銀河食堂の夜 (幻冬舎文庫)

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制作 :    
  • 幻冬舎
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344430389

作品紹介・あらすじ

ひとり静かに逝った老女は、愛した人を待ち続けた昭和の大スターだった(「初恋心中」)。
運に見放され、母親を手にかけてしまった息子の心に残る母の言葉(「無器用な男」)。
あの戦争で飛び立った青年が聴いた「最後の曲」に込められた想い(「ぴい」)。
……謎めいたマスターが旨い酒と肴を出す飲み屋を舞台に繰り広げられる、不思議で切ない物語。

感想・レビュー・書評

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  • よかった~

    大昔に さださんのコンサートに行ったことがあって、なんて話が上手で、それでいてなんて男らしい人なんだと思った。
    この本はそんな さださんが詰まっていた。
    とくに最後の「セロ弾きの豪酒」はよかった~。

    銀河食堂に集まる常連客。
    人それぞれの人生があり、連鎖して絡み合う。

    まさに よき人生 でした。

  • 葛飾にある小さな居酒屋、銀河食堂は本物のチェロが飾られ、謎めいたマスターが経営する。そこに集う常連たちが、順番にそれぞれの身近で起こったストーリーを語る形で、6つの話が共有される。

    個人的には、まじめに一生懸命生きているにも関わらず、不運続きの男がついに母親と心中しようとして、母を殺してしまう"不器用な男"は泣けた。

    そして、最後の"セロ弾きの豪酒"では、マスターの過去が明かされる。
    それぞれの話で描かれるのは、ままならない運命に翻弄されながらも懸命に生きる人たち。切ないながらも、人間って棄てたもんじゃないな、と思わせてくれるのは、さだまさしさんならではという感じ。

  • 〝葛飾区は京成四ツ木駅にほど近い四つ木銀座の中ほどに、小さな飲み屋があります。 “銀河鉄道”じゃなくて「銀河食堂」というスタンドバ-風の居酒屋です〟・・・旨い酒と肴を出す謎めいたマスタ-のいる「銀河食堂」を舞台に、ひいきの商店街の連中や生活安全課所属の警察官たちが、江戸前落語顔負けの掛け合いのなか、奇遇で切なすぎる話が繰り広げられる、六つの人情噺しは、 涙なくしては読みきれない<さだまさし>サン 絶好調の一席です。

  • 「さだまさしは天才である」と、誰かがユーチューブで唱えていたが、さもあらん。
    シンガーソングライターにして、映画監督、エッセイストに作家、そしてこの小説。
    落語のマクラのような軽妙な語り口の導入部から、たちまちその世界に取り込まれてしまう。
    葛飾区四ツ木の「銀河食堂」という名前の居酒屋が舞台。
    そこに集まる幼馴染たちの常連。彼らが語る様々な物語。
    著者の筆のもたらす冴えに、読者もまたその一員になって、話を聞いているかのよう。
    さらに、「お母さん」から次々と供される料理の数々。
    雪花菜にきんぴら、季節の野菜の天ぷら、完熟トマト、ポテトサラダ、イサキの塩焼き、鰻の蒲焼まで!
    お相伴に与りたく、生唾を飲み込みながらに読み続ける羽目に。
    いつまでも居続けていたい(読み続けていたい)居酒屋であるが・・・
    最終章で、謎めいたマスターの過去が明かされて、幕を閉じる。

  • ダンディなマスターのいるスタンドバー風居酒屋「銀河食堂」で繰り広げられる人情話

    以下、公式のあらすじ
    ---------------------
    大きな人生なんてない。
    ただ、小さな幸せがあるだけ――。


    謎めいたマスターが旨い酒を出す、四つ木銀座にある風変わりな飲み屋「銀河食堂」。そこで常連客が語るのは、ささやかな人生を懸命に生きた無器用な人たちの、不思議で切ない物語。感涙の連作長篇。

    ひとり静かに亡くなっていたお婆さんは、実は昭和の大スター・安斉美千代だった。愛した人を待ち続けた彼女に、死の1週間前に届いた手紙に書かれていたのは……。「ヲトメのヘロシ始末『初恋心中』」
    2000枚のSPレコードから探し当てた「兄が最後に聴いた曲」に込められていたのは、あの戦争で飛び立った青年と妹の、真っ青な空の下の切ない別れの物語。「むふふの和夫始末『ぴい』」
    ほか、「オヨヨのフトシ始末『七年目のガリバー』」「マジカのケンタロー始末『無器用な男』」「まさかのお恵始末『ちいさな幸せ』」「セロ弾きの豪酒」、全6篇。
    ---------------------

