コミュニケーションは、要らない (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
3.75
  • (53)
  • (79)
  • (59)
  • (16)
  • (5)
本棚登録 : 811
感想 : 98
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982550

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんつー本だ。
    ここ数年自分の中にあったもやもやがぱっと開けた感じでした。

    ただ知識を入れるだけじゃダメだ。
    たくさん知っていることは最適じゃない。
    それを利用することが重要だ。
    それを利用して考えることが重要なんだ。

    考えて判断する。

    自分にとって重要な人が言ったから判断するんじゃなくて。
    どっかの偉い人が言ったから判断するんじゃなくて。
    自分で考えて判断する。
    そのための知識。

    はあ。
    もう押井先生。
    なんでもっと早く僕にこの考えをくれなかったんですか。
    てかなんで前々から気になってたのにこれ読まなかったんだ!

    でも読んでよかった。
    これはいい本。

    この本とは直接関係ないけど、攻殻機動隊めっちゃ観たくなった。

  • 映画同様、読者に考えさせる構成で問題提起を繰り返します。
    人を思考停止に陥れるという観点で、情緒が、空気を読むという美徳が危ういものであることは今一度認識すべきと感じます。
    漢語教育の縮小、言文一致による論理的思考力の低下に関する考察のくだりには、水村美苗氏の「日本語が滅びるとき」の言論にもつながっており大変興味深いです。読まれてこそ、伝わってこそコミュニケーションであることもまた意識しなければなりません。
    大多数にとっての社会性をマスメディアと個人の中間地点にあるものと確認したうえで、氏はインターネットをあくまで世界に向けた窓口を限定することに成功したツールと切り捨てます。こうやって投稿しているレビューもまたコミュニケーションとは呼べません。
    ひとまず信じないことによって自分で考える。最後まで読んだあとにタイトルを見直してはっとさせられました。

  • 個人的には好きな文脈で、内容はすんなりと頭に入ってきました。とはいえ、(余計な)コミュニケーションは要らないというお話なので、タイトルから入るとコケるやも。押井節という点も慣れない方にとっては注意が必要かもしれません。

  • ツイートして空気を読んで生きている「つもり」になっている、現代の大半の人達に対して警鐘を鳴らす本書。
    空気なんか読むな。
    自分の頭で考えろ。
    自分の言葉で語れ。
    賑やかしのコミュニケーションなんかに意味はない。
    そう強く主張する本書は現代社会へのカンフル剤である。

  • 言語と思考、行動の密接なつながりを痛感させられる一冊。

    個人的には押井守と言えばパトレイバーに始まり攻殻機動隊、スカイクロラという映像作品を連想するのだけど、今回は初めて著書、文章になっている押井守の作品を読んだことになるのかな。

    読んでみて、まあ極端な意見をお持ちの方だなーって感じだけれども、現代の日本人が何がしかの「言葉を持っていない」と書いていたことには腹にすとんと落ちてくるものがあった。
    私たちの思考が言葉で考える以上、使用している言葉との密接な関わりあいが、例えばその使用している言葉が曖昧であれば行動にも曖昧さが出てくるように、言葉が意思伝達で使われる記号以上の存在であることを気づかされた。

    まあ、これは個人的に印象に残った箇所なので、全体的には映画を中心に色々な論点について書かれていますよ。
    あー、にしてもこれ読むとスカイクロラまた観たくなってきたー!

  • 正直、読み始めたときは上から目線な書きっぷりに「んっ!?」と思ったが、物事の本質を見極めよ、という姿勢についてはその通りだと思う。

    また、論理的な文章を書く言語能力が失われつつあるという点について、過去との比較はわからないが、私自身も難しさを感じることがある。そして、言語能力の低下=論理的思考能力の低下であろうとも感じている。ツイッターなどネット上の文章がすべての諸悪の根元とは言わないが、論理的な文章を書く訓練は、必要なんだろうなぁ(自分含め)。

  • 「死生観」これに尽きるのだと思います。

  • ツイッターとかコミュニケーションツールじゃねぇし!ツイッターなんかで会話すんなし!


