コルベ (センチュリーブックス 人と思想 122)

著者 :
  • 清水書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784389411220

作品紹介・あらすじ

アウシュヴィッツといえば、大量虐殺が行われた死の収容所を思い浮かべる。そこに、他者のために命をなげうって、餓死監房にくだった一人の人間がいた。マキシミリアノ・コルベ神父である。自らの行動と生活によって証しする預言者、ジャーナリストとしての感覚を持つ実行の人であった。同時に、人間としての弱さも重く引きずっていた。本書は、かれ自身の言葉を辿りながら、かれ自身に語らせながら、餓死室に赴いたこの現代の預言者の姿に迫ろうとするものである。

感想・レビュー・書評

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  • アウシュヴィッツで人の身代わりとなって餓死することを選んだフランシスコ会(の一派)の神父の伝記。コルベ神父はポーランド人だけど、長崎でも数年間活動していたので日本にも縁のある人でもある。
    いつも思うことなのだけど、宗教者というものはこの世の苦悩――たとえばナチス治下のドイツを――というか、あれほどの理不尽で恐ろしいことがこの世で公然と行われていることと神の沈黙を、どう理解していたのだろう。コルベ神父はアウシュヴィッツの中で、どう考えていたのだろう。神の慈悲、聖母の慈悲を説いていて、矛盾を感じないんだろうか。そう思って読む気になった本。この本に書かれていた、餓死監房から賛美歌が聞こえていたというのが事実ならば、神父は最後まで信仰を失ってはいなかったのだろうし、自分の努めを全うしたのだろうけれど。 神はいないだろうけれども、宗教は無力ではないかもしれない。
    コルベ神父が身代わりになったことで救われた人のことも知りたかったのだけど、それについては書かれていなかった。その人も重いものを背負ってしまった人生で、大変だったろうと思う。

  • アウシュヴィッツ収容所で、他者の身代わりになって餓死監房で獄死することをえらんだ、マキシミリアーノ・コルベ神父の評伝です。

    「人と思想」シリーズの一冊ですが、コルベ神父の行動を思想のレヴェルで考察した本というより、詩的感受性よりも数学の才能に恵まれており、軍人をめざしたこともあるこの神父のひととなりにせまろうとしている本という印象を受けます。また、アッシジのフランシスコへの傾倒や、六年間にわたる日本での布教活動についても、比較的立ち入って解説がなされています。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    文庫&新書百冊(立花隆選)125
    現代史

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