた主人公が気付かなかったり、あと最後の締め方が粘着だったりで総合的に不満。。

    「大どんでん返し」のせいで無理をした気がする

  • 騙された。3.5

  • 今までの浦賀さんとは一味違うでした。医療ミステリ風な・・・

  • 医療ミステリーで,そこそこおもしろい。
    まぁ,おもしろい。

    どんでん返しの繰り返しを,
    おもしろいと感じられるか,くどいと受け取るか・・・。

    ストーリーに偶然の産物がふんだんに取り込まれていて,
    食傷気味な面も。

  • 医療ミステリ。謎の溶血から始まった不審な死は、はたして医療ミスなのか否か。専門的分野も分かりやすく読めました。
    医療の分野よりもむしろ、彼女の心情にまつわる謎の方が比重が大きくて、読まされました。徐々に明らかになる彼女の真実は、なんだか哀しくて。それでも元妻の嫌疑を晴らすために奔走する主人公はどんどん真相を暴いていき、決着するのかと思いきや。
    うわ、まさかそんな真相まで!? 最後まで気が抜けない一作です。

  • 後半のどんでん返しにビックリした!
    医学知識がなくてもサクサク読めて面白かった(^^)

  • 話を色々張り巡らせて頑張っているので、少し辻褄合わせに違和感がありますが、楽しんで最後まで読めました。

  • <あらすじ>
    ライターの銀次郎は、元妻で医者の聡美から依頼され
    聡美が医療ミスで訴えられた事件の真相を探ることになる。

    被害者は綿貫愛

    -------------------------------------------------------------------------------------
    発端は綿貫愛が健康診断の血液検査で、ビリルビンが異常値だったことだった。
    彼女は再検査をしに聡美のもとに訪れ検診を受けた。

    ビリルビンとはヘモグロビンが変化したもの(血の残骸)。
    古くなった赤血球は脾臓で分解され、赤血球の中にあったヘモグロビンは
    そこで黄色いビリルビンという物質に変わる。
    そしてビリルビンは肝臓で水に溶ける物質に変化され、便や尿で排出される。
    ※お酒の飲み過ぎとかで肝臓を悪くすると、体内のビリルビンが多くなり
    皮膚や白目が黄色くなる『黄疸』という症状になる

    しかし彼女は肝臓は一切悪くなく、赤血球の膜が何らかの理由で破れる
    『溶血』という症状が原因だった。

    溶血になる理由は診断の時点では判らず、改善策として脾臓を摘出することで
    赤血球の分解を鈍らせることになった。

    外科手術によって脾臓は摘出され手術は成功した。
    しかしその1ケ月後、彼女は副作用の血栓症により亡くなった。

    この外科手術が原因で死んだのでは?ということで訴えられた
    -------------------------------------------------------------------------------------

    銀次郎は聞き込み調査で、ゲーセンにいた綿貫愛の友人・新山ミカから
    綿貫愛は不倫しによく出かけてたという証言を得る。

    更に調査すると綿貫家は愛の他に妹の瞳がいた。
    父親には瞳、母親には愛、という共に連れ子の再婚だった。
    愛は学生時代グレていて、車で瞳を連れまわしていたとき交通事故を起こし
    そのせいで瞳は脾臓摘出の手術を受けていた。

    父親はアルツハイマーを研究する医者だったが、当の本人が若いときに
    アルツハイマーになってしまい、現在長期入院中。。。
    母親は愛の秘密を守る?ため首吊り自殺する。。。

    そして銀次郎は、ついに『溶血』の原因を突き止めた。
    彼女は海外通販でアルツハイマーに効く薬を購入し注射していて
    その副作用で溶血していたのだった。

    銀次郎は調査結果を雑誌で公表し、マスコミは大盛り上がり!
    そして、聡美の訴えは無事取り下げられた。


    でも綿貫愛はアルツハイマーではないのに何故?

    実は、彼女は不倫で出かけていたのではなく、入院中の父親のもとに訪れていた。
    瞳は小さい頃から、アルツハイマーが遺伝するのを防ぐために
    父からその注射を打たされていて
    愛は瞳を演じることで、父にその注射を自分に打たせ
    その行為を何度も繰り返すことで、父のリハビリ治療を行っていたのだ。


    そして綿貫家の父の元妻(瞳の実母)と、母の元夫(愛の実父)が登場し
    真実が明かされる。


    <オチ>
    愛の友人とされていた新山ミカが瞳だった。
    アルツハイマーのリハビリ治療のため、愛は瞳をゲーセンに連れてきていた。
    聡美は愛の義姉だった。

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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