けむたい後輩 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1870
感想 : 154
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344422889

作品紹介・あらすじ

タイトルに現れているけむたい後輩である真実子とあこがれの先輩である栞子との大学生活をお互いの視点で描いた作品です。自信家である栞子がなぜ苛立ちと共に後輩である真実子を意識するようになっていくのか、真実子は先輩栞子の我が儘な性格に翻弄されながらやがて自分の道を探り成長します。両極端な性格の二人の女子大生が織りなす物語の中で読者はどちらに共感することになるのでしょうか。

感想・レビュー・書評

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  • お嬢様大学が舞台の物語
    自分も女子大出身なので手に取ってみました


    いろんなタイプの女性たちが描かれていて
    誰かには共感できそうです


    ・真実子
    昔から病弱で世間知らずのお嬢様
    好きな人には一直線で周りが見えなくなる
    一貫して一途な姿は
    痛々しくもあり、羨ましくもある

    どんなことにも良さを見つけるのって
    素晴らしい才能だと思います


    ・栞子
    誰とも違う自分でいたいという気持ちは
    若い頃の自分を思い出した
    自分が何者でもないことに気づいていく様子は
    私も見ないようにしてきたことを
    改めて突きつけられるようで読んでいて辛い


    ・里美
    容姿端麗、成績優秀、面倒見のいい性格で
    誰からも羨ましがられる存在なのに
    男性経験はなく、
    女友達にコンプレックスを感じたりする

    なんでも持ってるはずなのに
    人間って不思議
    里美からみた真実子が好きです


    女子校っていう独特の空間と
    ちょっとした一言で変わっていく女性の気持ちが
    とても上手に描かれているなと思いました


    このままモヤモヤ終わったら
    どうしようかと思ったけど
    ラストはスカッとしてよかったです(^^)

  • 3.5ってところかな。好き嫌い別れると思う。
    ラストはすごくスカッとするけど、それまでがうずうず続き。

    結局のところ、人はみんな自分が好きだし、利己的。それを表に出すか、どれくらい出すか、そういう塩梅をコミュニティによって使い分ける。時と場所が変われば考え方も表情も変わる。
    女の子の説明書の具体例を読んでいるような感覚。あんまり好きになれるキャラはいなかったけど、真実子は天然かと思いつつ、めちゃめちゃ頭いいよな。なんだかんだ1番個性的で世渡り上手なタイプ。
    男の人が読むと「女って怖っ」と思うかもしれない。女からしてみれば「こういう子いるよね」という感覚。

  • 栞子と真実子、どちらに共感するかと聞かれたらわたしは真実子に共感してしまう。
    憧れの先輩栞子に振り回され、なにをするにも栞子中心で物事を考え行動する。空気を読めず、次第に栞子にも邪険に扱われていきます。

    わたしも人との距離がうまく取れなくて、「素敵な人だなぁ」と思うと、その人の好きな音楽や小説などすべてを知りたくて本人よりも詳しくなってしまうくらいだったので真実子のやってることにすごく共感して読んでました(笑)

    最後には栞子から卒業して、依存することなく一人で生きていけるようになり成長を感じられます。
    そんな真実子を見ていると私はまだまだ人に依存してるなぁなんて考えてしまいました。

  • 期待を裏切る(失礼)面白さで、一日で読んでしまった。
    『横浜にある名門お嬢さま大学に通う3人の挫折と葛藤を描いた話』と内容を簡潔に文章にすると、ちょっと違うなあと思う。


    北海道から出てきた真美子は幼い頃から病弱だったが(肺がひとつしかないらしい)、自分よりひとつ年上の栞子に憧れて横浜の女子大に入学した。豪華学生寮のルームメイトである美里は、真美子の親友であると同時に彼女の体調を気遣う保護者の役目もしている。
    さて、真美子が憧れている栞子なる人物は、14歳のときに『けむり』という本を出版した過去を持つ。真美子はその本が大好きで、盲目的に彼女を尊敬し、慕っている。

    自分には才能がある。
    人とは違う。
    女と群れるのは嫌いで、男といるほうが気が楽だ。
    自分の知らない世界をたくさん知っている栞子の言葉を、真美子は栄養にしてすくすく育つ。真美子にいろんなことを得意げに語る度に、栞子は気がついちゃうんだ。口から出る言葉はすべて正反対で、本当の自分は空っぽだったんだって。気がつくというより、見ないフリをしていた現実に目を向けざるを得なくなったという感じか。
    話はこの2人が中心なんだけど、美里は影の主役といってもいいだろう。美里のストイックさや強さが物語のいいスパイスになっている。夢に向かって頑張るひたむきな姿や、厳しい現実に打ちのめされそうになりながらも立ち上がる様が凛として美しい。そして何より冷静で且つやさしい。

    まったく違う立場、容姿、性格、才能を持つこの3人の三角関係はどのような結末を迎えるのか。

    わたしは、
    栞子を取り巻く下らない男たちに呆れながら、最終的には真美子に怯えた。
    栞子に対して苛々していた感情は、いつの間にか憐憫の情に変わっていた。

  • 14歳で詩集を出版し「自分は特別」という勘違いをした栞子に憧れる地方出身純粋培養の真実子。

    栞子は「普通じゃない」を気取っているけれどこれはたぶん思春期ならだれもが感じたことがある・演じたことがあるのではないだろうか。
    でも皮肉にも14歳で詩集出版できたのが(しかも実力ではない)栞子の人生を狂わせてしまったんだろうと思うとなんだかやるせない。栞子はピエロだと思った。

    どちらかというと普通じゃないのは真実子。
    才能にあふれていて、でも純粋培養の無垢な女子を演じていたのだろうなと思う。
    本当は栞子は真実子のような人生を歩みたかったんだろうなと思うと、やっぱりやるせない。

    最後の真実子の一言に「真実子」の名前が、もしダブルミーニングされているとしたらすごい。

  • 登場人物皆んな面白い。
    人間は弱いからこそ色んな手を使って強く見せようとするんだなー

  • なんだこれ?と思いながら読み進めると予想外に面白い。あの頃の大学生…横浜の丘の景色、ユーミンの喫茶店、女子アナ、ミスコン、パリの左岸、まだ新しい汐留の高層ビル。懐かしい。エピローグが気持ち良かった。

  • タイプの違う3人の女性の物語。表題の後輩にあたる真美子の成長譚が主軸なのかな。個人的には親友の美里の考え方が好きだけど、私はどちらかというと痛い先輩の方なのかしら。最後はちと抉られる。

  • 女って、ややこしい。
    男も妬み嫉みあるんだろうけど。

  • ストレスがたまると開いてしまう一冊。
    先輩にやられっぱなしでずーっとイライラもやもやするけど、最後は痛快。スッキリ。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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