    たしかにツイッターはその名の通りつぶやきであって、その発言の責任は軽いよね。
    ツイッターで発言するなら微小なりとも影響力があるわけだから、その責任は感じなくてはいけない。という考えを持っている人はいて、その考えは正しいとは思う。けど、やはり140字の主張をつなげても表面的な訴えにしかならないです。

    受け手が問題を考えるための導入になるならいいけど、すっきり主張をまとめる技術だけ先行して向上しているから、受け手はツイートを見ただけで納得・理解したと思ってしまう。

    人は低きに流れるものと言うけれど、情報もお手軽に分かりやすいものを要求する性質がある。
    簡単に説明ができること=想定が浅いこと
    という思考回路がないのは危ないよね。口車でだまされちゃうってことだし。

    ところで、この間自民党の総裁選の時に、教え子は石破さんがイイと言っていた。理由は「言ってることが分かりやすいから」だそうな。
    まだ公民も習っていないような中学生でもわかるような説明ってのは素晴しいんだろうけど、政治ってそんな簡単な物であったっけ?
    テレビくらいでしか情報を集めていない庶民が政治に影響を与えてるってスゴイ怖いんですけど。
    簡潔な論理で理解しやすい=信用できる。という安易なつなげ方はしてほしくないなぁ。もっと広い視野で判断・配慮ができる人が活躍してほしいよね。
    こういう状況って、日本人がコミュニケーション能力低いってことを露呈しているんだろうなって思う。人の話の聞き方が稚拙だ。

    __
    コミュニケーション能力を「話す力」と日本人は理解している節があると思うんだけど、私は「聞く力」の方に重点があると思う。(理解力でもいい。)

    コミュニケーションとは言語活動を通して相互理解を図ることですよね。自分の主張を相手に認めてもらいたいんですよ。
    そのために必要なのは、相手の気持ちを理解した自己主張だと思うんですよ。相手の思いに沿って、自分の論理を展開して行く。相手も納得する形で最終的に話を終わらせるのがよいコミュニケーションのはずだから、相手の考えをよりよく理解する力って何より大事だと思う。

    「自分の主張をはっきりすることが大事」ってイメージがあるけど、それって意見衝突を助長しているだけじゃないかな。
    意見衝突しても負けない頑固さを身につけるのがコミュニケーション能力向上ではないでしょう。

    もし相手と意見を違えたなら、相手の意見をよりよく理解して、その論理的矛盾点を指摘して、自分の主張の正当性を示す。それが高いコミュニケーション能力じゃないかな。

    もし自分の論理に非があったなら、素直に訂正して、よりよいものを作ることに専心する。
    こういった高い受容の力こそ、コミュニケーションには必要なんだと思う。

    今の原発論争にしても、自己主張強い人多いけど、受容力が高い人が目立たないよね。たぶん前者のせいで後者が埋もれてしまって見えるからなんだろうけど。

    __
    コミュニケーションは聞く力(理解力)が大事と書いたけど、相手と共感できることが大事ということを言いたいのではない。
    コミュニケーション能力は初対面の人に、いかにバリアフリーで話を盛り上げられるかという合コンの能力ではない。(でもそれはそれでスゴイ大事だと日々感じてはいる)

    別に相手に共感しなくてもいい。ただ、相手の話を冷静に聞いて、客観的に判断できるようになるべきだということ。
    だから、聞く態度の根底にあるのは共感ではなくむしろ、疑念。この人の言い分は正しいのかシビアに評価しながら聞くべきなのだ。

    だから押井さんは信じないことが大事だと言ったのだろう。

  •  タイトルに反し、コミュニケーションの在り方を論じています。著者の思いをエッセイ風に散りばめた内容は、あんまりまとまりがないけれど、どのページにも怒気と毒気が充満しております。
     思考を停止して目の前の事象に情動的に動く日本人の習性に反発、あえて原発推進を唱えてみたりとか、言ってる内容に共感はできないが、天の邪鬼に突っかかる著者の姿勢には共感を覚えます。

  • まずはコミュニケーションをとる前に、土台となる共通認識が必要。

全98件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

映画監督、作家。1951年、東京都大田区生まれ。
竜の子プロダクション、スタジオぴえろを経てフリーに。主な監督作品に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84)『天使のたまご』(85)『機動警察パトレイバー the Movie』(89)『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93)『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)。『イノセンス』(04)がカンヌ国際映画祭、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(08)がヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品。実写映画も多数監督し、著書多数。2016年、ウィンザー・マッケイ賞を受賞。

「2024年 『鈴木敏夫×押井守 対談集 されどわれらが日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

押井守の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
佐藤 優
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×