scaramoucheさんの感想
2018年3月10日
異性愛者、同性愛者の枠組みだけではなく、無性愛者もまた物語に包み込まれていく。誰かを愛したい渇望や誰からも愛されない絶望、もしくは自分には、誰をも愛することができないのではないかという悲しみさえ抱えて、ひとは黙ったり寄り添ったりする、流行り廃りの中で恋愛が過去の遺物となった世界でも。 今巻も、終話の閉じ方が鳥肌が立つほどに完璧。すでに傑作ではあるのだけれど、物語が最後に行き着くところまで見てみたい。
売野機子(うりの・きこ)漫画家。東京都出身。 2009年「楽園 Le Paradis」(白泉社)にて、『薔薇だって書けるよ』『日曜日に自殺』の2作品で同時掲載デビュー。 『薔薇だって書けるよ―売野機子作品集』(白泉社)、『ロンリープラネット』(講談社)、『MAMA』全6巻(新潮社)、『かんぺきな街』(新書館)、『売野機子のハート・ビート』(祥伝社)、『ルポルタージュ』(幻冬舎)ほか、著書多数。 「2019年 『ルポルタージュ‐追悼記事‐(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」