- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344830615
作品紹介・あらすじ
ある夜、新聞社勤めの冬梧が証明写真を撮っていたボックスに見知らぬ青年が闖入、身も世もなく泣き出してしまう。お詫びをと連絡してきた製薬会社勤務の望と交流を重ね、冬梧はデートめいて心地いい時間に戸惑う。やがて懇願される形で体をつなげ、すでに惹かれていたのだと観念した冬梧だが、望はその日から「もう会えない」人になっていた-。
感想・レビュー・書評
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「もう会えないんだ。何度日が昇ろうと、何度日が暮れようと、あの人には会えない。声を聞くことも、笑った顔を見ることもない。」
新聞社シリーズ第4段。
静と西口がちょろり。
攻め視点。
惹かれあってくところが、本当に綺麗な描写。
(再読)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ネタバレとか読まないでまっしろな状態でまっすぐ読んで欲しい、と思いました。短編の最後の一行が美しい。
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2021/02/27-03/03
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有村さんの抱えていた秘密が発覚したときは驚いたし、ハラハラした。
記者という職業について考えさせられるおはなしです。
ラストの美帆ちゃんについて落ち込む有村さんが可愛かった(笑) -
恋愛というよりは、マスコミの功罪について考えさせられる話でした。物語の核となる背景は興味深かったけど、その反面恋愛要素はあっさり。そちらにページをとられたのか17年を経ての再会、恋愛の成就までのエピソードはいささか駆け足気味。偽装結婚の上に成り立つ家族との絆は一穂さんの好きシチュなのかな?同シリーズにすでにあるので、これはなくても良かったかも。
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なんというか本当にしみじみとするお話でした。
一穂さんの他の本、他の新聞社シリーズに比べて本の厚さが薄い…?と思い割とさら~っと読み終わっちゃうのかな?と思っていたのですが、その考えを裏切る、読み応えのある本でした。
このページ数に、主人公の二人、有村望と和久井冬梧の長い長い年月の物語が描かれています。
話は過去、有村と和久井の出会いから始まり、二人の別れ、そして十七年後の再会…までが書かれています。
二人の出会いは、証明写真のボックスという何故ここ!という場所なのですが、その出会いが最後にとても大切な意味を持ちます。最初は想像できなかったのですが、全て読み終えた後に、この出会いのシーンをもう一度読むと、とても素敵で切なくてドラマチックだな…と思いました。
その他にも、やっぱり一穂さんは物語の中の時間の進み方の描写や、二人の関係や感情を、ストレートではなく、彼らの生活の中にあるものや場所で描写するのが上手だなと。
それは私達の身近にもあるものや問題で(時にはなるほどと思うこともあるけど)すごく説得力があって、よりこっちが感情移入してしまう気がします。テーマやモチーフの選択が絶妙と言うか、素敵すぎます。
そしてこれを読むと、今回サブキャラとして出てきていた良時や西口の話を読み返したくなりました。
もちろん、これ一冊だけでお話は分かるのですが、私は是非一穂さんの新聞社シリーズは全部読んで欲しいなと思います。