    ・ヲトメのヘロシ始末『初恋心中』
    ・オヨヨのフトシ始末『七年目のガリバー』
    ・マジカのケンタロー始末『不器用な男』
    ・まさかのお恵始末『小さな幸せ』
    ・むふふの一男始末『ぴい』
    ・『セロ弾きの豪酒』


    ・ヲトメのヘロシ始末『初恋心中』
    亡くなった独居老人の女優人生
    何というか、相手ならこうしているはずだという考えと、実際にそうだったというのが奇跡でもありロマンでもある


    ・オヨヨのフトシ始末『七年目のガリバー』
    さだまさしさんの楽曲「償い」の新解釈
    知人女性の実際のエピソードを元に作曲したらしいけど
    さださんがさらに物語に劇的な昇華している

    あの曲を聞くと心にズドンと重くくるものがある
    それと同じようにこの物語を読んで涙を浮かべてしまった

    今作はさらに当人と大姪の葛藤と選択、そして奥さんの心情の変化が描かれている

    世の中の様々な事件でも、「償う」とは何かを考えてしまうなぁ


    ・マジカのケンタロー始末『不器用な男』
    不幸続きの母子の無理心中

    世の中の悲しいニュースの一つとして、行き詰まった家族の無理心中がある
    または死を望む家族の嘱託殺人とか

    幸運にもなのか不運にもなのか生き残った方の立場とは……


    ・まさかのお恵始末『小さな幸せ』
    やっと結ばれた幼馴染みの二人の幸せな結末

    うーん、幸せなのか?
    まぁ当人同士が幸せならそれでいいんですけどね

    とりあえず、薬はダメ絶対


    ・むふふの一男始末『ぴい』
    兄が最後に聞いていた曲のレコード探し

    兄が出征時に流していたという曲
    特攻に行く前、そして敵性音楽として聞くことさえ憚られていた中での行動
    お兄さんの主張が込められていたのでしょうねぇ


    ・『セロ弾きの豪酒』
    マスターの来歴
    お店に飾っているチェロは本当に使ってたやつなんだろうなぁとは思ってたけどね
    親父が結構な碌でなしなんだけど、だからこその出会いもあって
    マスターの生き方も結構破天荒なんだなぁ


    コの字酒場と多彩な料理から、「深夜食堂」と似た雰囲気を感じる
    あっちも人情話ですしね

    料理で言えば、雪花菜が食べたくなったかな
    今度自分で作ってみようかな


    総じて、登場人物に悪人がいない
    不器用な人や、弱い人はいるけど
    だからこそ人は優しく哀しいものなのでしょうねぇ

    人はそう悪いものでもないと思わせる温かみを感じる

  • 語り口調の作品は語り手の個性が強く押し出されてしまうと講談を聞いているようでどうも自分の中にある想像や妄想その先にある感動を小さくしてしまう事があると感じます。落語のまくらから入るようなかんじで、同級生や幼馴染みが下町の居酒屋のカウンターで語り出すストーリーにいつしか引き込まれていきます。さだまさしさんの他の作品とは一味違うあたたかい気持ちになれる作品だと思います。

  • あぁ、、、そこで終わるのか〜っ(^^;)

  • 元が2018年刊行だからなあ、というのは置いといて。
    ずっと地元に住んで幼馴染みと飲み屋さんに集まれるのが羨ましい。そこでまた新しい人たちと知り合えるのが羨ましい。皆が語れるものを持っているのが羨ましい。
    酒が飲めなくて、人付き合いが苦手で、人見知りする奴が憧れるものがここに。

  • 章頭の小噺のような語り口調にはじめは抵抗があったが、そのリズムがだんだんと心地よい感じに。

    物語の舞台、銀河食堂は『深夜食堂』のそれと重なる。それぞれの人生が重なり合っていく感じが面白い。

  • 男性の描く女性像って感じの最初の短編、ああ〜〜〜って感じだけど好きだな

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著者プロフィール

一九五二年長崎市生まれ。シンガーソングライター。二〇〇一年、初小説『精霊流し』がベストセラーとなる。『精霊流し』をはじめ、『解夏』『眉山』アントキノイノチ』『風に立つライオン』はいずれも映画化され、ベストセラーとなる。その他の小説に『はかぼんさん―空蝉風土記』『かすていら』ラストレター』『銀河食堂の夜』など。

「2021年 『緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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