京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男 (幻冬舎文庫 は 22-6)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 149
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344432307

作品紹介・あらすじ

一九九六年、日本で一番本が売れた年、帝国ホテルで執筆中に山村美紗が亡くなった。二〇〇冊以上の本を出しベストセラー作家と持て囃された〝ミステリの女王〟。華やかな活躍の陰で「文学賞を獲りたい」という強烈な劣等感を抱いていたこと、公然の秘密と噂された作家との関係や夫の存在など、秘められた謎は多い。文壇のタブーに挑むノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 花房観音『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』幻冬舎文庫。

    かつて『ミステリの女王』と呼ばれたベストセラー作家の山村美紗の人生と秘められた謎に迫った珍しい花房観音のノンフィクション小説。

    口絵には山村美紗の夫である山村巍による山村美紗の肖像画が2点収録されている。

    最も本が売れた時代に女流作家のトップに君臨した山村美紗の華やかで謎に包まれた私生活と数々の逸話……

    なかなか興味深く、面白い。

    山村美紗と言うと西村京太郎との長年に亘る親密な交際が噂され、本当の夫が居たことなど全く知らなかった。山村美紗だけでなく西村京太郎作品を原作にしたテレビドラマによく出演した女優の山村紅葉は西村京太郎との間に産まれた娘だと思っていたが……

    200冊以上の作品を執筆し、作品の半数以上がテレビドラマの原作にもなった山村美紗が1996年に帝国ホテルで執筆中に亡くなった。

    山村巍と結婚し、作家を目指す山村美紗と松本清張との出会い、そして西村京太郎との長年に亘る関係が克明に描かれ、これまで余り表に登場しなかった夫の山村巍に焦点を当てて『ミステリの女王』の素顔に迫る。

    本体価格670円
    ★★★★★

  • この本読むまで山村美沙さんを知らなかった衝撃の事実w
    おかんに「山村美沙って知ってる?」って聞いたら「西村京太郎の奥さんやろ?」って返ってくるくらい世間が誤解している事実も衝撃だった。単にタイトルの『京都に~』って冠があったから地元民としては知らんのはあかんやろって手を出したのがきっかけでしたが、無冠の女王としてとんでもない作家さんだとようやく認識することができたのもこの本のおかげであり、花房さんには感謝しかありません。
    10代後半から40過ぎまで読書をしなかった期間が長く、また当時からTV嫌いでドラマや日本映画はみなかったのでドラマ化で有名になったとかいうのもまったく知らなかった。江戸川乱歩賞を取った作品や作者はなんだかんだで知っていたものの、無冠であったがゆえに、同世代作家さんの本は読んでいたが、山村美沙はノーマークという。改めてこの本を読むことで興味を持ち、何冊かは読んでみたいと思った。そして、西村京太郎さんの作品については何となく食わず嫌いで読んでいなかったが、これを機会にちょっと読んでみたいと思った。巻末にも書かれているが、この本の最も主人公は山村巍さんで、この人なくして女王は生まれてこなかっただろうと思った。多くの資料や人を頼り、タブーに立ち向かいこの本を書かれた花房さんに拍手喝采だ。
    一人の作家さんのノンフクションがこれほどにドラマチックに書かれているのは、十分な読み物として評価したい。

  • あの山村美沙氏でもいつ売れなくなるか、編集者から相手にされなくなるか不安で一体であったことに驚く。

  • あまりノンフィクションは読まないけれど、
    その部類の本の出版には、タブーがあり、とても困難されたんだなと。たくさん取材されて、でも今後も明かすことができないと書かれている箇所がある。そこには、誰かを傷つけることがないようにとか、色々な配慮があるのかもしれないと感じた。作者の真面目さ優しさにもふれた。
    あるひとつの時代の裏面が知れて興味深く、面白く読めました。

  • 図書館で。
    名前だけは知っているミステリー作家さんの伝記というか。ドラマもよく放映されていましたが、京都が舞台の作品を書かれていたんですね。西村京太郎氏の作品も、タイトルやお名前を聞くことは多いものの読んだことないなぁ。今度図書館で借りて読んでみようかな。

    作家の先生が各出版社の担当に無理言ったり銀座でブイブイ言わせていた頃、活躍されていた作家さんなんだろうな~と読んでいて思いました。ただ、自分はあまり作家の私生活は気にならない方なので、そんなにお茶の間をにぎわしていたんだ、とか、作家がタレントさんのように名前と顔が売れていた時代だったんだな、なんて改めて思いました。まぁ自分があまりテレビを見ないので、今もそういう方はいらっしゃるのかもしれませんが。
    と言う訳で、別にそんなもう亡くなられた方の男女関係なんて、個人的にはそれほど興味はないのですが、自分たちの側から発信するすべがない親族側が、自分たちから見たことを発信出来て、それで報われたというのならよかったんだろうな、なんて思いながら読みました。

  • 花房氏、西村氏、山村氏、何れの方々の本は一冊も読んだ事がないのは申し訳ないが。
    読書は趣味と言いつつ、とても自閉的な部分を持つ故、そうなのかと独り言ちもする。

    しかし、この作品、氏の性格も手伝ってか恐ろしいまでに生真面目で真摯な観察眼が光る。それと同時に、のめり込んでいく状況が持つ結果的な要素として 恍惚的。湿り気を帯びた葛藤も。
    作品のよしあしは世の中の流れにさらされて100年くらいたった さざれ石のみたいな感じを持っている。
    山村氏の作品がよくないとは言わないが、後世に残るとは解らないもの。

    読みつつ「余りのまじめさ」に打ちのめされる感がひたひたと押し寄せ、困憊しての読書だった。
    2人の男~夫の巍氏と西村氏が現世から去ったのはいみじくも同じ年・・ご苦労様というか御疲れ様というか、こんな人生もあったんだねぇ~とおもえたのが一番のストーリーでした。

  • 山村美紗さんの本を読んだことはないのですが、テレビドラマの原作になっているのは知っていたし観たこともありました。この本を読んで何か読んでみようかなという気持ちになりました。山村美紗さんにとって不利な評判などもきちんと書かれていて、そこが興味深い部分でもあります。

  • 著者の思いが良く伝わってくる
    解説が最高

  • <目次>
    序章
    第1章  京都の作家
    第2章  出生、結婚
    第3章  江戸川乱歩賞
    第4章  デビュー、ベストセラー作家へ
    第5章  京都組
    第6章  戦死、ふたりの男
    第7章  京都に女王と呼ばれた作家がいた
    あとがき

    <内容>
    山村美紗。たしかに今は本屋の店頭に彼女の本は並ばず、忘れられているのかもしれない。しかし1990年代前半、彼女の書く本は次から次へと売れたらしい(自分はほとんど読まなかった)。その「京都の女王」の伝記。西村京太郎ととても仲が良かったことも知っていたが、その辺りはややあいまいな描写なのは、本当にプラトニック以上なかったのかが、よくわからない。ただ、ベストセラー作家は、命をすり減らす職業なのだとよくわかった。

  • TVドラマなどで引っ張りだこだった山村美紗。献身的に支えた夫がすごい。

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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