堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書 690)
- 幻冬舎 (2023年5月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344986923
作品紹介・あらすじ
「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは? 滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。
感想・レビュー・書評
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アメリカにいったい何が起きているのだろうか。
序章にある堤氏のことばは強烈でそしてざらざらとした、違和感の残るものでした。
・子どもの頃から憧れていた自由の国が、あっという間に全体主義国家のようになっていく。
・大好きだった恋人の、しらなかった邪悪な顔を知ってしまったようで、毎日がショックの連続でした。
・ショック・ドクトリンとは、国や国民の大事な資産を合法的に略奪し、技術をお友達企業群が大儲けする手法です。
・強いショックで思考停止させ、いったん思想を白紙にしたところで、理想的な人格に作り替えるというこの手法、もし、これを個人じゃなく国家をターゲットに実行したらどうだろう。ショックの与えるのは個人でなく国家全体、そして破壊した後に、理想の経済システムと入れ替えるのだ。
なにが正義と自由だ。聖書を抱えながら、世界を植民地化していくような彼らに共感し、尊敬するとことなどなくなった。
本書は、今、昔よりずっとスピードが速くなったこの世界で、何が起こっているのかを多角的につかみ、全体像を見るスキルを身につけるヒントを差し出すための本です。
気になったことは以下です。
・真実とはいつの世も、努力なしには手に入らない貴重品なのです。ならば、と私は自分自身に言いました。「自分の手で探しに行こう」
・ショック・ドクトリンの5大ステップはこうです。
①ショックを起こす
②政府とマスコミが恐怖をあおる
③国民がパニックで思考停止する
④シカゴ学派の息のかかった政府が、過激な新自由主義政策を導入する
⑤多国籍企業と外資の投資家たちが、国と国民の資産を略奪する
・お金の流れで世界を見ると、米中は本当は仲がいい
・「え、米中って仲間なの?」と意外に思うでしょう。表向きに、いかにも対立しているように見えるのは、そのほうが都合がよいからです。
・「ウォール街の狼たちは、中国共産党の古くからの友人だ」
・自分の身体の声を聞き、あふれる情報とテクノロジーによって鈍ってしまった五感を再起動させて本来の力を取り戻してください。
・自分の頭で考えて判断する国民は、そう簡単にだますことはできません。
<マイナンバー>
・マイナンバーキャンペーンに投下された資金は、1兆8000億円。これは、すべての国立大学を無償化できる金額なのです。
・マイナ保険証を使うには、4ケタの暗証番号が必要です。それは認知症患者や寝たきり患者などはこまってしまいます。
・海外では問題だらけ、アメリカ政府が「カードは持ち歩くな」と警告。ズバリ、なりすまし被害が多すぎるのです。
・防衛省、外務省、警察庁、内閣官房、公安調査庁の5庁は、すぐに反対文書を作成し、政府に直訴し、マイナ身分証は導入しませんでした。
・公安トップが即座に警戒した、マイナポータルから情報が一括で盗まれ悪用されるリスクは私たち民間人にとっても同じなのではないでしょうか。
・ショック・ドクトリンを読み解くポイントの一つは、「歴史を見る」です。
・マイナンバーがないと、「行政が追加できないこと」は2つです。
①全国民の金融資産をリアルタイムで完全把握すること
②国民の思想と行動を把握すること
・本来、マイナンバーの利用範囲は、①税金、②社会保障、③災害対策の3分野です。
・いまは個人情報として保護されていても、政府が「公益として必要な情報です」と判断すれば、そんなルールは外されてしまいます。
・制度は「性悪説」で設計せよ。
<コロナショック>
・テレビは新聞、政府の言う台詞の中に「緊急事態」という言葉がやたら目につくようになったら注意してください。
・世界中の製薬メーカーによって、日本の国民皆保険制度はドル箱なのです。
・安全だと言い続けるなら情報公開を
<デストピア>
・2023年米海洋大気庁が公表したNASAの最新データは、地球が過去8年づっと冷え続けていることを示している
・太陽光パネル市場の8割を環境規制が世界でダントツにゆるい、中国の製品が占めている
・もっともらしい数字やデータは緊急時ほど疑うべし
・アメリカの圧力による脱酸素政策でドイツとに日本の車技術がつぶされかけているのは、偶然にしてはできすぎた話でしょう。
・世界最大の化石燃料を消費している真犯人は、アメリカの国防総省です。
