日本の難点 (幻冬舎新書 み 3-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 2000
感想 : 189
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981218

感想・レビュー・書評

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  •  日頃テレビを全く見ず、ラジオばかりを聞いている。その中で宮台氏の発言もしばしば聞いている。
     結論から言えば、宮台節が全開すぎる。文脈が整理されているとは言い難いし、また説明が十分とも思えず、何が言いたいのか具体的に核心に迫ってこない印象だった。まあ、後書きにも、その印象もさもありなん、と思う記述があるので、そんなもんかなぁと思った。氏の日頃の言動などからすれば、こんな事も分からないのか、と言われそうだが。
     
     

  • 現代日本が抱えている問題を的確に捉え、正面からまたは斜めから指摘を加えている著。(sh)

  • 宮台氏は2000年代に入りリアリズムになった。
    90年代の自分探しの末、氏にシンクロして自殺してしまった若者の事件を機に変わった。
    氏が生きる意味を考える事をやめたことで、自分も前に進む事ができたので感謝している。

  • 面白いところもあった。教育論のところなどは共感もできた。
    2009年に書かれたこともあり、
    今ではかなり懐かしく感じる部分も。

  • この本を読んで、やっぱり社会と宗教は違うなあと思うんだけど、どこにその本質的な違いがあるのかもやもや。

  • (「BOOK」データベースより)
    現代とは「社会の底が抜けた時代」である。相対主義の時代が終わり、すべての境界線があやふやで恣意的な時代となっている。そのデタラメさを自覚した上で、なぜ社会と現実へコミットメント(深い関わり)していかなければならないのか。本書は、最先端の人文知の成果を総動員して、生きていくのに必要な「評価の物差し」を指し示すべく、「現状→背景→処方箋」の3段ステップで完全解説した「宮台版・日本の論点」である。

  • 【MM255 mylibrary 2009/6/24】

     みなさん、こんにちは。
     本日ご紹介の1冊はこちらです。



                       宮台真司著『日本の難点』(幻冬舎新書、2009年)



     著者は、社会学者、評論家、首都大学東京教授。私はこの本の存在を知るまで、宮台氏の名前は知りませんでした。この本が話題に
    なってはじめてその名を知ることになりました。
     さて、この本、非常にシンプルなタイトルですが、一体何について書かれているのか?著書の後ろには、このように書かれています。



       現代とは、「社会の底が抜けた時代」である。相対主義の時代が終わり、すべての境界線があやふやで恣意的な時代となって
      いる。そのデタラメさを自覚した上で、なぜ社会と現実へコミットメント(深い関わり)していかなければならないのか。本書
      は、最先端の人文知の成果を総動員して、生きていくのに必要な「評価の物差し」を指し示すべく、「現状→背景→処方箋」の
      3段ステップで完全解説した「宮台版・日本の論点」である。



     これはなかなかいい本かもしれないと思い、早速購入し読み始めたところ、新書であるにも関わらず、全く読み進んでいくことができ
    ませんでした。難解な言葉の使い方、定義の難しさ、これが社会学の難しさなのかもしれませんが、少し読んでは前に戻りの繰り返し、
    ようやく読み進めることができました。

     また、随所に見られる著者の大胆な発言には、こういう教授もありなんだなと思ってしまいました。



    「僕の持論を言えば、『軽武装・対米依存』から『重武装・対米中立』へとシフトすべきです。」
    「アジア諸国を感情的に包摂し、憲法改正による重武装化を成し遂げ、米国への負い目から自由になって、軍事・資源・食糧・技術・文
    化の包括的な安全保障戦略を、日本が自立して考えられるようになること。それなくして、実は社会的包摂の回復や<生活世界>の回復
    はあり得ません。」
    「記者クラブ制度や従来の電波法の運用に典型を見るような、従来のマスメディアの既得権益も、遠くない将来どんどん引き剥がされる
    でしょう。(中略)そういう日が来るのが僕は楽しみでなりません。」
    「国際的にも大恥を晒した売国総理・麻生太郎の、演説の下手さ以前のデタラメさや、大真面目な国会質問でもニヤニヤ笑いの返答ぶり
    に象徴される、日本の政治家のレベルの低さは、何なのでしょうか。」



     そういった本の難解さと宮台氏本人のキャラクター、それに反するかのようなこの作品の目的やテーマ設定とのギャップがあり、この
    本に対する評価は真っ二つのような気がします。

     個人的には、やや気になる点もあるものの、多岐にわたる難題に対する鋭い指摘は、参考になる点も多いと思います。こういった書籍
    も定期的に読むことも必要なことではないでしょうか。



