- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344824850
作品紹介・あらすじ
恋愛に関しては、来る者は拒まず去る者は追わずが信条の大学生・椎名吉見。酔って先輩と賭けをし、高嶺の花といわれる院生の橘真尋を落とすと宣言してしまう。橘はかつて天才子役と謳われた元芸能人。華やかな経歴から引退後の今も百戦錬磨の手練と噂される美人だった。持ち前の軽さで屈託なくデートに誘う椎名に、意外にも橘は素直に応じて?
感想・レビュー・書評
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チャラい大学生が賭けで高嶺の花の年上美人を落として気づいたら本気になってた、王道ストーリー。
こういうのは、かなりツボ。
王道だけどそこはさすがかわいセンセです。二人の心情が丁寧に描かれていて、引き込まれました。
吉見は自分がモテることを当然と思っていて、賭けとはいえ同性で元有名子役で一筋縄ではいかないような真尋相手にも果敢に迫っていくのですが、それ程嫌味に思えなかったのは、自然な形で相手にやさしくできて気持ちよくいられるようにする能力に長けていたからではないかと。あくどい攻じゃなかったのがよかったです。チャラ男をぎゃふんとさせる話は好物ですが、吉見は私的に好感度高くてちょっとかわいそうだったかも。
真尋との恋愛に入るきっかけは最低だったけど…!
一方の真尋は芸能生活のキャリアから周りから経験豊富に思われていて、吉見にもそう見られていると感じると、幻滅されたくなくて演じてしまう健気な性格。初めての恋愛に、吉見に見えないところで戸惑ったり悩んだりしている姿が、とてもかわいかったです。
二人のデートの様子が楽しそうでよかったんだけど、それは後に来る嵐のマエフリとでも言えばいいのでしょうか、幸せがあったからこその切なさが悲痛でした。
でも、軽い人生送ってきた吉見も、演じてばかりだった真尋もそんな苦い思いをして生々しい恋愛を経験して、お子ちゃまから一転して大人びた感じになっていって、二人の魂の成長がほんとにいいなと思えるストーリーでした。
サイモン&ガーファンクルのスカボロー・フェアは、名画「卒業」の曲ですね…大好きです。思わず口ずさんでしまいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
しっとりせつなくていいおはなしでした。
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超人気子役だった真尋さんと、バイト的に雑誌モデルをしている椎名くんの物語。すぐに惹かれ合うけど、お互い本当の自分じゃないから亀裂が起きてしまう・・・。
かわい先生のお話はいくつか読んだのですが、制服や組織ものばっかりだったので、そうじゃない学生ものっていうのが、新鮮で新鮮で。でも文章は、いつもの先生らしい丁寧さや穏やかさがあって。新鮮だけど安心する、みたいな読書体験でした。
内容も、全体にしっとりしていてとても良かったです。お互いの気持ちの揺れや、相手に言えない本音もうまく読み手に伝わってきて、華やかな芸能人2人を描いているのに、外見的なところよりも、内面的な部分に目がいくようにしてある作りが良いなと思いました。
とにかく、子供と大人の間にいる、強くて弱い、優しくて残酷、みたいな2人を先生の文章で読めて嬉しかったです。かわい先生ファンの方はもちろん、大学生もの、芸能もの、健気な受けが好きな方など、たくさんの方に読んでほしい作品です。
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趣味の悪い「賭け」から始まった恋。自業自得の部分は大きいけれど、真尋のことを本気で好きになってからは椎名も本当に辛かっただろうな。と思う。軽い印象の強い椎名も、クールな印象の強い真尋もその印象がどんどん変わってきて楽しい。2人にとってお互いが「新しい世界」だったのかも。と思った。
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チャラ男が土下座する話。
面白かったけどこの程度で許してあげてはいけません。てことで星が厳し目。
真尋が元名子役で、作られた役やマスコミの情報からのイメージとちらっと見える素の真尋に椎名が魅かれていくところは面白い。