・アメリカは1997年に京都議定書でさんざんごねて。軍事関係の炭素排出量報告義務からはちゃっかり外してもらっている。そして、もっとも優遇されているのは中国です。イスラエルや、サウジ、インドも同様、報告義務はありません。
<まとめ>
あふれかえる情報とスピードの中、仕掛けられるゲームが強欲さを増すほどに、五感を再起動して立ち止まり、長いスパンで歴史を紐解き、自分の頭で深く考える国民は、時間とともに輝きを増す、我が国の貴い財産になるでしょう。
目次
序章 9・11と3・11―私のショック・ドクトリン
第1章 マイナンバーという国民監視テク
第2章 命につけられる値札―コロナショック・ドクトリン
第3章 脱炭素ユートピアの先にあるディストピア
おわりに
参考文献
ISBN:9784344986923
出版社:幻冬舎
判型:新書
ページ数:264ページ
定価:940円(本体)
発行年月日:2023年05月
発売日:2023年05月30日第1刷
発売日:2023年06月15日第2刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ショック・ドクトリン」という言葉を初めて知った。
とはいえ、今の政治だけでなく、昔から繰り返されてきた時代の変遷でもある。
今はこのコロナショックの中、明らかになにかがおかしくなっている。ただ、やはり災害や恐怖がついてくると、やはり右へ倣えになってしまうのが人間。
ワクチンの是非に関しても、これから問題が起こるかもしれないが、接種してしまったものとしては、今後の判断をどうしたらよいのか、冷静になった時点でも判断が難しい。
マイナンバーやEV化には、他人ごととせず、動きをしっかり見定めたい。 -
評者は堤氏のファンである。しかし、新刊本を見かけても手に取るのを躊躇ってしまうことが多い。
なぜなら、そこには「不愉快な現実」が説得力を持って提示されているに違いないからである。
表題からして本書もその例に漏れないが、最後に希望も記されている。
キーワードは「地方」。自分に何ができるかを考えてみたい。 -
毎度のことですが、圧倒的な情報量と分析力に驚かされます。まさに一人シンクタンク…ジャーナリストとしてしっかりと取材した内容も含めているところが凄いです。
太陽光パネルの45%は新疆ウイグル自治区での強制労働、そこにインボイス制度と東京都の政策が絡まると我々の電気代はどんどん値上げ、マイナカードの胡散臭さはもちろんのこと、宮城県での水道事業民営化の裏に外資大手が51%の株保有、EV車100%宣言の裏にはテスラの社外取締役日本人、スリランカとオランダのたどった末路…
権力とカネが癒着している実態だけで無く、それが私たちの生活にどう影響してくるのかを分かりやすく現実的に説明する手腕は他に並ぶ方がいないと思います。
本書に書かれている膨大な事象でも、おそらくこの著者が把握している事の数パーセントに過ぎないのでは無いかと思うのですが、それでも十分に読者のアンテナを広げてくれる著書だと思いました。 -
●なぜ気になったか
「マイナンバーカード」基本的には賛成だが、不具合に不安増大、強硬な切替推進に違和感。政府の思惑を知るために読みたい
●読了感想
うがった見方をすれば確かに著者の主張していることを感じなくもないが、やみくもに不安を煽られてる感があり流し見するにとどまった。アマプラの評価がなぜ高いのか僕には理解できない
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23/5/31出版
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うー・・・ん?
ショックドクトリンというのは、非常事態発生時に、国民が一瞬パニック状態になったのを利用して、国が、多分「イリーガルな」法案とか状況を一気に作り上げてしまうこと。それを、民主国家でやる。
なんだろうこの違和感。
陰謀論ではないというが。
例えば、9.11後の国家の非常事態大権を認めていく動きのスピード感とか、用意されてたでしょうというが。
なんだろう、この違和感。
マイナンバーカードもいろんな事例あげてることも。
確かに色々、なるほどなと思うこともあるんだが、多々の事象の一面色眼鏡で見てる感も拭いきれない。まさに、この本の書き方自体が、パニック感を醸成しようとするというか、占いって、いいことより悪いことが起きるって言った方が聞いてくれるんすよという感じというか。
こういう解釈が正しいんですよというか。
取材された根拠もあるんだろうが、あんまりそれが出てないというか。
ただ、この見方は持っておいた方がいいと素直に思うし、眉毛に唾つけながらも、忘れないでおきたい。 -
書店で見かけた時は、胡散臭いな、陰謀論めいた過激な政府批判か、と横目で見てスルーしていました。