    「日本には空間的な『近さ』が大きな意味を持つ文化があります。」
    「人口学的流動化に加えて、情報通信技術(IT)によっても流動性の上昇が促されます。(中略)人間関係に関していつでも代替可能
    性を考えられるようになりました。」
    「人間関係のフラット化は、単なる心理的傾向の変化ではありません。環境の変化(流動性の増大)に対する合理的適応の結果として、
    コミットメントが脱落するのです。」
    「日本の<生活世界>の、相互扶助で調達されていた便益が、流通業という<システム>にすっかり置き換えられてしまうことも、予想
    できた(中略)その結果、何が起こるのでしょうか。答えは簡単。社会が包摂性を失うのです。」
    「国家(行政)は『個人の自立』を支援するのではなく、『社会の自立』を支援するべきなのです。」

    「『いじめ』とは、人の『自由』な日常的活動のベースになっている『尊厳』(他者の承認を契機とする自己価値)を、回復不能なまで
    に傷つけることで、以前と同じ生活を送れないようにしてしまうことです。『尊厳』を破壊することで『自由』を奪う営みこそが、『い
    じめ』の正確な定義です。
     このように定義され直した『いじめ』であれば、完全になくすことは現実的に無理でも、相当程度なくすことができるはずです。言い
    換えれば、“『いじめ』はなくならない”ではなく、“『いじめ』は殆どなくすことができる”という物言いのリアリティこそが、真実
    を言い当てています。」
    「インターネットの最大の問題は、『匿名サイトで事件に巻き込まれる可能性』よりも『オフラインとオンラインとにコミュニケーショ
    ンが二重化することによる疑心暗鬼』とそれがもたらす日常的コミュニケーションの変質なのだ」

    「地域社会の包摂性と家族関係の包摂性が、こうした場所(註:工業団地)では顕著に低下しているのです。分かりやすく言えば『金の
    切れ目が縁の切れ目』であるような人間関係ばかり拡がっているのです。」
    「昔の関係性を取り戻せず、取り戻しても役立たないのであれば、同様の『社会的包摂』機能を果たしつつ、かつての『社会的排除』機
    能の副作用が少ない、新たな相互扶助の関係性(新しい市民社会性)を、構築し、維持するしかありません。」



     
     最終章では、後期高齢者医療制度、裁判員制度、環境問題、内定取り消し問題、秋葉原殺傷事件、日本の農業自給率の問題、まさしく
    日本に突きつけられている問題点に対し、著者独自の目線での解説を加えています。このあたりも参考になるのではないでしょうか。





    1人で「日本の論点」をやってみました。
    これは救国の書です!

    はじめに
    第1章 人間関係はどうなるのか-コミュニケーション論・メディア論
    第2章 教育をどうするのか-若者論・教育論
    第3章 「幸福」とは、どういうことなのか-幸福論
    第4章 アメリカはどうなっているのか-米国論
    第5章 日本をどうするのか-日本論
    あとがき

    http://tinyurl.com/my9vvc


    【MM279 mylibrary マイライブラリ・アウォード!2009 2010/1/27】


    【第5位】『日本の難点』(宮台真司著、幻冬舎新書、2009年)
         http://tinyurl.com/my9vvc
         【MM255】マイライブラリで紹介。

     (コメント)社会学者・首都大学東京教授である著者の視点から見た、日本が直面するあらゆる難題を独自の視点から解説を加えています。以前にも紹介したとおり、難解な言葉の使い方や著者の個性から、好みは分かれるかもしれませんが、課題を整理するためにも、参考にしたい作品です。

  • 宮台真司と柄谷行人は論壇人の中でも飛びぬけていると思う。視点が広いというか、論拠に経験値が多く含まれているというか、志が高いというか。

  • 2011/12/01:読了
     良い本だった。

  • 社会学者宮台慎司が、日本が抱える様々な問題を包括的に論じた本。
    1人間関係 2教育 3幸福 4米国 5日本

    五章に分けてものすごく色々なことを論じている。

    0、はじめに

    「社会の底が抜けた」

    1、コミュニケーション・メディア論

    「人間関係の流動性の上昇、すなわち関係を重ねることで蓄積される入れ替え不可能性が否定されている。」

    これは実感できる。SNSなど希薄化するコミュニケーションを想像したい。今日たまたま会った人とFacebookで友達になる。10年以上の付き合いの親友も同じ「友達」として並ぶ。そこに序列はない。
    facebookも友達の親しさを決められるようにしているが、それは単に写真の共有などのプライバシーの問題。関係の蓄積は考慮されない。

    2、若者論・教育論

    「コミュニケーションの二重化」
    オフラインとオンラインの二重化。どう対応するか?
    むしろこれからは境界がなくなるのでは

    「クレーマーの言い分を聞くことと、それを真に受けることは別問題」
    その通りだが、危害を及ぼされそうになった時はどうしようか

    力つきました…

    11月1日に読書会で使用

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著者プロフィール

宮台真司:1959年宮城県生まれ。社会学者、映画評論家。東京都立大学教授。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。著書に『まちづくりの哲学』(共著、2016年、ミネルヴァ書房)、『制服少女たちの選択』(1994年、講談社)、『終わりなき日常を生きろ』(1996年、筑摩書房)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(2014年、幻冬舎)など。インターネット放送局ビデオニュース・ドットコムでは、神保哲生とともに「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務めている。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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