ありえないほどうるさいオルゴール店 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.58
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本棚登録 : 2449
感想 : 123
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344430624

作品紹介・あらすじ

「あなたの心に流れている音楽が聞こえるんです」――北の小さな町にあるその店では、風変わりな店主が、お客様のために世界にひとつだけのオルゴールを作ってくれる。耳の聞こえない少年。音楽の夢をあきらめたバンド少女。妻が倒れ、途方に暮れる老人……。彼らの心にはどんな曲が流れているのでしょう? 思わず涙がこぼれる、幸せ運ぶ7編。

感想・レビュー・書評

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  • 北の小さな町にある、静かな佇まいのオルゴール店は、お客様のために世界にひとつだけのオルゴールを作ってくれる。
    おっとりした口ぶりで華奢な体つきの店長は、人の心の中の音楽を聴きとれる、不思議な聴力を持っているらしい。
    舞台となる街は、運河で栄えた異国情緒漂う石造りの建物や倉庫が並ぶ観光地といえば、すぐにあの街が思い浮かびます。

    耳の不自由な子どもを持つ母や、恋人に愛想をつかされそうになっている青年や、同じ夢を持てなくなったバンド仲間、ピアノに挫折しそうになっている少女などがこの店を訪れます。
    やり場のない気持ちを和らげてくれるようなお話ばかりで、思わず優しい涙が溢れてきます。
    瀧羽さんの文章が心にじんときます。

    向かいの喫茶店で働く女の子と、オルゴール店の店長さんのその後もあるようです。
    何だか心が和みます。続編もぜひ読みたいです。

  • オルゴール好きの私は書名に惹かれて購入しました。
    でも、オルゴール好きの私は、読むのが勿体無くてしばらく積読にしていました。

    オルゴールの音色のように優しい物語でした。
    七つの作品が納められているのですが、最初の物語で涙が出てしまいました。心が温まるとても素敵なお話でした。

    私も私だけのオルゴールを作りたいな。
    曲は何にしようか。
    箱はどうしようか。寄木細工も良いけれど、円筒形のシリンダーが見える透明な物も良いかも。

    読み終わっても色々と想像して楽しめる作品でした。

  • 7つの物語。
    北の小さな町にあるオルゴール店。
    人の心に流れる音楽が聴こえる店主が
    世界にひとつだけのオルゴールを作ってくれる。
    その音楽を通して相手の気持ちを知る。
    まるで優しい音色が聴こえてくるよう。
    日常がかけがえのない日々に変わる作品だと思った。
    自分の中に流れている音楽はなんだろな♪

  • お客様の心に流れている音楽を聞いて、その人のためだけの、世界に一つだけのオルゴールを作ってくれる。
    7篇からなる短編集で、店を訪れるどのお客にも、悩みや気がかりや心配事がある。そして、その背中をそっと控え目に押してくれる、自分の心のなかに流れている音楽とここで再会するのだ。
    話のなかでは、曲を手にしたお客の未来は描かれていない(最後の話は別)
    彼ら彼女らがその後どうなったのか知りたいようなきもするけど、この曖昧な余韻がまたより物語を膨らませてくれる。
    ありきたりだけど、自分の心に流れている曲はなんなのか、ぜひ聞いてみたい。

  • 「耳利きの職人がお客にぴったりの音楽をお勧め」
    店主が選ぶ曲で、忘れていた記憶を思い出すだけでなく、自分が見過ごしていた大切な何かに気付かせてくれる不思議なオルゴール店の物語。

  • 音楽と記憶に関わる、7つの温かく優しい短編集。思い悩む主人公達ですが、店主の選ぶオルゴールの曲をきっかけに道がひらけていきます。

    ラストの”おさきに”という章は、目頭が熱くなりました。年月を経て増える思い出や愛情の強さに対して、老化で体や記憶が弱くなる事への不安。とても切なかったです。共に長い時間を過ごしてきた老夫婦の、心に流れている曲とシチュエーションが可愛らしく思わずにんまり。微笑ましくて素敵な物語でした。

    私も自分の心に流れる曲を聞いてみたい。
    オルゴールの音色が、久々に聴きたくなりました。

  • タイトルのイメージから、にぎやかなお話かと思ったら全然違った。
    むしろ静かで優しいお話♬

    連作短編集で、どの話も読後温かくなるようなお話だった。
    ただ読み終わった後、で?って感じの話もちらほらあって、余韻を残す感じがこの本の良さなのかもだけど、私はどうなったのか結果が知りたいタイプなので、ちょっとモヤ〜(^^;
    続編も出てるようなので読んでみるかな♡

    1番最初の話が好きでした!