『村上信五クンと経済クン』というラジオに、堤さんが出演された回を聞いて、聞き流せない衝撃的な事柄のオンパレード、そしてとても聴きやすくわかりやすい堤さんのお話に興味が湧きこの本を手に取りました。
常々、政府の対応がおかしいと思った時、見過ごせない時は頻度は多くなくとも首相官邸や自民党、選挙区の議員のサイトに意見を送って意思を伝えることを大事にしてきました。
SNSの世界で垂れ流すだけではなく、きちんと声を届ける。
今までもこの世の中に呆れて辛くて諦めそうになることは多かったのですが、実際は自分が思っていた以上に、広く深く悪い方向に進んでいたことをこの本を読み思い知らされました。
一個人のことで放っておけばいいのに芸能人の不祥事のニュースや必要以上に事件の被害者のことを掘り下げるワイドショーの報道に、ワイドショーは見てられない、と見ることをやめました。
特に薬物逮捕の場合は、何か政府が隠したい法案を通すのではとSNSでまことしやかに囁かれるようになり、私も怪しいな、と思って芸能人に関する報道に振り回されないように、と思ってきました。
ただ、かなりの数、SNSで目につくのは、自分だけが真実を知っているかのような優越感にひたり、愚民たちを目覚めさせなくてはならないと暴言スレスレ品位のない言葉遣いでくる日もくる日も会話になってないのに噛みつき続ける、所謂『陰謀論』の人たち。
私は、東日本大震災の後、陰謀論に染まりました。何もかもが怖くなり、日本が売られる、侵略される、と怯え、好きなアイドルすら秘密結社の広報で、と疑い正気を失っていた時期があります。
誰が書いたかもわからないブログ、簡単にアクセスできるところに世界の秘密はないです。自分だけが何故知り得たと思うのか、専門的に学んでもいないのに何故専門家に上から目線で否定するのか。
陰謀論の人たちの中には、本当に世界をより良くするためというよりかは、優越感に浸り横並びの仲間意識に浸っていたい人もいるのかなと思っています。
でも、最近は、否定しきれないところもあるのかなと思っています。
行きすぎた批判や妄想は論外ですが、おかしいなと感じたことに理性的に声を上げることは大事だなと。
安直に陰謀論とこの本を結びつけるのは乱暴ですが、遠からず近からずに思えます。
なんにせよ、政府に文句を言うことを考えない、政府の言うことは全部批判するという思考を放棄した行動ではなく、さまざまな判断材料と自分が培ってきた/身につけている感覚で判断して自分の意見を持ち、行動することが大事なのだろうと思います。
この本、堤さんの良いなと思うところは、私が今まで陰謀論派の人で嫌だなと思ってきた上から目線、高圧的、馬鹿にする態度がなく。今からでも間に合う、頑張りましょう、これからです、という励まし寄り添いあう柔らかな物腰です。
この本を書くに辺り、何度もふざけた金の亡者達の横暴に怒りが湧いたのでは、と思います。
暴言を吐かず、諦めず、切々と書き連ねていった堤さんの根気を思うと、応えなくてはと思わされます。
SNSの意見は、とても危うく、一般人に見えてもどこか誘導的(政府に有利なようにうまく言論展開して世論を操作する感じ)な人が目に入ります。
でも、あなたが惑わされそうになってるその意見を言ってる人のこと、よく知ってる?と画面の向こう側のたくさんの人に問いかけたいです。
誰も責任をとってくれない、甘い囁きに流されてはいけないなと。
声を上げなきゃいけないことが多すぎて、なんでそんな酷いことができるの?と人格を疑うような人たちが多くいて。でもこの本を読むと政治家の中にもまともな人もいるし、外国では民衆が声を上げて民主主義を取り戻した国もある。
今を嘆いて何も行動せず受け入れ流されるのではなく、一歩ずつ少しずつでも抗い、頑張りたい。
「2012」というパニックムービーが、いつか現実になるんじゃないかと思うときがちょこちょこある。
涙を飲む一般人も多いかもしれないけれど、限られた人だけの船に潜りこんで、私たちの意志を引き継ぎ未来を生きる人が少しでもいたらいいなとか。ちょっとの希望を抱き、頑張る。 -
ショック・ドクトリンとは、人々が災害や大事件でショックを受けている間に、利益誘導のための法案やシステムが制定されてしまうこと。
さすがの堤未果さん。読みやすく、引き込まれる。日本だけではなく、アメリカでの出来事や雰囲気までもがよく描写されている。
本当に、世の中そんなことばかりだ。
特に現在の日本は、世襲議員が多すぎる。政界デビューしたときから既に利権構造の中に組み込まれていて、大衆のことは二の次。自身の政治基盤への利益誘導に、一番のプライオリティを置く。
つい最近だってそうだった。
コロナで世界中が疲弊する中での五輪開催。スポーツで感動、みたいな建前はあまりに薄ら寒かった。
開催のための予算はどんどん膨れ上がり、それでいて予算に見合うクオリティだったかは大きな疑問が残った。
結局、仲間内に中抜きさせたんだなぁと、絶望感が募っていく。
そうか、これがショック・ドクトリンなのか!と。名前を与えられてよく理解できた。