  • 「ありえないほどうるさいオルゴール店」

    読了ツイートを読み、気になっていた一冊。
    タイトルと内容が「そう、きたか!!」の一冊となりました。

    【舞台】
    運河が映える港街の一角にたたずむオルゴール店。
    男性店主が営む店構えは、街に静かに溶け込み、何気なく立ち寄る時々のお客さまをおもてなしします。

    【オルゴール】
    音色はあるオルゴール。
    声色がないオルゴール。

    音色から声色を想像するもよし、
    音色の世界だけで楽しむもよしのオルゴール。

    一度は耳にしたことがあるあの音色。
    それが物語の中心です。

    【あなた、わたしのオルゴール】
    店主は、オルゴールを売ることが、仕事ではなく、
    お客様の想い出、心のなかの詩を奏でるオルゴールをお客様と一緒につくることです。

    店に立ち寄るお客様の心のなかの詩。

    それを文字の世界で聴くことで、あなた、わたしの心なかの大切な詩を思いだすかもしれません。

    忙しいとは心を亡くすと書きます。

    そんなときには、こちらの著書が処方箋になるかもしれません。

    • アールグレイさん
      こんにちは
      素敵な本をお読みになったようですね。
      私が先日読んだ、青山美智子さんの「鎌倉うずまき案内所」という本に似ているように思います。
      ...
      こんにちは
      素敵な本をお読みになったようですね。
      私が先日読んだ、青山美智子さんの「鎌倉うずまき案内所」という本に似ているように思います。
      あの本は★5でした。
      「忙しいとは心を亡くす」と書くんですね。
      (#^.^#)
      2021/10/23
    • 高岡  亮さん
      ゆうママさん
      こんにちは。メッセージ、ありがとうございます。

      ありえないほどうるさいオルゴール店

      どこかの街に本当にありそうなお店です。...
      ゆうママさん
      こんにちは。メッセージ、ありがとうございます。

      ありえないほどうるさいオルゴール店

      どこかの街に本当にありそうなお店です。
      訪れるお客様の物語、エピソードも、現実離れしていないため、没入しやすいです。

      ぜひ、秋の夜長の一冊に、、、。
      2021/10/24
  • 物語の後半になってタイトルの意味が分かりました。
    音楽を通して自分が知らない自分を知るきっかけをくれるオルゴール店の店主は身近にいてほしいと思いました。

    作中で音楽をきっかけに50年越しに明らかになる真実があったように、私も音楽で何年も前のことを思い出して感慨に浸りたい!と思ったので、これからは暮らしの中の音楽をより大切にしたいと思います。

    続編の『もどかしいほど静かなオルゴール店』を読むのが楽しみです。

  • 【収録作品】よりみち/はなうた/おそろい/ふるさと/バイエル/おむかい/おさきに
     
     北の小さな町にあるオルゴール店が舞台。
     その店では、風変わりな店主が、客の“心に流れる曲”を聞き取り、オルゴールに仕立ててくれる。できあがったオルゴールは、その人の心の奥底にある自分でも気づいていなかった思いを呼び起こす。
     オルゴールの音は触媒となり、聞いた人を動かす。その後については書かれていないが、動いた人はどのような結末をも受け入れられるのではないかという予感が残る。

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年、『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。
著書に『ふたり姉妹』(祥伝社文庫)のほか、『ありえないほどうるさいオルゴール店』『女神のサラダ』『もどかしいほど静かなオルゴール店』『博士の長靴』『ひこぼしをみあげて』など多数。

「2023年 『あなたのご希望の条件は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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